• エッセイストで空間デザイン・ディレクターの広瀬裕子さん。書籍『60歳からあたらしい私』の続編として、そこから続く60代の暮らし方を、60歳になった広瀬さんが見つめます。50代の時と比べ、60代は新たな変化があります。できなくなっていくこと、見送ることも増えますが、反して、気づくこと、自分らしく過ごせるようになる時間ができれば、年齢は、やさしくわたしに微笑んでくれるでしょう。「60代の衣食住健」。おつきあいいただけたら、うれしいです。日用品について。

    3年前から日用品を減らしました

    日々、使うものの数を減らして3年が経ちました。基本は同じものを3枚にしています。たとえば、入浴後のタオル3枚。キッチンのふきん3枚。Tシャツ3枚。ソックスは、夏用のもの3枚、冬用のもの3枚。下着もキャミソールなども3枚にしています。

    「数を決めて」と思ったのは、そのほうが管理・整理しやすいと考えたから。はじめは、7枚からスタートし、その後5枚を経て「もう少し減らしても大丈夫そう」と感じ、3枚になりました。それでも「基本3枚」をはじめた当初は「足りないと感じたら買い足そう」と思っていました。が、いまのところは、その数でまわっています。

    変化したのは洗濯の回数でしょうか。1日2~3回、洗濯機をまわし(ときには手洗いで)「使ったらすぐ洗う」「着終わったらすぐ洗濯」を心がけています。

    画像: タオルとバスマットは同じブランドに。タオルのサイズは45×90と通常のフェイスタオルより少し長いサイズを選んでいます

    タオルとバスマットは同じブランドに。タオルのサイズは45×90と通常のフェイスタオルより少し長いサイズを選んでいます

    数を減らしたら、収納がコンパクトに

    数を少なくしてよかったのは、まず、収納スペースがちいさくなったことです。それまでは「このボックスはソックス専用」「この引き出しはTシャツ」「暑い季節・寒い季節それぞれの下着の引き出し」でした。いまはすべてがちいさな収納2つに収まっています。

    そして、洗濯を「あとまわし」にしなくなったことです。洗濯回数はふえましたが、1度に洗う量が少ないこともあり「洗う・干す・たたむ」が億劫になりません。以前は、洗濯カゴに2日分の洗濯物がたまっていたり、乾いた洗濯物がちいさな山になっていることもありました。いまはそんなこともなくなり──と、いうかできなくなりました。

    洗濯は、夜にすることが多く、そのまま室内に干し、朝起きて洗濯物をたたむというサイクルです。わたしの暮らしている部屋は乾燥気味で、とくに寒い季節はエアコンをつけていることもあり、朝、目を覚ますと洗濯物がぱりっと乾いています。室内干しも何ら問題ありません。

    画像: 「無印良品」の引き出しタイプのボックスに下着類、ソックス、Tシャツを収納

    「無印良品」の引き出しタイプのボックスに下着類、ソックス、Tシャツを収納

    減らしてみると、「使わないものがない」という心地よさを発見

    思い出すと、たくさん持っていたときは引き出しの奥にちいさくたたんだソックスが眠っていたり、タオルも重ねた下のほうはあまり使わなかったり、ということがありました。いまは「すべて使う」になっています。

    画像: 以前の住まいの時の収納。ここからずいぶん減りました

    以前の住まいの時の収納。ここからずいぶん減りました

    数を減らしたぶん、「いいもの」を選ぶようになりました。手ざわりや肌ざわりがいいもの、すきなデザインを選びます。買い替えの周期も必要ならば短めにします。夏用のソックスなどは、1シーズンがちょうどいいですね。「すきなもの」と「清潔」は大切です。

    これから気になることがあるとしたら入院したときでしょうか。下着などは「1週間分必要」となっている病院や施設が多いようで、そういうときは「そのとき考えよう」と思っています。

    夏は、洗濯回数が増える季節です。それは、使うもの、着るもの、持っているものの見直しにいい時期です。洗濯→乾燥→たたむ。このサイクルが冬より頻繁になるため「自分に合う数」がわかりやすくなります。

    生活や仕事、年齢、家族構成などで必要なものや数はちがいます。「減らせばいい」というものでもありません。わたしのように「数を決める」ができないときもあります。一番は「気持ちよく使える」「負担なくまわせる」こと。

    そのことを踏まえたうえで、3年という時間のなかで、わたしはわたしの「いまはこれ」を見つけました。

    画像: 洗剤は3本ストック。ラベルをとった「緑の魔女」のボトルに詰め替えタイプを

    洗剤は3本ストック。ラベルをとった「緑の魔女」のボトルに詰め替えタイプを


    画像: 減らしてみると、「使わないものがない」という心地よさを発見

    広瀬裕子(ひろせ・ゆうこ)
    エッセイスト、設計事務所共同代表、空間デザイン・ディレクター。東京、葉山、鎌倉、瀬戸内を経て、2023年から再び東京在住。現在は、執筆のほか、ホテルや店舗、住宅などの空間設計のディレクションにも携わる。近著に『50歳からはじまる、新しい暮らし』『55歳、大人のまんなか』(PHP研究所)、『60歳からあたらしい私』(扶桑社)。7月30日に新刊『50代からのグレイヘア』(PHP研究所)が発売予定。インスタグラム:@yukohirose19

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    『60歳からあたらしい私』(広瀬裕子・著/扶桑社・刊)

    『60歳からあたらしい私』(広瀬裕子・著/扶桑社・刊)

    画像: 60歳、日用品は「基本3枚」でまわす。数を減らして気づいた“家に使わないものがない”という心地よさ|広瀬裕子の60歳からの衣食住健

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    50歳、55歳と年齢をテーマに執筆してきた著者が、60歳を迎えるまでの日々に考え、選択し、アップロードしている暮らしの知恵を1編ずつ丁寧に書き下ろしました。

    「抗うことなく、あきらめることなく、自分に合った選択をしていく。気持ちのこと、身体のこと、家族のこと。いままでのことを振り返りながら、60代のために新しいスタートラインを『引き直したい』と思うようになりました」と広瀬さんは語ります。

    60歳はあたらしいスタートラインととらえ、これからの生活小さな暮らし、グレイヘア、家族の看取りなどをていねいに一編一編綴ったエッセイ集です。



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