• 蓼科ハーバルノート・シンプルズを主宰し、日々ショップという場に立つ萩尾エリ子さん。ハーバリストとしての活動のみならず、日々を綴った文章もまた、多くの方に支持されています。薬草とともに、言葉を杖として歩まれてきたという萩尾さんのこれまでを振り返りながら、人生を豊かにする「言葉との上手なつきあい方」についてお聞きしました。
    ※本記事は、ライター・玉木美企子さんの第一エッセイ/俳句集『蝸牛の虫干し』刊行記念お話し会(2026年2月、still room.MEにて開催)の内容を基に構成しています。

    「言葉に磨きをかけて」名づけた、ハーバルノートのハーブティー

    画像1: 「言葉に磨きをかけて」名づけた、ハーバルノートのハーブティー

    ――「春ひとひら」「サマーデイズソング」「オアシス」、そして「フィールドマジック」などなど、ハーバルノートのハーブティーは、飲む前から想像が膨らむようなネーミングばかりです。これらはまさに「言葉を磨いて」名づけられたんですね。

    萩尾 かつてコピーライターとして私が書いたコピーは、ほんの数本だけ。結婚し、店を始めることになって、すぐに退職しました。けれど、その短い時間のなかで、「短い言葉に磨きをかける」ということを学んだ気がします。それがのちに、蓼科でのハーブティーの名づけにつながっていったのかもしれませんね。

    ――たとえば「フィールドマジック」は、どんなイメージからこのネーミングに?

    萩尾 うちのハーブティーは、ほとんど私がブレンドしてつくったレシピですが、この「フィールドマジック」は亡き夫がブレンドしたものなんです。

    このお茶ができたとき、「薬草って本当に、魔法みたいな力がある」って感じました。大地から現れる魔法であり、長い歴史のなかで積み上げられてきた魔法のような知恵が詰まっている、って。だから、「フィールドマジック」。

    どうやってこの言葉にいたったかといわれると、とくにこれといった方法論を持っているわけではないんです。けれどおそらく、子どものころから読んできた西洋の物語に綴られていた言葉たちからは、たくさんの着想を得ているのだと思います。

    画像2: 「言葉に磨きをかけて」名づけた、ハーバルノートのハーブティー

    ――物語の言葉からイメージが生まれ、現実がつくられていった。

    萩尾 そう、物語からイメージが膨らみ、かたちづくられていったものは、レシピだけでなくハーブの活用法、お店のしつらいも含めてたくさんあると思います。

    そんな日々を重ねたいまでは、読書体験と自分の体験や記憶が混ざり合っているような感覚。そうしたものがみーんな溶け合って煮込まれた、胸の内にあるスープのようなところから、本のタイトルとか、エッセイのテーマとかも、ふいにひゅーっとね、言葉として表れてくるんです。

    あなたの言葉もきっと、そうでしょう?



    〈取材・文/玉木美企子 写真/古厩志帆〉

    萩尾エリ子(はぎお・えりこ)
    ハーバリスト。ナード・アロマテラピー協会認定アロマ・トレーナー。日々ショップという場から植物の豊かさを伝えることを喜びとする。著書に、『風の飲みもの、光のおやつ』(扶桑社)など。

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    『風の飲みもの、光のおやつ 薬草店の幸せなテーブルから』(萩尾エリ子、永易理恵・著/扶桑社・刊)

    画像: 大切なときこそ“磨いて、手放す”ハーバリスト・萩尾エリ子さんの「言葉とのつきあい方」小さな花束のような文章で想いを伝えて

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