• 2022年より信州の山小屋で暮らす作家の小川糸さんに、山暮らしならではの「夏の楽しみ」を4つ伺いました。執筆に集中する秋を前に、山の短い夏を存分に味わうため、夏休みをとるという小川さん。心身をリセットする、ゆったりとした過ごし方を紹介します。
    (別冊 天然生活『小川糸さんの春夏秋冬を味わうシンプルな暮らし』より)

    小川糸さんの、山暮らしの夏の楽しみ4つ

    夏の楽しみ1
    リラックスして、本や映画の世界に浸る

    ほかの季節に比べて時間に余裕のある夏は、ふだん忙しくてなかなかできないことにじっくり集中できる時期。前から読みたかった本を読んだり、気になっていた映画やドラマを見たりしています。

    画像: この夏読む本は、スザンネ・フィッシャー・リチィ『天の香り』、桜沢如一『東洋医学の哲学』、齋藤雅典『菌根の世界』、ペーター・ヴォールレーベン『動物たちの内なる生活』、山口耀久『定本 北八ッ彷徨』。自然に関する本が多い

    この夏読む本は、スザンネ・フィッシャー・リチィ『天の香り』、桜沢如一『東洋医学の哲学』、齋藤雅典『菌根の世界』、ペーター・ヴォールレーベン『動物たちの内なる生活』、山口耀久『定本 北八ッ彷徨』。自然に関する本が多い

    「先日はドラマ『らんまん』を一気見しました。『ブラッシュアップライフ』というドラマもすごく面白かったですね」

    ときには近隣で行われるコンサートや舞台にも出かけることも。

    「先日は友人と一緒に野外バレエを見に行きました。ステージも衣装も美しかったし、途中から月が昇ってきて、本当に素晴らしい舞台でした」

    時間に追われず、リラックスしながらさまざまなものからの刺激を受けとる。それは、小川さんにとってとても大切な時間です。

    「小説を書くというアウトプットだけだと次第に内面が枯渇してしまいます。時間があるときに集中してインプットをすることで、自分をリセットできるんです」

    画像: リビングに置いたスピーカーから音楽を流して楽しむことも。「クラシックを聴くことが多いです」。

    リビングに置いたスピーカーから音楽を流して楽しむことも。「クラシックを聴くことが多いです」。

    画像: 映画やドラマはパソコンで鑑賞

    映画やドラマはパソコンで鑑賞

    夏の楽しみ2
    友人を招く

    この時季は、避暑を兼ねてたくさんの友人たちが山小屋へ遊びにやってきます。

    画像: 庭に出したテーブルで、ピクニックランチの準備。「夏でも比較的涼しい土地なので、遊びに来てくれた人たちはみんな喜んでくれます」

    庭に出したテーブルで、ピクニックランチの準備。「夏でも比較的涼しい土地なので、遊びに来てくれた人たちはみんな喜んでくれます」

    「ふだんゲストを招くのは週末、しかも余裕があるときだけなんですが、夏休み中は平日にも来てもらうことに。私も一緒になって思いきり遊びます」

    画像: 夏のおもてなし料理、ラタトゥイユとフルーツポンチを並べて。地元の野菜や果物がたっぷり。カラフルな皿はベルリンから持ち帰ったもの

    夏のおもてなし料理、ラタトゥイユとフルーツポンチを並べて。地元の野菜や果物がたっぷり。カラフルな皿はベルリンから持ち帰ったもの

    庭に出したテーブルでピクニックランチを楽しむほか、一緒に温泉やサウナで汗を流したり、近くの川や滝に遊びに行ったりすることも。七輪を使って、庭でバーベキューをする計画も立てています。

    「夜に一緒に散歩に出かけたり、コンサートや舞台に行くときもあります。ふだんはなかなかできないことをするのが楽しいんです」

    地元の新鮮な食材を使った食事やデザートを用意し、少しずつ増やしているお気に入りの場所に案内するなど、森の心地よさや美しさをゲストにも味わってもらおうと心を尽くします。そして夜は一緒に庭でお酒を飲みながらゆっくり語り合うことも。シンプルだけれど贅沢な、大人の夏休みです。

    画像: フルーツポンチは旬の桃やブルーベリーのほか、手づくりの寒天やあんずのシロップ煮を

    フルーツポンチは旬の桃やブルーベリーのほか、手づくりの寒天やあんずのシロップ煮を

    画像: ときどき友人を案内している美しい滝壺。「近くにきれいな水辺がたくさんあります」

    ときどき友人を案内している美しい滝壺。「近くにきれいな水辺がたくさんあります」

    夏の楽しみ3
    夏野菜や果物を味わう

    とうもろこし、トマト、きゅうり、なす、ズッキーニ……。この時季は、地元の農家でとれるおいしい夏野菜を味わいます。

    画像: プチトマトやヤングコーン、モロッコいんげん、ししとうなどの夏野菜。近所の直売所に行けば手頃な価格で手に入る

    プチトマトやヤングコーン、モロッコいんげん、ししとうなどの夏野菜。近所の直売所に行けば手頃な価格で手に入る

    「近くの直売所にたくさん並ぶので、それを買いに行くのも楽しみ。元気がよいものばかりなので、ついたくさん買ってしまいます」

    そうした旬の野菜をしっかり食べて、夏のエネルギーを体に取り入れます。

    「よくつくるのはラタトゥイユ。お鍋ひとつでできるし、たっぷりつくって冷凍しておけるのも便利です。飽きてきたらカレーにしてもよいし、パスタの具にしても。チーズをのせてフライパンで焼いて、パンなどにのせて食べてもおいしいんです」

