(『天然生活』2025年3月号掲載)
多様な生き物が集まる豊かな土が一番の財産
広々とした畑の中で、白菜や高菜を収穫中。「今年は白菜が豊作なんです」と話しながら、気持ちよさそうに手を動かします。
「ここに来ると、命を感じるからか元気になります。1日1回は畑に出ないと調子が悪くなるくらい」
八ヶ岳南麓に夫とふたりの子ども、そして動物たちと暮らす四井千里さん。夫の真治さんとともに「人が暮らすことで自然が豊かになる暮らし=いのちの仕組みの暮らし」を自ら実践しながら発信しています。

愛犬のすみれと一緒に白菜や高菜を収穫。「そのまま食べたり、漬物にしたりします」
生ごみや排泄物を堆肥にして畑に使ったり、生活排水を微生物や植物の力できれいにしたり、雨水をタンクにためて畑の水やりに使ったり。最近では、太陽光発電にも挑戦中。ここで行われているのは人間もほかの生物も、ともに豊かに生きる生活です。
「17年前にここに移り住んだ当初は、本当に試行錯誤の日々でした。最初につくった畑は、野菜があまりうまく育たず、場所を変えてみたこともあります。ようやく畑が少しずつよくなってきたのは10年ほど過ぎてから。ここ数年は、野菜の種類や収穫量が増え、果樹も実りが多くなってきました。自然に対しては、すぐに結果を出そうとあせらず、見守ることが大事なんだなと実感しています」

雨水タンクの容量は、なんと約1万L。それでも夏場などはすぐに使い切ってしまうそう。冬季は雨水が凍ってしまうため、水を抜く
いまもいろいろなアイデアを思いついては実験中だという四井さん。
いつも意識しているのは、どんなものでもすぐに捨てようとせず、さまざまな方法で活用して、自然の中にとどめて、めぐらせること。それが本当の意味での豊かさにつながっていくのです。
〈撮影/山田耕司 取材・文/嶌 陽子〉
四井千里(よつい・ちさと)
2007年より八ヶ岳南麓に暮らし、自然とともにある暮らしを夫の真治さんと一緒に「未来の暮らし研究所」などを通じて発信。フラワーアレンジメントやハーブ蒸留などの暮らしの手仕事教室を開催している。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



