92年続くものづくりと、初めての直営店

東京・清澄白河にオープンした野田琺瑯の直営店
白くつややかな佇まいと、使うほどに愛着が増していく丈夫さで、長年多くの家庭に寄り添ってきた「野田琺瑯」の道具たち。
1934年(昭和9年)の創業から92年。国内唯一の鋼板琺瑯メーカーとして、いまも変わらず琺瑯の道具をつくり続けています。
そして2026年6月21日、東京・清澄白河に野田琺瑯初となる直営店がオープンしました。

店舗の看板も琺瑯で
店内に並ぶのは、保存容器でおなじみの「ホワイトシリーズ」をはじめ、バットやケトル、ボウル、昔ながらの琺瑯製品まで、長い歴史のなかで生まれてきた数々の道具。
「こんなに種類があったんですね」
「私これ持ってる! あれも持ってる!」
訪れた人から、そんな声が届くといいます。
迎えてくださったのは、野田琺瑯の“部長”こと野田善子さん。
善子さんは、現在83歳。会長である夫や家族とともに会社を支え、いまも総務や経理を担当しています。

野田琺瑯の野田善子さん
「見て、触って、感じてもらえる場所をつくりたかった」
これまで野田琺瑯には、全商品を一同に展示できる場所がありませんでした。
「お客さまから『実物を見てみたい』『持ってみたい』『ほかにはどんなものがありますか』というお問い合わせをたくさんいただいていたんです」

写真だけでは伝わらない、大きさや重さ、手に持ったときの感覚。
実際に手に取って、ゆっくり選んでもらえる場所として、この直営店が生まれました。
手に取ることで伝わる、琺瑯という道具のよさ
木のぬくもりを感じる空間に、白い琺瑯が並ぶ店内
店づくりで大切にしたのは、訪れた人がゆっくり道具を見て、手に取れる空間づくり。
「品物が手に取りやすいこと、見やすいこと。それを一番に考えました。そして入っていただいたときに、心が落ち着くような場所でありたいですね」

店内には、実際に料理ができるキッチンスペースも設けられています。
「食と琺瑯は切っても切り離せないものですから」
今後は、実際に琺瑯を使ったワークショップも開いていきたいといいます。
「琺瑯の道具が、毎日の暮らしを助け、励ましてくれるものでありたいと思うんです」

店舗限定で販売される新作プレート。デザインを手がけたのは酒井俊彦さん。豆皿は1,320円〜
懐かしい記憶のなかにも、琺瑯の道具がありました
「プラスチックが普及する前は、いろいろな場所で琺瑯が使われていたんですよ」
戦前からつくられているという青い「ホーロータンク」は、業務用としても広く使われていますが、家庭用としては、漬物や味噌づくりの保存容器として活躍してきたもの。

棚の一番下に並ぶ、昔ながらの「ホーロータンク」
「皆さま、季節の手仕事に使ってくださっているんです。焼き鳥屋さんやうなぎ屋さんでは、タレを入れる容器としても使っていただいています」
さらに、学校や病院、理美容室、市場など、さまざまな場所で野田琺瑯は使われてきました。
「小学校の保健室に、洗面器がありませんでしたか? あと、理美容室の器具を消毒するものとして琺瑯が使われているんです」
その理由は、表面がガラス質でできていて、入れたものの成分に影響しにくいから。

理美容室で使われていた琺瑯製の器具入れ。清潔さが求められる現場でも活躍してきました
「味を変えてはいけないもの、製品の成分を変えてはいけないもの。そういう場所でも、琺瑯は使われてきました」
台所だけではなく、学校や病院、ものづくりの現場にも。
時代ごとの暮らしや仕事のなかで、琺瑯は身近な道具として使われていたのです。
<撮影/星 亘 取材・文/編集部>
野田琺瑯 直営店
住所:東京都江東区清澄2-3-2 1階
営業時間:12:00〜18:00
定休日:月・火曜日
アクセス:東京メトロ半蔵門線・都営大江戸線「清澄白河」A3出口より徒歩6分
インスタグラム:@nodahoro
https://www.nodahoro.com/




