• あわただしかった昼間の疲れをいやし、心と体をリセットする夜時間。新しい日を気持ちよく迎えるために、夜はどんな風に過ごしていますか? 今回は、料理家・中川たまさんの、心と体をいやしてくれる「眠るまでの過ごし方」を拝見します。
    (『天然生活』2025年10月号掲載)

    今日を気持ちよく手放し、明日を迎える準備の時間

    中川たまさんの料理家としてのスタートは、20年ほど前。そこから十数年は、仕事に子育てに、一日をフルに使い切っていました。

    夜には電池が切れたように、母娘ともベッドでぐっすり。ひとり時間をゆったり過ごすなんて、想像もできない毎日でした。

    「娘はとにかくアクティブな子どもだったので、私はそのスピード感についていくのが精一杯。当時は、子育てが一段落したら夜も自由に出かけられるとわくわくしていたんですよ。ところが、ようやくそのときが来ると不思議なもので、家から出ずに、何をするでもない時間を過ごしているんです」

    画像: 朝ごはんのパンがないときのために、夜にスコーンの生地を仕込んでおくことも。計量はせず、ざっくりと、自由な配合で

    朝ごはんのパンがないときのために、夜にスコーンの生地を仕込んでおくことも。計量はせず、ざっくりと、自由な配合で

    お茶を飲み、猫をなで、気が向けばお菓子をつくる夜。

    「あのころとは自分の体力も違うんだなあ、って。日中働いて、夜も外に出て動いていたら、翌日は使いものにならなくなっちゃう」

    夜の時間、タスクはとくにありません。一日の終わりを気持ちよく締めくくるための、いくつかのルーティンを淡々と。それはあくまで、気持ちと相談しながら。してもいい、しなくてもいい、くらいのゆるやかさです。

    画像: 朝、冷蔵庫で寝かせておいた生地を焼き上げる。この日はマスカルポーネチーズと、自家製の桃とプラムのジャムを添えて

    朝、冷蔵庫で寝かせておいた生地を焼き上げる。この日はマスカルポーネチーズと、自家製の桃とプラムのジャムを添えて

    「おつかれさま」と、その日を気持ちよく手放す

    実は中川さんは、オンオフの切り替えが苦手だそう。

    以前はそれを気にしていましたが、効率よくオフにならないのもまた、自分らしさ。瞬間的に切り替わらなくても、傾斜をつけてゆっくりと、心地いい状態にたどり着けばいいのだと悟りました。

    「きちんと気持ちを鎮めるためにも、夜は穏やかに過ごすことを心がけています。焼き菓子を仕込むのは朝のためでもあるけれど、手を動かしていると無心になって落ち着くから。ときには動画を観ることもありますが、水族館のラッコがずっと泳いでいるライブ映像とか……そんなものばかり」

    画像: 焼き菓子などのほかに冷たいおやつを準備することも。この夜は、シャインマスカットをたっぷり使った涼しげなゼリーを

    焼き菓子などのほかに冷たいおやつを準備することも。この夜は、シャインマスカットをたっぷり使った涼しげなゼリーを

    続きが気になるような、気持ちがたかぶるドラマなどは避け、就寝前のストレッチも、ごく軽く。

    「感情も疲れも、一日ごとに手放すのが理想です。過ぎた今日を引きずることなく、新たな気持ちで明日を迎えるために。夜は、その準備にあてる時間です」



    〈撮影/大森忠明 取材・文/福山雅美〉

    中川たま(なかがわ・たま)
    神奈川県・逗子で夫と長女と猫1匹で暮らす。自然食品店勤務後、子を持つ母3人でケータリングユニット「にぎにぎ」を結成。その後独立し料理の道へ進む。旬の食材を使い、シンプルな手順で味わいを引き出すレシピが好評。著書に『せいろで日々ごはん』(家の光協会)など。
    インスタグラム@tamanakagawa

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです



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