• 60代のいまを楽しむ、気ままな街歩き。上京して40年になるカメラマン・石黒美穂子さんが、懐かしい風景と新しい発見を探して東京の街を歩き、その魅力を綴る「大人のひとり散歩道」。今回は、10代のころから通う「とんかつ まい泉 青山本店」へ。元銭湯の面影が残る空間で、思い出の味を堪能します。

    大人のひとり散歩道「とんかつ まい泉 青山本店」へ

    初めまして、カメラマンの石黒美穂子です。上京してはや40年、バブルにパンデミック、東京オリンピックを経て、街の景色はすっかり変わりましたが、ときどき昔ながらの街並みやお店を見つけると、懐かしさに胸キュンしています。一方で、どんどん進化していく街で出合う新しいスポットにもワクワクします。そんな私の散歩の時間を、皆さんにも一緒に楽しんでいただけたら幸いです。

    同潤会青山アパートが表参道ヒルズになったことで街の様子が一変した原宿・表参道界隈。そんななかでも変わらず、おいしいごはんが食べられるのが『とんかつ まい泉 青山本店』です。

    画像: 銭湯として営業していたころの「神宮湯」。近くの知人宅に泊まったときに利用したこともある、若かりしころの思い出の場所です(提供:とんかつ まい泉)

    銭湯として営業していたころの「神宮湯」。近くの知人宅に泊まったときに利用したこともある、若かりしころの思い出の場所です(提供:とんかつ まい泉)

    画像: 大きなまい泉のロゴが掲げられた、西洋館の入口。銭湯の名残で、男湯と女湯に分かれふたつの入口があります

    大きなまい泉のロゴが掲げられた、西洋館の入口。銭湯の名残で、男湯と女湯に分かれふたつの入口があります

    1980年代前半、10代だった私は頻繁に地元・名古屋から東京へライブ遠征をしていました。近くのデザイン事務所の人たちに『うちの社食だよ』と行きつけのお店に連れてきてもらっていたのが「まい泉」との出合いでした。

    そのころ、よく食べていたのが日替わりの「まい泉定食」。焼き魚やとんかつに小鉢がついた、栄養バランスのよい定食です。

    先日訪れた際に、30年近く前のメニューを見せていただいたら、定食的なメニューが豊富にあったことを思い出しました。

    常連さんのリクエストに応えたり、近所の美容室などで働く若い人のためにとつくっていたら、どんどんメニューが増えていったのだとか。ファミリーレストランのなかった時代にはとても貴重な存在だったようです。

    画像: 当時のメニュー。そば職人が毎日手打ちしていたという、そばのメニューまで。当時の私のお気に入りは、ほぐした鮭といくらがのった「親子膳」でした

    当時のメニュー。そば職人が毎日手打ちしていたという、そばのメニューまで。当時の私のお気に入りは、ほぐした鮭といくらがのった「親子膳」でした

    画像: 本館2階の洋間では、現在も22脚のイームズチェアが現役で使われています。椅子の特集でテレビの取材を受けるほど、貴重なヴィンテージものだそうです

    本館2階の洋間では、現在も22脚のイームズチェアが現役で使われています。椅子の特集でテレビの取材を受けるほど、貴重なヴィンテージものだそうです

    いまではデパートや駅売店など、あちらこちらで購入できる「ヒレかつサンド」。レストランで職人がつくるできたては、ひと味もふた味も違うので驚きです。

    まい泉自慢の“箸で切れるやわらかなとんかつ”にサンド専用に焼かれたふわふわのパン、秘伝のヒレかつサンド用のソースが三位一体となってつくり上げられた逸品なのです。

    画像: まい泉では技術継承と向上のために、実技と筆記の試験による社内認定制度があり、安定したおいしいとんかつのために職人さんが日々努力を積み重ねているそうです

    まい泉では技術継承と向上のために、実技と筆記の試験による社内認定制度があり、安定したおいしいとんかつのために職人さんが日々努力を積み重ねているそうです

    大人になってわかるとんかつのおいしさはまた格別。伝統の味は変えていませんが、細かいブラッシュアップをしているそうです。

    たとえば、以前揚げ油にはラードを使用していましたが、時代やお客さまの嗜好の変化に合わせて、植物性のひまわり油に変えているのだとか。

    また消化を助けるために、食前に出していた大根おろしは、海外のお客さまにも抵抗なく食べてもらえるように「大根おろしの和風スープ」に変えたそうです。

    画像: 希少な豚肉を使った「黒豚ヒレかつ膳」(3,900円)。大きさや形状を細かく指定したパン粉をブレンドし、さっくりと衣の立った剣立ち(けんだち)に仕上がったとんかつは熟練の技が光るひと皿。おかわり自由のキャベツは毎月その時季に一番おいしい産地のものを選んで、細さもミリ単位で調整しているそうです。ちなみにごはんと味噌汁もおかわり自由

    希少な豚肉を使った「黒豚ヒレかつ膳」(3,900円)。大きさや形状を細かく指定したパン粉をブレンドし、さっくりと衣の立った剣立ち(けんだち)に仕上がったとんかつは熟練の技が光るひと皿。おかわり自由のキャベツは毎月その時季に一番おいしい産地のものを選んで、細さもミリ単位で調整しているそうです。ちなみにごはんと味噌汁もおかわり自由

    画像: まい泉の特製ソースは、創業者考案の辛口ソース(左)と甘口ソース(上)。黒豚には酸味の効いたあっさりした味つけの黒豚専用ソース(右)が付いています

    まい泉の特製ソースは、創業者考案の辛口ソース(左)と甘口ソース(上)。黒豚には酸味の効いたあっさりした味つけの黒豚専用ソース(右)が付いています

    店舗詳細

    画像3: 東京・表参道に残る“元銭湯”の面影「とんかつ まい泉 青山本店」へ。10代のころから変わらない、思い出の味を訪ねて|大人のひとり散歩道/カメラマン・石黒美穂子さん

    とんかつ まい泉 青山本店

    住所:東京都渋谷区神宮前4-8-5
    電話:050-3188-5802
    営業時間:11:00〜22:00(ラストオーダー 21:00)
    https://mai-sen.com/

    価格は、取材時2026年7月現在のものです



    <撮影・文/石黒美穂子>

    画像2: OSAJI(オサジ)のネイル

    石黒美穂子(いしぐろ・みほこ)
    フォトグラファー/MIGO LABO ディレクター。名古屋市出身。雑誌やWEBにおけるライフスタイル系の撮影経験を活かし、2016年に東京都目黒区に「MIGO LABO」をオープン。国内外のハンドクラフト作品を中心に個展や企画展を開催。ライフワークは湯活・サ活、町中華や酒場などをめぐる街散策。

    MIGO LABO 公式サイト:https://www.migolabo.com
    MIGO LABOインスタグラム:@migolabo
    石黒美穂子インスタグラム:@ishiguromihoko



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