• 人生を振り返ったとき、忘れられない言葉がありますか? 言葉とは人そのもの。同じ言葉でも、誰が言うかで心への響き方が全く違います。女優の高峰秀子さんと映画監督の松山善三さんを義父母に持つ、文筆家の斎藤明美さんが両親からもらった忘れられない言葉とは? 言葉を通して、大切な人を想う、心に沁みるエッセイです。
    (『天然生活』2025年1月号掲載)

    賢明な義父母からもらった、大切な言葉たち

    だがバカな私は抗弁した、「どこで誰が見ているかわからなきゃイヤだ!」 「情けないヤツだ、お前は」松山が電話口で溜息をついた。そんな抗弁をしたことを今は後悔している。

    「我慢の先には必ず幸せがある」松山のこの言葉を聞いた時も、何が嫌いと言って我慢ほど嫌いなものがない短気で我儘な私は、内心「イヤだなぁ」と思った。愚かである。

    「分を知れば、人は不幸にはならない」これも松山の発言だ。

    どれも、正直に黙々と努力して偉大な妻を幸せにした男ならではの言葉である。

    「忙しい時ほど余裕を持たなきゃいけないよ」私が仕事が忙しいと弱音を吐いた時、高峰が言ってくれた言葉だ。

    「他人(ひと)の時間を奪うことは罪悪です」

    「人はその時の身丈に合った生活をするのが一番です」

    「亀の子ダワシ一つ、私が嫌いな物はこの家には何一つありません」

    「男の人は職場で見るに限ります」

    高峰の言葉は多すぎて、二冊の本にした。



    斎藤明美(さいとう・あけみ)
    高知県生まれ。津田塾大学卒業。高校教師、テレビ構成作家を経たのち、週刊文春の記者を20年務める。1999年、初の小説「青々と」で第10回日本海文学大賞奨励賞を受賞。著書には『高峰秀子の捨てられない荷物』『最後の日本人』『高峰秀子の流儀』『高峰秀子との仕事』1・2、『家の履歴書』シリーズなどがある。2009年、松山善三・高峰秀子夫妻の養女となる。高峰秀子と松山善三の結婚生活を出会いから晩年まで紹介する『ふたり ~救われた女と救った男』(扶桑社)が発売中。

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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    『ふたり ~救われた女と救った男』(斎藤明美・著/扶桑社・刊)

    画像: 女優・高峰秀子と映画監督・松山善三「精一杯生きた人」だけが持つ言葉の力。義父母からもらった“忘れられない”言葉たち/文筆家・斎藤明美さん

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    貴重なプライベートアルバムと高峰秀子の随筆、言葉、斎藤さんが長年収集した貴重な資料、斎藤さんしか知らない情報を解説に付して、この一組の男女の数奇な運命を描いています。懸命に生きていればきっと未来は開ける、読めば誰もが励まされる一冊です。



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