(『天然生活』2025年1月号掲載)
星空を見上げることが、明るい未来への希望の扉に
それでは、星空を見上げることと、ひとの心を結ぶものは何でしょうか。
それは、自然界に潜む根源的な性質、‟ゆらぎ”だと思います。星のまたたきは、地球の上層大気の密度が、周囲の温度や風などの影響で‟ゆらぐ”ことによって、星から旅してくる光の進路の方向が変動し、生じる現象です。
小川のせせらぎ、自然風の強弱など、自然界の多くの現象に広く見られる独特の変動現象です。同様の‟ゆらぎ”は、人間の体の中にも存在していて、神経軸索を伝播する電気の流れや、リラックスしているときの脳波の変動にも見られます。
つまり、星のまたたきが視覚情報として脳に到達すると、脳波の変動が星のまたたきと共振しあうことで、脳がリラックスモードに入ることが、科学的に確かめられています。
星からの光と脳波が宇宙の根源的性質において響きあうのです。人間は星のカケラですから、当然のことかもしれません。それを、森林浴などという言い方に倣って、私はスターベイジング(Star-bathing 星浴)と名付けています。
みなさんも、機会をみつけて、ぜひ、真昼の星を含めて星空を見上げてください。そして、その感動を一度でも体験しておくと、たとえそれがプラネタリウムであったとしても、その感動を追体験することができます。
この時、体験が体と同化して“経験”に昇華するのです。かつて、星が、航海者にとっての目印になったように、星空を見上げることは、明るい未来への希望のゲートウェイになることでしょう。
〈イラスト/松栄舞子〉
佐治晴夫(さじ・はるお)
東京都生まれ。理学博士。東京大学物性研究所を経て、玉川大学教授、県立宮城大学教授、鈴鹿短期大学学長を歴任。現在、同大学名誉学長、大阪音楽大学客員教授、北海道・美宙天文台台長。宇宙創生に関わるゆらぎの研究、宇宙研究の成果を平和教育のリベラルアーツと位置づけた実践で知られる。著書は『宇宙のカケラ』など90冊を超える。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



