(『天然生活』2025年1月号掲載)
言葉とは人。忘れられない言葉とは、忘れられない人がいること
今思うと、私はどれほど恵まれていたか。賢明な養父母にどれほど貴重な言葉をもらっていたことか。それこそ松山の言葉ではないが、私には‟分不相応”なほどの言葉の数々である。
言葉とは人だ。何を言うかも大事だが、誰が言うか、それがもっと大事で、たとえ同じ言葉を言われても、「お前に言われたくない」と思う場合もあれば、「あの人が言うのだから」と身に染みることもある。
つまりその言葉の奥にある発言者の生き方、人柄によって、説得力の有る無しが決まるのだ。
誰かの言葉を借りたり、手垢の付いた常套句など使わず、その人にしか言えない言葉。精一杯生きている人は必ずそんな言葉を持っている。
そういう人に出逢えるかどうか、それが人生の幸せというものではないかと私は思うのだが、読者の皆さんは自身の過ぎ越しかたを振り返った時、そこに忘れられない言葉はあるだろうか?
それはイコール‟忘れられない人”がいるかどうか、だと思うのだが。
斎藤明美(さいとう・あけみ)
高知県生まれ。津田塾大学卒業。高校教師、テレビ構成作家を経たのち、週刊文春の記者を20年務める。1999年、初の小説「青々と」で第10回日本海文学大賞奨励賞を受賞。著書には『高峰秀子の捨てられない荷物』『最後の日本人』『高峰秀子の流儀』『高峰秀子との仕事』1・2、『家の履歴書』シリーズなどがある。2009年、松山善三・高峰秀子夫妻の養女となる。高峰秀子と松山善三の結婚生活を出会いから晩年まで紹介する『ふたり ~救われた女と救った男』(扶桑社)が発売中。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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貴重なプライベートアルバムと高峰秀子の随筆、言葉、斎藤さんが長年収集した貴重な資料、斎藤さんしか知らない情報を解説に付して、この一組の男女の数奇な運命を描いています。懸命に生きていればきっと未来は開ける、読めば誰もが励まされる一冊です。





