(『天然生活』2025年5月号掲載)
収納は合理的かつ柔軟に
道具は乾かしてしまう、フライパンは傷つくから重ねない、保存容器は中身が見えてにおいがつかないガラス製を選ぶ――。
故郷のお寺で、精進料理に携わっていた尾崎さんの道具の扱いは、ひとつひとつが理にかなっています。
「お寺には『典座(てんぞ)教訓』という、食事にまつわる指南書があるんです。食材を感謝して使いきること、道具を使ったらきれいに戻すことなどは、体に染みついているのかもしれません」

賃貸のテラスハウスの、すっきりと白で統一された台所。「作業台は広々と使いたいから、物はなるべく置かないようにしています」
引っ越しも多く、仕事場も含めるとさまざまな台所に立ってきた尾崎さん。
本質的なことを大切にしていれば、どんな台所でも「いかようにも使いやすく構成できる」と考えているそうです。
「いまの住まいも、台所で選んだわけではないんです。料理を仕事にしているので、できればパントリーが欲しいとか、本来ならば道具も食器も全部しまいたいとか、希望をあげればいろいろあるんですけれど、やれる範囲で、この台所でのベストを尽くせばいいと思っています」

そんな尾崎さんの台所には、柔軟なアイデアがいっぱいでした。日々、料理と片づけを繰り返すなかで、ちょっとした使いにくさを分析することが、工夫の発見につながっています。
〈撮影/近藤沙菜 構成・文/石川理恵〉
尾崎史江(おざき・ふみえ)
お寺にて精進料理に携わり、旬の野菜のおいしさや乾物の滋味深さに魅了される。レシピやメニュー開発、出張料理、料理教室などを通し、体にやさしく満足感のある料理を伝えている。著書に『食堂いちじくの精進おつまみ』(主婦と生活社)、『食堂いちじくの精進おかず』(東京書籍)ほか。
インスタグラム@shokudo_ichijiku
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



