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映画『カミング・ホーム』ストーリー
ペンシルベニア州西部の小さな町でひとりで暮らす79歳のミルトン(ベン・キングズレー)の家の庭に、突如正体不明の飛行物体が墜落。次の日にミルトンは身長4フィート11インチの宇宙人が倒れているのを見つけ、動揺します。
周囲に訴えても相手にされないなか、ミルトンは次第に言葉を話さない宇宙人と次第に気持ちを通わせていきます。
ある日、同年代の隣人であるサンディ(ハリエット・サンソム・ハリス)とジョイス(ジェーン・カーティン)がそれを知るところとなり、3人は秘密を共有することになるのですが……。
庭に墜落したUFOから動き出す、「老い」と生きる意味を見つめる物語

かつては家族で幸せに暮らしていたであろう、ひとり暮らしには広すぎる家、使いこまれた日用品や暖かな雰囲気のする装飾品からミルトンが安定した生活を送ってきたことがわかります。
毎日丹精込めて庭の草木の手入れをするミルトンですが、自慢のツツジは飛行物体の墜落でめちゃくちゃになり……。

ミルトンの庭に墜落した謎の飛行物体に乗っていたのは、言葉を話さないのに聞き上手なエイリアン。リンゴを好むエイリアンと食事をしたり、テレビを観たり、ミルトンはエイリアンをまるで家族のように受け入れ始めます。
サンディもジョイスもこのエイリアンを気に入り、「ジュールス」「ゲイリー」と勝手に好きな名前をつけて、身の上話をしたり洋服を与えたりと孫のようにかわいがり始めるのですが……。

豆の缶詰がトイレに、新聞が冷蔵庫に。ミルトンの家にときどき訪れ、その変化を感じ始めていたデニス(ゾーイ・ウィンターズ)は父を心配し、病院で検査を受けるように説得します。
なんとか検査に連れて行ったものの、「騙された」と怒るミルトン。高齢の親を持つ世代なら、多かれ少なかれ感じたことがあるであろう葛藤。それぞれの立場に共感できるよう繊細につくられたセリフや行動が心に響きます。

名優が演じる、人生の最終章に光を当てるヒューマンドラマ
監督は崩壊寸前だった家族の再生を描き、数々の賞を受賞したロードムービー『リトル・ミス・サンシャイン』を生み出したマーク・タートルトーブ。人生の最終章をどう充実させて生きるか、そして能力が衰えてゆくなかで残りの人生にどんな意味を見出していくかをSF要素を入れ込みつつユーモラスに描きます。
言葉は話せないけれど、まるで理解しているかのようにじっと見つめるエイリアンに、ついつい心の奥底までを話してしまうミルトン、サンディ、ジョイス。エイリアンの世話をすることで、どんどん生き生きとしていく3人を見て、誰かのために何かをしたいと思うことは、生きる活力を生むのだと言うことを実感させます。
アカデミー賞®主演男優賞をはじめとする数々の賞を受賞し、2002年にはエリザベス女王より“ナイト”の爵位を授けられた、イギリスの名優ベン・キングスレーの抑揚の効いた深い人間味を体現した演技には惹きつけられます。
本当の家族と老いた人生に光を与えてくれた宇宙人の間でミルトンの残りの人生はどうなっていくのか、今までにない新しいアプローチで描く、これからの人生をよりよくしたいすべての世代に贈りたいヒューマンドラマです。
<取材・文/山西裕美>
『カミング・ホーム』
【監督】マーク・タートルトーブ
【脚本】ギャビン・ステクラー
【キャスト】ベン・キングズレー、ゾーイ・ウィンターズ、ハリエット・サンソム・ハリス、ジェーン・カーティン、アンナ・ジョージ
2023年 87分 アメリカ 中国語 5.1ch 原題/Jules カラー 提供/キングレコード
配給/NAKACHIKA PICTURES 宣伝/Stranger
3月20日(金)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開




