手づくり暮らし研究家・美濃羽まゆみさんに、寒い冬を心地よく過ごす「家仕事」4つを教わりました。土鍋でことこと炊く小豆煮や、庭の黄ゆずで仕込むゆずこしょう、はぎれをつないで手縫いする小物づくりなど、手を動かすことで気持ちもあたたかくなる、町家ならではの冬の楽しみを紹介します。
(『天然生活』2025年5月号掲載)
小さなぬくもりを一つひとつ楽しんで
美濃羽まゆみさんの冬ならではの楽しみはたくさん。土鍋でことこと豆を炊くのも、寒い季節にほっこりするうれしい台所仕事のよう。
「冬って香りが立ちますよね。冷たい静かな空気の中で、香りとか湯気とか、そういうものを感じると幸せな気分になる。煮炊きをすると、部屋も暖まりますしね」
最近おやつによくつくるというぜんざいも、土鍋で炊き上げます。
「自分でつくれば、甘さが調節できるのでおすすめです。それに、先日、小豆のゆで汁もおいしいとわかって。無農薬のたい肥で育てられた小豆を買っているのですが、これだとゆで汁も渋くならないそうです。鉄分が含まれているみたいで、元気が出る気がします」
ほかにも、庭のゆずを用いたゆずこしょうをはじめ、たくあんや味噌などの保存食をつくったり、ストックしておいたはぎれで小物をつくったり。家の中でじっとしつつも手はしっかり動かして、冬ごもりを楽しんでいる美濃羽さん。
「町家は寒いから、家族もなんだかんだといいながらひとつの部屋に集まってきます。それも、冬ならではの楽しさですね」
美濃羽まゆみさんの冬の楽しみ4つ
①土鍋でゆっくり豆を炊く

体の芯まで温まる自家製の小豆煮。きび砂糖を使い、やさしい甘さに
豆を炊くときは、伊賀焼の窯元・長谷園ながたにえんの土鍋で。
「小豆は倍くらいの水を入れて炊きます。5分炊いたら30分くらい蒸らしてゆでこぼしますが、その煮汁を私はお茶代わりにいただきます。もう一度水を入れ1時間ほど炊いてから30分蒸らし、砂糖と塩で味をつけたらでき上がり」
ぜんざいなら、軽く焼いた小餅をいくつか入れて。
②庭の黄ゆずでゆずこしょうを仕込む

「果汁たっぷりなので、鍋ものはこれだけで十分おいしくいただけます」
庭にゆずが実り始めた3年前からつくっている自家製ゆずこしょう。酸味も辛さもまろやかになるように、熟した黄ゆずと赤とうがらしでつくるのが美濃羽さん好み。
「10個ほど収穫したら、皮をすりおろしてとうがらしと塩、果汁もしっかりしぼって混ぜます。お鍋や麺類には欠かせないですね。おでんや焼き鳥にもおいしいです」
③はぎれを使って手縫いで針仕事

はぎれの鍋つかみ。「ミシンなら5分ですが手縫いでちくちく楽しみます」
服づくりの仕事で洋裁とは日々向き合っていますが、「手縫いとなると、冬にちくちくすることが多いですね」と美濃羽さん。
なかでも、服づくりで出たはぎれをつなぎ合わせる小物づくりは、ほんの小さな布も縫い合わせていく細やかな作業。家族のいる暖かな居間に持ち込み、おしゃべりしながらつくることも多いとか。
④好きな一冊とじっくり向き合う

「まどさんの作品は、人も自然もフラットに見ているところが好きです」
『とおいところ』は、童謡でも知られるまど・みちおによる抽象画と詩で構成された一冊。
「息子が生まれたころなので、もう10年以上前に出合った詩画集です。シンプルな言葉だけどぐっと心に入ってきて、画も心に染みる。“シソのくき”という詩がなんとも素敵なんです」
冬の寒い夜、寝る前にぱらぱらとめくりたくなるそう。

冬ごもりのお供のお茶とおやつ
お茶代わりの小豆の煮汁と植物の皮や種を材料にした、手づくりのお茶請け
ひまわりの種を炒ってはちみつをからめた一品と、果汁をしぼったあとのゆず皮でつくるピール。とろんと飲みやすい小豆の煮汁を、お茶代わりに添えて
〈撮影/原 祥子 取材・文/山形恭子〉
美濃羽まゆみ(みのわ・まゆみ)
洋裁作家、手づくり暮らし研究家。家族と京都の町家で暮らす。洋服ブランド「FU‐KO basics.」の個展開催のほか、洋裁学校の講師など幅広く活動。『美濃羽まゆみさんの手づくりのある暮らし』(扶桑社)など著書多数。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです




