永遠のポップアイコン『ツイッギー』初の公式ドキュメンタリー
映画『ツイッギー』ストーリー
小枝のような華奢なスタイルと人形のような大きな瞳、中性的なピクシーカットと唯一無二のファッションセンスで、16歳にして彗星のごとくモデル界にデビューしたツイッギー。その存在はファッション界に衝撃を与え、わずか1年で『VOGUE』や『ELLE』『Talter』などの主要ファッション雑誌の表紙を飾ります。
そして従来の価値観や大人への反抗から生まれた若者文化「スウィンギング・ロンドン」のカルチャーも牽引。マリー・クワントのミニスカートを着こなして「ミニの女王」と呼ばれ、世界中でミニスカートブームを巻き起こします。

4年でモデル活動を引退したその後は女優、歌手と活躍の場を広げ、ミュージカル映画『ボーイフレンド』では、数々の賞を受賞。2019年にはファッションや芸術、そして慈善活動への貢献を称えられ、女王陛下より大英帝国勲章のデイムの称号を授与されました。
本作では本人の言葉や貴重なアーカイブ映像、ゆかりある人々のインタビューを通して、そのエネルギーに満ちあふれた60年に及ぶ人生にフォーカスしたドキュメンタリー作品です。
イギリスから世界へ。日本を熱狂の渦に巻き込んだ初来日

1967年、ロンドンからニューヨーク・JFK国際空港に到着したツイッギーはたくさんのマスコミに囲まれます。
「君だけの特別な魅力はなんだと思う?」その質問に、ツイッギーは「そんなのないわ」と口を大きく開けて笑います。
グラマラスな外見が求められ、上流階級の世界であったモデルの世界に、「素敵な服が着られて、稼げると思った」と労働者階級出身のツイッギーが飛び込み、瞬く間にスターになります。
“小枝”(ツイッギー)のような細い脚とボーイッシュなショートカットヘア、印象的な大きな瞳と下まつ毛のマスカラ、そして固定観念に囚われないファッション。気さくな人柄で身のこなしは自然体、くるくると変わる表情はとにかくキュート。
1967年に初来日したときは日本を熱狂の渦に巻きこみ、10月18日は「ミニスカートの日」に制定されるほどに絶大な影響を与えます。
フィルムには来日時、CM撮影で森永製菓のチョコレート菓子『チョコフレーク』を食べる姿も。『小枝』の名前もツイッギーに由来されているのだそうです。
デヴィット・ボウイなどロック・アーティストたちとの夢の共演

ツイッギーが10代を過ごした1950年代後半〜1960年代は、“モッズ”の時代。週末はモッズクラブで、有名になる前のヤードバーズ、エリック・クラプトンなどを観に行っていたといいます。
音楽好きのツイッギーが「忘れられない」と語るのが、デヴィット・ボウイとのエピソード。
彼のアルバム『アラジン・セイン』(1973年)収録の『ドライブ・イン・サタデー』の歌詞の中ではでツイッギーの名前が登場します。
ツイッギーは「デヴィッド・ボウイが私の名前を歌った! レコード店に走ったわ」と興奮気味に語っています。
その後、『ピンナップス』(1973年)では、アルバムジャケットでの共演を果たしています。他にもポール・マッカートニー、ブライアン・フェリーなどロックミュージシャンとの貴重な映像も見ることができます。
パートナーとの別れ、出産、そして再婚…演技へと活動の場を広げ、出会った本当の“愛”

労働者階級の俳優が活躍し始めたこの時期、4年間のモデル活動を経て、ツイッギーは俳優としても活躍を始めます。
ツイッギーは映画監督ケン・ラッセルと出会い、映画『ボーイフレンド』(1971年)に出演。「本当にやりたいのは演技」だと気づき、「新しい扉が開かれた」と語っています。
その後、マネージャー兼恋人であったジャスティンとは距離ができ、別れに向かいます。
友だちとも遊ばず、「愛とは何か」もわからなかった幼いツイッギーが、彼に頼らざるを得なかったことが、ふたり並んでインタビューを受けているときの、彼女の複雑な表情から見て取れます。
そして、22歳のときの『姿なき脅迫者』で共演した俳優のマイケル・ウイットニーと28歳で結婚、娘のカーリーを授かります。数年後、マイケルのアルコール依存症により、死別。
その後俳優で演出家のリー・ローソンと再婚します。
「どちらかは仕事を得たら、必ずもう一方もその場に同行する」と約束し、“ソウルメイト”として今も共に幸せに暮らす様子が映画には映し出されています。
ポール・マッカートニーの自宅に家族で訪れ、ポールがザ・ビートルズの名曲『blackbird』を歌ったエピソードは心が温まります。
デビュー60周年、76歳。“なりたい自分”でい続ける現在の姿

その後、歌手としてもヒットを放ち、2020年からは友人と語り合うPodcast『Tea with Twiggy』をスタート、デビュー60周年を迎えたツイッギーは現在76歳。オリジナリティあふれるファッションと豪快な笑顔、気さくな人柄は今でも健在です。
「好きなことができるから、私は幸運ね」彼女は語ります。
近年では独自のブランドを立ち上げたり、化粧品のCMに出演したり、新しい美の価値観を体現し、幅広い層の女性に訴えかける魅力のある存在であり続けていることを証明しています。
「なりたい自分には、いつでもなれる」
どの年齢の自分も“受け入れる”ことが、幸せにつながる、ということを教えてくれる作品です。

<取材・文/山西裕美>
『ツイッギー』
【監督】サディ・フロスト
【出演】ツイッギー、ブルック・シールズ、 ダスティン・ホフマン、ポール・マッカートニー、ステラ・マッカートニー、シエナ・ミラー
2024年/イギリス映画/97分
配給:アンプラグド
4月24日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
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