鉱物収集で気を付けること
川添 そういえば子供のころ、峠のお土産屋さんで「アメジスト(紫水晶)」のクラスターを売っていたのを、きれいだなーと見ていたのですが、アメジストも北海道で採れるんですか?
萩島 20年ぐらい前は日本産のアメジストは多くありませんでした。宮城県の雨塚山や、栃木県の富井鉱山、石川県の遊泉寺などが知られていたぐらいですね。いまでは、何カ所かできれいなものが見つかっていますが。
川添 えぇ!? そうだったのですか。騙されてました。
萩島 みんなそうなんですよ。こういうトリックのようなことはいまでもたくさんあるんです。
菅沼 鉱物を集めるうえで、気をつけた方がいいことはありますか?
萩島 産地は確認しておいた方がいいですね。あとは、なるべく実物を見て購入することですかね。ネット売買のトラブルの話はすごく聞くので。
川添 こわいですね。化石もそうですか?
萩島 化石は一番むずかしいですね。100%本物じゃないと思って買った方がいいですよ。
川添 えぇっー、自分の三葉虫が本物か、また不安になってきました。
萩島 化石はいろいろ加工されたものが多いですから……。
川添 ……。

先日のミネラルフェアで本物認定をいただいた川添の三葉虫でしたが……、再び不安が
「水晶」は産地によって価値が異なる
菅沼 先ほど、水晶について教えていただきましたが、水晶も価格がさまざまですよね。
萩島 そうですね。水晶は、スイス産とブラジル産とでは10倍ぐらい価格が違いますから。
菅沼 いわれてみると、スイス産の水晶って見たことないかもしれません。
萩島 ダイナマイトでドカンとやって採っているものは、ルーペで見てみるとダメージ(割れ)があることがあるんですが、スイスのものは、4,000m級の場所でロッククライミングでザックに詰めて大事に持ち帰りますから、慎重に採取されているので評価が高いですね。
川添 それは大変ですね。
萩島 昔、ヨーロッパでは水晶は氷の化石と思われていた、という歴史もありますから。
菅沼 氷の化石ってなんか素敵ですね!

こちらはお手頃価格のブラジル水晶。水晶は産出量や、採集の難しさ、産状、取り扱い方などによって価格に差があるそうです
荻島さんにとって「鉱物」とは?

やさしい眼差しで鉱物の標本を見つめる荻島さん
川添 最後に、萩島さんにとっての鉱物の魅力を教えてください。
萩島 私が最初に魅了されたのはその重さでした。子どものころに手に取った「方鉛鉱(ほうえんこう)」という鉛の鉱物を持ったときに、そのずっしりとした重さに、「石というか金属じゃん!」という感動がありました。
川添 実物に触れての魅力だったんですね。
萩島 なんていうんですかね? 本来、目には見えない原子の世界の出来事が見えているというか。原子が積み木のように規則正しく積み上がり、結晶化したものが鉱物標本です。そんな原子の世界を見ることや、さわることができるのが面白さだと、私は感じています。
菅沼 確かに、長い年月をかけて結晶化した原子だと思うと、奥深いですね。

職人さんにつくってもらったという、鉱物の模型。熟練の職人にしかつくれない精巧なものなのだそうです
萩島 昔のヨーロッパでは鉱物の結晶を手に入れることは、宇宙の英知を手にするという発想があり、ナポレオンや詩人のゲーテなどは鉱物収集家としても知られています。ゲーテについては「Goethite(ゲーサイト)」として鉱物名にもなっています。日本でも宮沢賢治が鉱物収集家として有名ですね。
川添 鉱物はただの美しい石ではなく、私たちを取り巻く物質の原理を垣間見せてくれるものなのですね。今日は、本当に勉強になりました。荻島さん、貴重なお話をありがとうございました!

今回、母岩さんにて菅沼が魅了された「ダイオプテーズ」。この石については、またゆっくりご紹介する予定ですのでお楽しみに!
〈撮影/星 亘〉

母岩(BOGAN)
東京都中野区鷺宮5-5-10
☎03-5241-8465
営業時間(予約制):12:00~19:00
http://bogan.biz/
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