(『小鮒ちふみさんの不調のときでもつくれるがんばらない薬膳ごはん』より)
畑から伝えたい薬膳と養生のこと
「いまでこそ心も体も元気に過ごせていますが、若い頃は心身の不調に悩まされ、20代半ばで胃がんの手術を受けました。その後、夫と出会い、紆余曲折を経て農業の道へ。旬野菜を軸にした胃にやさしい薬膳ごはんを続けて15年がたちました。いつの間にか気力も体力もつき、人生で一番健やかな日々を送れています」と語るのは、こぶな農園で台所担当を務め、薬膳料理家として活躍する小鮒ちふみさんです。

秋にんじんを収穫する小鮒さん。にんじんの収穫時季は春と秋。季節によって甘さや味わいに違いがあるそう
胃がんの手術後、食事を満足にとれない状態が続き、さまざまな健康法や食事法を試したなかで、最もしっくりきたのが薬膳の視点だったといいます。そして、それが農業を始めるきっかけにもなりました。
東洋医学の言葉が導いた、土に近い暮らし
「父が勉強していたこともあり、実家に東洋医学の本がたくさんあったんです。その中で“天人合一(てんじんごういつ)”という古代中国から伝わる言葉に出合いました。自然と人は大きなひとつの命だから、自然に合わせて生きることが養生になる、といった考え方です。本当にそのとおりだなと腑に落ち、それまでの私の生き方は不自然で、間違っていたのかもしれないと」

左から、しょうゆ麹、塩麹、白菜の塩漬け、小松菜の塩漬け、切り干し大根。蒸したり、ゆでたりといったシンプルな調理の養生ごはんは、保存食を上手に活用することで飽きずに続けられる
福島県で暮らしていた小鮒夫妻は、土に近い暮らしをしたいと有機農家のお手伝いをしていました。そこに東日本大震災が起き、せっかくつくった作物が食べられない状況に。病を経て、食の大切さを痛感していたこともあり、生きることの根っこである農業を通して世の中の役に立ちたいと、移住を決めてこぶな農園を始めたといいます。

小鮒家の愛猫シマちゃん
小鮒さんのかんたん薬膳生活
古民家の台所で野菜が主役のごはんづくり

西向きの台所。古民家で冬は寒いが、ここだけは湯気が立ち上り、暖かく過ごせるため、家族の憩いの場にも
小鮒さんは築100年を超える古民家で生活しています。台所は大家さんが60年ほど前にリフォームしたのをそのまま使っています。ここでつくるのは、野菜が主役のごはん。
「種類は2、3種類で、生の状態なら両手にいっぱいくらいの野菜を食べています。加熱するとかさが減るので、食べられますよ」
本記事は『小鮒ちふみさんの不調のときでもつくれるがんばらない薬膳ごはん』(扶桑社)からの抜粋です
〈撮影/山川修一 取材・文/長谷川未緒〉
がんばらなくてもつくれる、続けられる薬膳ごはんの入門書
野菜薬膳料理家で国際中医薬膳師の小鮒ちふみさんの薬膳ごはんの本。春夏秋冬の養生法と、季節の野菜を使った養生ごはんを紹介します。旬野菜を生かしたシンプルで実践しやすい薬膳の入門書としても。不調の時でも自分自身や家族のためにつくれる、シンプルで体を整える薬膳ごはんのレシピを約70レシピ収録するほか、春夏秋冬の養生法と心身の整え方も紹介します。著者にとって初めての著書。春夏秋冬の野菜の薬膳的効能を紹介する解説ページ付き。
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小鮒ちふみ(こふな・ちふみ)
養生薬膳研究家、国際中医薬膳師、医学気功整体師。20代で進行性の胃がんを経て、心のあり方や食生活が体に及ぼす影響に気づき、養生法を学び実践。東日本大震災を機に農業の道へ。「こぶな農園」の台所担当として農食一体を軸に、自治体向け産前産後養生事業やメディアへのレシピ提供、風土と私たちの命になじむ養生法を伝えている。栃木県那珂川町在住。40代、一児の母。
インスタグラム:@chifumi_kobuna
こぶな農園インスタグラム:@kobuna_farm
こぶな農園HP:http://kobuna-farm.com/