    画像: 夏野菜たっぷりのラタトゥイユ。少しだけ入れたカレー粉が味のアクセントに。なすやズッキーニは半日ほど干すことで、うま味を凝縮させる

    夏野菜たっぷりのラタトゥイユ。少しだけ入れたカレー粉が味のアクセントに。なすやズッキーニは半日ほど干すことで、うま味を凝縮させる

    たくさん買ったトマトで濃厚なトマトソースをつくり、冷凍保存しておくことも。いずれもシンプルな調理法で、野菜の力強い味わいを堪能します。

    「桃やブルーベリーなど、地元の果物もとてもおいしいです。そのまま食べてももちろんいいし、ゲストが来たときはフルーツポンチをよくつくっています」

    画像: 地元でとれるブルーベリーは甘酸っぱくてみずみずしい味わい。そのままつまむほか、フルーツポンチにも

    地元でとれるブルーベリーは甘酸っぱくてみずみずしい味わい。そのままつまむほか、フルーツポンチにも

    夏の楽しみ4
    家のお風呂時間を楽しむ

    ふだんは毎日夕方になると近所の日帰り温泉に出かけていく小川さん。家のお風呂にはめったに入りません。けれども、夏は例外です。

    「暑くて出かけたくない日もあるし、夏は温泉の周りも人出が多くなるシーズンなので、混んでいる道を避ける意味もあって、家でゆっくりお風呂に入ります」

    画像: 山小屋の1階にある浴室。大きな窓があり、森を眺めながら入浴できる。「窓を開け、鳥の鳴き声を聞きながらお風呂につかります」

    山小屋の1階にある浴室。大きな窓があり、森を眺めながら入浴できる。「窓を開け、鳥の鳴き声を聞きながらお風呂につかります」

    家で入浴するときは、昼間や夕方のまだ明るいうちから。窓を開けて森を眺め、鳥の声を聞きながら、のんびりお湯につかります。

    「お風呂場のベランダにハンモックを吊るしているので、そこで外気浴をすることも。お風呂と行ったり来たりしながら過ごします」

    画像: 浴室のベランダに吊るされたハンモックに寝転べば、外気浴も楽しめる。木の囲いでプライバシーを保ちつつ、森や空も眺められる心地よい空間

    浴室のベランダに吊るされたハンモックに寝転べば、外気浴も楽しめる。木の囲いでプライバシーを保ちつつ、森や空も眺められる心地よい空間

    もうひとつ、家ならではのお楽しみは、自家製の入浴剤。庭に生えているミントをそのまま入れたり、ローズマリーと一緒にやかんで煮出した液体を入れたりして、さわやかな香りを満喫します。

    森の息吹を体で感じながら、時間に追われずに過ごすバスタイムには、いつも行く温泉やサウナとはまた違った魅力があるのです。

    画像: 好みの入浴剤を入れられるのも家のお風呂ならでは。市販のバスオイル以外にも、庭で摘んできたハーブを煮出したものを入れて香りを楽しんでいる

    好みの入浴剤を入れられるのも家のお風呂ならでは。市販のバスオイル以外にも、庭で摘んできたハーブを煮出したものを入れて香りを楽しんでいる

    <撮影/有賀 傑 取材・文/嶌 陽子>

    本記事は別冊天然生活『小川 糸さんの春夏秋冬を味わうシンプルな暮らし』からの抜粋です

    “別冊天然生活

    別冊天然生活『小川 糸さんの春夏秋冬を味わうシンプルな暮らし』(小川 糸・著/扶桑社)

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    美しい山暮らしの中で見つけた、小さな暮らしと小さな幸せ
    2022年から山小屋で暮らし始めた作家の小川糸さん。物語を紡ぎ、暮らしを整え、土に触れる小さな暮らしを実践しています。山小屋での春夏秋冬の季節の移ろいはとても美しく、どの瞬間もキラキラと輝いています。小川糸さんの味わいある暮らしのエッセイや家時間の工夫、季節の食材を使ったレシピもご紹介します。

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    小川 糸(おがわ・いと)
    デビュー作 『食堂かたつむり』(2008年)以来、『ツバキ文具店』『ライオンのおやつ』など、30冊以上の本を出版。作品は英語、韓国語、中国語、フランス語、スペイン語、イタリア語などに翻訳され、さまざまな国で出版されている。公式サイト「糸通信」https://ogawa-ito.com/ では不定期で日々の出来事を綴っている。



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