自分らしいもの選びでつくる、心地いい住まい
東京郊外にある築58年の団地をフルリノベーションして、都内から夫のリョウタさんと元保護猫のおイモちゃんと移り住んだテキスタイルアーティストのタシロユミコさん。団地に越してから、住まいにあわせて家具や雑貨を揃えていったそう。
そんなお住まいを拝見すると、部屋のあちこちにアートやオブジェ、人形などの雑貨が飾られていてにぎやか。でも、それでいてすっきり整ってみえるから不思議です。
そんなタシロさんのもの選びのルールをお聞きします。

1LDKの団地の一室に、夫と愛猫と暮らすタシロさん。フルリノベーションで納得いく住まいに仕上げた
ジャンルに縛られないのが、何より快適
家具は古家具だったり、ヴィンテージだったり。アジアのラグがあったり、日本の民芸の人形があったり。時代も国も超えてテイストもバラバラですが、全体で見るとまとまった印象を受けます。タシロさんは、どうもの選びをしているのでしょうか。
「国や年代など、自分のなかでは“これでなければ”というこだわりがなくて。自由なスタイルが私にとって一番快適なんです。ものを購入する際は、色や素材、フォルムにすごく惹かれたら、まず家に置かれているシーンを想像してみます。イメージできたら買いますし、できなければ買いません」

備えつけの棚に、花器やプレート、オブジェをセンスよくディスプレイ
「こだわりはないといいましたが、“好き”のベースは、土着的なものや民芸のもの。また、以前、インテリアコーディネートの学校で建築やインテリアデザインを学んで、モダニズム建築やインダストリアル的なものにも惹かれるようになりました。そういったものが根底にありますね」

食器も1個500円で買ったものから作家ものまで、ごちゃ混ぜ
“色”は、もの選びで大切にしている要素とも話します。ベースカラー2色とアクセントカラー2色をテーマカラーと決めて、基本はそのなかからセレクト。そうすることで自然と部屋をすっきり見せられるのだとか。
「それ以外の色のものに惹かれたら、テーマカラーとなじむかどうか考えてから買います」
固定観念は捨て、生活に合ったもの選びを
ジャンルのみならず、買い物の仕方もフリースタイルなタシロさん。部屋のものをひとつひとつ聞いていくと、値が張るヴィンテージ品から、骨董市やフリーマーケットで見つけた掘り出しもの、フリマアプリで購入したもの、友人から譲り受けたもの、実家の蔵から持ってきた(!)ものまでさまざま。
そんなタシロさんのお気に入りのアイテムをご紹介します。
タシロさんのお気に入りアイテム①
古道具屋さんで買った“見せる戸棚”

古道具屋さんで買い求めた木製ガラス戸棚。「ガラス戸で、お気に入りの食器を見せつつ収納できるのが楽しい」とタシロさん
「この棚は、近所にある古道具屋さんでひと目ぼれしたもの。特別なシーンで使う器を収納しています。団地の住まいはコンパクトなので、大きくて立派な食器棚は似合わないと思って、小ぶりなサイズを探しました。それだけでなく、地震の備えとして、我が家では備え付けか低い家具しか置かないと決めているのもあります」
タシロさんのお気に入りアイテム②
ダイニングテーブル代わりの古い机

古道具屋で手に入れた趣のあるデスク。赤い椅子はヴィンテージで、イタリアの「カステリチェア」
「こちらも近所の古道具屋さんで買ったもので、ダイニングテーブルとして使っています。テーブルに座るのは、基本的に私と夫のふたりなので、こちらで十分。それにうちは収納が少ないので、それを補うのに、引き出しのあるタイプのほうが都合がよくて」

引き出しには、食器棚に収まりきらない小皿や生活用品などを収納
もの選びのセンスが光る、素敵な拾いもの
ものを選ぶセンスに長けたタシロさん。不用品から“宝もの”を見つけるのも上手です。
「先ほどから話にでている近所の古道具屋さんの軒先に、リサイクルコーナーがあるんです。不要になったものを入れたり、自由に持ち帰ることができて。そのなかから、家に合うものを見つけるのも楽しみのひとつですね」

“拾いものコレクション”の一部。赤のゴミ箱はアトリエに置いて気分をアップ。黒のお重セット、木製の花器もお気に入り
「近所でフリーマーケットが開催されることもあって。つい最近見つけたこちらのお膳は、一枚100円でした!」

こちらもアトリエで活躍。自身の作品を収納している
作品づくりのためのもの選びも
帆布からほどいた糸で手刺しゅうをほどこす布作品を手がけるタシロさん。作品づくりともの選びには、深い関係があるといいます。
「身の回りにあるものが、自分のものづくりに直結しているように感じていて。自然とですが、家にあるものと自分がつくるものは、世界観が近くなっています」

フレームに収まるのは、タシロさんによるテキスタイルアート作品
そして最近では、作品づくりの研究材料として、ものを手に入れることも。
「たとえば、この置物の造形をエッセンスとして刺しゅうに生かしたいとか、この人形の造形を自分のなかに取り込むために普段から目にしていたいとか、そう思って買うこともあります」

「羽の模様を作品に取り入れたい」と思って買ったという山形県の民藝品「お鷹ぽっぽ」
「展覧情報をこまめにチェックして日本民藝館に足繁く通ったりも。そうやって目を養っているような気がします」と話すタシロさん。
好きなものを探求して根っこを張りめぐらしながら、自由なもの選びをとことん楽しむ。
そんな暮らしが、自分らしくて心地いい居場所をつくりあげています。
タシロさんちの、楽しいものたち

実家にある蔵に眠っていた、木製蓋釜を台として活用。「祖父の代まで農家だったので、蔵からこういったものがけっこう出てくるんです」とタシロさん

「カモがとても好きで。“いい顔”の子を見つけるとつい買っちゃいます(笑)」とタシロさん。右下にあるのが、リサイクルショップで購入したというカモの置物

トイレのドアの上にもカモが
【タシロさんイベントのお知らせ】
タシロユミコ個展 『めぐる糸と』
会期:2026年4月24日(金)~5月11日(月)※期間中、金・土・日・月のみ開場
営業時間:11:00~17:00
場所:ngumiti蔵前(ヌグミティクラマエ)東京都墨田区本所1-23-3 2階
都営大江戸線・蔵前駅から徒歩9分/都営浅草線・浅草駅から徒歩11分
詳細はタシロさんインスタグラムから。
〈撮影/星 亘 取材・文/諸根文奈〉
タシロユミコ(たしろ・ゆみこ)
“解体と再構築”をテーマに制作するテキスタイルアーティスト。9号帆布からほどいた糸、染め、手刺しゅうを軸に作品を展開。また、制作過程から生まれたアイデアをsyuunyaan(シューンヤーン)名義でクッションやバッグなど『暮らしの品』としてプロダクトを手がけている。
インスタグラム@tashiroyumiko_syuunyaan




