氷砂糖が果実の力を引き出すから、待つ時間さえも愛おしくなる
季節に寄り添った料理づくりを得意とする、料理家の榎本美沙さん。旬のフルーツが手に入ると、おいしさを逃さないように自家製のシロップやビネガーをつくっているそうです。
そんなときの強い味方が氷砂糖。すっきりとして雑味のない味で、素材の風味をストレートに伝えてくれます。結晶が大きく、ゆっくりと溶けていくのも氷砂糖の特長。果実を漬け込めば、時間をかけて溶けながらフルーツのエキスを余さず引き出します。

今回は、いちごの甘酸っぱさと美しい色合いをいかした、いちごのシロップを教わりました。
合わせたのは香りの王様とも呼ばれるスパイス、カルダモン。
「カルダモンは清涼感がありつつも華やか。いちごの甘い香りとの相乗効果で、奥行きのある味が生まれます。宝石のように澄んだ液色も、見ているだけで幸せになりますね」
氷砂糖を使った
いちごとカルダモンのシロップのつくり方
「いちごのシロップ」と聞くと、小説『赤毛のアン』を思い出す方も多いのではないでしょうか。主人公のアンが親友のダイアナを招き、もてなした赤い飲み物といえば「いちご水」。
原作では、プリンス・エドワード島で定番のラズベリーシロップの水割りなのですが、日本語訳では当時なじみの深いいちごを使って「いちご水」と訳されました。
今回、榎本さんが提案するのは自家製シロップでつくる現代版の「いちご水」。いちごとカルダモンのシロップ大さじ2に炭酸水140mL程度をゆっくり注ぎ、仕上げにいちごの果肉を数粒浮かべます。

カルダモンの洗練された香りがふわりと広がり、甘酸っぱさはどこまでもさわやか。ルビー色のグラデーションも美しく、まるでノンアルコールカクテルのようです。
「氷砂糖の力で素材の香りと味を凝縮させながら、後味はすっきりと。グラスをゆらして、ゆっくりと混ぜながら楽しんでください。シロップといちごの果肉は、バニラアイスに添えてもおいしいですよ」
材料(1Lの保存びん1個分)

| ● いちご | 300g(1パック強) |
| ● 氷砂糖 | 300g |
| ● カルダモン | 6粒程度 |
基本の分量 1:1(氷砂糖:果実)
下準備
● 保存びんを煮沸消毒またはアルコール消毒する。
つくり方
1 いちごは洗ってよく水気をふく。包丁でヘタを切り取る。

2 保存びんにいちごと氷砂糖、カルダモンを交互に入れる。一番上に氷砂糖がのるようにする。

3 ふたをしめて室温におく。1日数回びんをゆするようにし、5~7日ほどして氷砂糖が溶けたらできあがり。いちごとカルダモンを取り出し、冷蔵庫で保存する。

保存期間:冷蔵庫で1カ月保存可能
榎本さんのひと工夫
●取り出したいちごの果肉とカルダモンは冷蔵庫で保存し、2〜3日程度で使い切る。
いちごとカルダモンのシロップを使ったアレンジレシピ①
牛肉のタリアータ いちごとカルダモンのバルサミコソースのつくり方

氷砂糖のすっきりとした甘さは、肉料理のソースにもぴったりです。
「色が近い食材同士は相性がいいと言われますよね。牛肉といちごはまさに、鮮やかな赤が共通点。いちごの香りが、牛肉の力強さや鉄分を含むうま味を引き立ててくれるんです」
「タリアータ」は、イタリア風の牛肉のたたき。
「表面をしっかりと焼きつけるだけなので、ローストビーフよりも気負わずつくることができますね」
材料(2〜3人分)
| ● 牛もも肉(ブロック) | 300g |
| ● 塩 | 小さじ1/2 |
| ● こしょう | 少々 |
| ● オリーブオイル | 大さじ1 |
| ● いちごカルダモンシロップのいちご | 適量 |
| ● クレソン、ベビーリーフ | 各適量 |
| ● パルミジャーノ・レッジャーノ | 適量 |
| <ソース> | |
| ・いちごカルダモンシロップ | 大さじ1と1/2 |
| ・バルサミコ酢、しょうゆ | 各小さじ2 |
下準備
牛肉は30分ほど室温に出しておく。
つくり方
1 牛肉に塩、こしょうをもみ込む。
2 フライパンにオリーブオイルを中火で熱し、牛肉の広い面を2分ずつ焼き、その他の面を1分ずつ焼く。アルミホイルに包んで10分ほど休ませる。
3 同じフライパンにソースの材料を入れて弱火にかけ、ひと煮立ちさせる。

4 クレソンは食べやすい大きさに切る。肉は5mm程度の薄切りにする。器にクレソン、ベビーリーフ、肉を盛り付け、パルミジャーノ・レッジャーノをピーラーで削ってかける。いちごを散らし、ソースをかける。
いちごとカルダモンのシロップを使ったアレンジレシピ②
紫キャベツのいちごシロップマリネのつくり方

定番のキャベツのマリネを、いちごとカルダモンのシロップでさわやかに。
「これも同系色の食材同士の組み合わせ。いちごのシロップを加えて、紫キャベツに甘み、香り、おだやかな酸味をまとわせます」
他に使用する調味料は白ワインビネガーとオリーブオイル、塩のみ。シンプルな調味料で深い味を出せるのも、自家製シロップの魅力です。
材料(つくりやすい量)
| ● 紫キャベツ | 1/4個(250g) |
| ● 塩 | 小さじ1/4 |
| <ドレッシング> | |
| ・いちごカルダモンシロップ | 小さじ2 |
| ・白ワインビネガー、オリーブオイル | 各大さじ1 |
つくり方
1 紫キャベツは千切りにしてボウルに入れる。塩を加えてもみ、5分おく。
2 1の紫キャベツの水けを絞る。合わせたドレッシングを加え、全体をあえて 15分ほどおく。

保存期間:冷蔵庫で 3〜4 日保存可能
榎本美沙(えのもと・みさ)
料理家、発酵マイスター、国際中医薬膳師。季節感のあるレシピや、少量から手軽につくれる発酵料理が好評で、YouTube「榎本美沙の季節料理」のチャンネル登録者は40万人を超える。著書に別冊天然生活『榎本美沙さんの発酵のある暮らし』(扶桑社)など。最新刊『かんたん発酵薬膳』が好評発売中。オンライン料理教室『榎本美沙の料理教室』主宰。
インスタグラム:@misa_enomoto
YouTube:榎本美沙の季節料理
もっと氷砂糖のレシピを知りたい人は
全日本氷糖工業組合 | 旬の果実でおいしく楽しい氷砂糖
氷砂糖でくらしをもっとカラフルに。梅酒づくりでおなじみの氷砂糖は、じつは梅以外の果実とも相性Good。色とりどりのフルーツを使って手づくりを楽しめる氷砂糖の世界、あなたものぞいてみませんか。
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協力/全日本氷糖工業組合
http://www.hyoutou-kumiai.jp/tezukurilife/
〈料理/榎本美沙 撮影/山川修一 取材・文/河合知子〉
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