• 1日の終わりに手を動かし、自分らしさを保つ。そんな豊かな時間を大切にしている手工芸作家・イラストレーターの堀川波さんを訪ねました。集中力が高まる夜にアイデアと出合うという堀川さんに、夜の手仕事の楽しみ3つを伺います。夜が長くなる秋のはじまりに、手を動かしながら、季節の移ろいを感じてみませんか。
    (『天然生活』2025年10月号掲載)

    集中力が高まる夜は、手を動かしてアイデアと出合う

    「仕事と遊びの境目があいまいなタイプで、昼はしっかり仕事、夜はのんびりリラックスという考え方がないんです。夜も昼の延長という感覚で手仕事をしたり、新しいことを考えたりしています」

    そう話してくれた堀川波さん。夜の作業時間は8時〜10時くらいが多く、気持ちがのっているときは11時半くらいまで手を動かすこともあります。「目がしょぼしょぼしたら」終わりの合図です。

    「昼の延長といいつつも、やはり夜に向いていることってあるんですよね。夜の方が集中力は高まるので、黙々とできる縫いものや編みものをよくしています。刺し子や籐編み、かごバッグに革の持ち手を付ける作業は夜にすることが多い手仕事です」

    夜に手を動かしているときは、思いがけず新しいアイデアに出合うことが多くあるといいます。

    「机に向かって『よし! 考えよう!』と思ったことはほとんどなくて、こういう淡々とした作業時間に、頭にパッとアイデアが浮かんできます。静かな夜に手仕事に集中することで、自然と頭が整理されているのかもしれません。やりたいことが浮かびすぎて、それを形にする作業が追いつかないくらいです」

    画像: 子育てがひと段落し、早起きする必要がなくなったことから夜時間も大切にしている堀川さん。「ときにはお酒を飲みながら楽しんでいます」

    子育てがひと段落し、早起きする必要がなくなったことから夜時間も大切にしている堀川さん。「ときにはお酒を飲みながら楽しんでいます」

    夜の手仕事時間をともに過ごすのは建築学科に通う大学生の息子さん。お互いにイヤホンをして自分の作業に没頭しながら、同じ空間で手を動かします。

    「息子も課題の模型をつくったり、調べ物をしたり、ひと続きのリビングとダイニングでお互いの作業をしています。子どもが成長して、こうやって夜の時間を自分のために過ごせるようになったのはうれしいことですね。夜が長くなる季節は、窓を開けると鈴虫の声が聞こえてきて秋を感じます。部屋に風を通して季節を感じながら、それぞれが手仕事をする時間がとても好きです」

    堀川さんの「夜の手仕事」の楽しみ3つ

    ①刺し子ステッチ

    画像: 「チェックアンドストライプ」のリネンに、同系色のこぎん糸でステッチ

    「チェックアンドストライプ」のリネンに、同系色のこぎん糸でステッチ

    「ポンポンステッチ」と「スカラップステッチ」をこぎん糸でチクチク刺して、巾着に仕上げます。「刺し子を始めて3年目。イラストレーターとしての世界があったからこそのイラスト的な図案も増えてきました」と堀川さん。図案や作品のデザインは夜に浮かんでくることが多く、とくに手を動かしているときに出合うそう。

    画像: 「ダルマ」の糸を使用。ブックタイプの針入れにも刺しゅうを

    「ダルマ」の糸を使用。ブックタイプの針入れにも刺しゅうを

    ②かごバッグの持ち手つけ

    画像: 革は東京・蔵前で購入。革に穴を開けてから、持ち手に縫い留める

    革は東京・蔵前で購入。革に穴を開けてから、持ち手に縫い留める

    デザインを起こし、インドネシアの職人に発注しているかごバッグ。夜の手仕事のひとつは、このバッグの持ち手に革を縫いつけること。

    「かごカバーの布と刺し子糸の色味に合わせて革をセレクトしています」。夜の作業中のBGMは、Vaundyや、意外にもお笑い芸人の「ダイアン」や「マユリカ」のポッドキャストなんだとか。

    画像: 「日常使いができて、季節を問わず持てる」デザインに

    「日常使いができて、季節を問わず持てる」デザインに

    ③籐編み

    画像: 「始めると止まらなくなる」籐編み。「水引」の結びのように編んでいく

    「始めると止まらなくなる」籐編み。「水引」の結びのように編んでいく

    天然素材の籐(ラタン)を水につけてやわらかくし、編んでチャームやアクセサリーをつくります。

    「きっかけは47歳のとき。それまでずっとイラストを仕事にしてきたけれど、籐のアクセサリーを見て、やりたい!と。それから作家養成のワークショップに通いました」

    より集中力が高まる夜は、小物づくりにもぴったりです。

    画像: 軽くて丈夫な籐は、ストレスなく着けられるアクセサリー

    軽くて丈夫な籐は、ストレスなく着けられるアクセサリー



    〈撮影/星 亘 取材・文/飯作紫乃〉

    堀川 波(ほりかわ・なみ)
    籐のアクセサリーやオリジナルかごバッグのブランド「dot to dot」を立ち上げ、オンラインや各地のポップアップショップなどで制作販売。著書『刺し子糸で楽しむ刺繍』(誠文堂新光社)は、「刺し子ステッチ」が簡単に始められる針仕事の本として人気。海外でもワークショップを開催。
    @horikawa._.nami

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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