(『天然生活』2025年11月号掲載)
十分な睡眠と軽い運動、そして薬膳。バランスのとれた養生が大切

体の声に耳を傾け、一人ひとりの体質や体調、季節や風土に合わせた食材を選ぶことで、心と体の健康を保つのが薬膳。身近な食材がもつ、薬と同じような効果を日々の食事から取り入れ、小さな不調を改善することができます。
ただし、「薬膳だけをやればよい」「この食材さえ食べれば大丈夫」というものではないと、薬膳の専門家で管理栄養士でもある植木もも子さんは語ります。
「確かに食べ物の力は大きいですが、運動や睡眠と組み合わせることで、本来の効果を発揮します」。十分な睡眠と軽い運動、そして薬膳の考え方に基づく食事という、バランスのとれた養生が大切になってきます。
また、薬膳というと「専門的な知識や特別な食材が必要なのでは?」という人もいますが、「体の状態に合わせて、身近な食材を組み合わせていけば大丈夫。決して難しく考える必要はありません」。
食材の力を知り、自分の体質や不調に合った取り入れ方を選べるようになれば、ふだんの食事も変わってきます。それがそのまま自分を整えることになるのです。
自分の体質や不調に合った食材の取り入れ方を選ぶ
薬膳では、自分の体質に合わせて養生することが重要です。下に8つの体質別の特徴を紹介しているので、自分がどのタイプかチェック。体質に合わせた食材や食べ合わせを取り入れてください。
01 気滞体質 (きたいたいしつ)

□ イライラしやすい
□ 生理のとき脇腹や胸が張る
□ 頭や体の節々が痛む
□ おなかが張りやすくおならが多く出る
□ ため息やげっぷが多く出る
□ 胸がつかえることがよくある
ストレスや感情の影響を受けやすく、怒りっぽい。胸や喉、おなかに張りやつまりを感じやすい。香草や香味野菜など香りの強い食材で気の流れをスムーズにする。
【おすすめ食材】 タンパク質、柑橘類、香りのよい野菜(青じそ、みょうが、セロリ、ミントなど)、そば
02 血虚体質 (けっきょたいしつ)

□ 不安を感じ、動悸が起きやすい
□ 寝つきが悪く、夢が多く睡眠が浅い
□ 髪や肌がパサつき、爪が割れやすい
□ 目が疲れやすい
□ 手足の引きつりやしびれを感じる
□ 顔色が白っぽく、めまいを起こしやすい
血が不足しているため、全身に栄養や潤いが行き届かない状態で、体つきが薄い。偏食を改めて消化のよいものを取り入れて心と体に潤いを。過労や寝不足に注意する。
【おすすめ食材】 にんじん、白米、いわし、いか、豚肉、プルーン、黒ごま、牛乳
03 気虚体質 (ききょたいしつ)

□ 気力がなく、疲れやすく、横になりたい
□ 呼吸が浅く、息切れしやすい
□ 汗をよくかき、風邪をひきやすい
□ 下痢をしやすい
□ 昼間から眠気がする
□ 顔につやがない
ぽっちゃり体型。気が不足していて疲れやすく、顔色も白っぽくツヤがないのが特徴。休養をしっかりとり、体を冷やさない。冷たいものや脂っこいものを避け温かい食事を。
【おすすめ食材】 白米・もち米、おかゆ、大豆、牛肉、豚肉、鶏肉、かぼちゃ、キャベツ、あじ、かつお
04 陽熱体質 (ようねつたいしつ)

□ 顔が赤い
□ イライラして怒りっぽい
□ 目が充血している
□ 喉が渇き、冷たい飲み物を好む
□ 血圧が高め
□ 尿、痰、おりものなどの分泌物の色が濃く、においが強い
体に余分な熱がこもるので暑がり。がっしり体型で顔が赤く、吹き出ものや口内炎が出やすい。体の熱を冷ます「涼性」の食材をとり、体を温める食材は避ける。
【おすすめ食材】 トマト、きゅうり、白菜、バナナ、雑穀類、セロリ、もやし、わかめ、豆腐、こんにゃく
05 水毒体質 (すいどくたいしつ)

□ 体が重く、だるい
□ 吐き気をもよおしやすく、食欲がない
□ むくみやすい、とくに足がひどい
□ 体が全体的に冷たい
□ 下痢気味で、尿の量が少ない
□ 雨の日、くもりの日に具合が悪くなる
顔色が黄色く、水分代謝が悪いためむくみやすい。冷たいもの、「湿」を生む脂っこいものやお酒、甘いものは控えて、利尿作用のある食材を。入浴や運動も取り入れる。
【おすすめ食材】 はと麦、とうもろこし、大豆、小豆、冬瓜、なす、はまぐり、くらげ、しょうが、セージ
06 陽虚体質 (ようきょたいしつ)

□ 寒さが苦手
□ 温かい飲み物や食べ物が好き
□ 夜尿症、またはトイレが近い
□ 下半身がむくむ
□ 寝ても疲れがとれず、朝に弱い
□ 顔色が青白い
筋肉量が少ないやせ型で体を温める力が足りず、疲れや冷えを感じやすい。冷たい食べものや飲みものは控え、とくに下半身を重点的に温める。体を積極的に動かす。
【おすすめ食材】 えび、にら、干ししょうが、鶏肉、シナモン、くるみ、白米・もち米、さけ、あじ
07 陰虚体質 (いんきょたいしつ)

□ 喉が渇きやすい
□ のぼせやすい
□ 手足が火照りやすい
□ 便秘しやすく、ウサギの糞のような便が出る
□ 舌が赤くて短い
□ よく眠れない、または、寝汗をよくかく
やせ型で血と潤いが不足しているので、体が砂漠のような状態に。咳をすることが多い。しっかり寝て体を休める。辛いものやお酒を控えて心身の潤いを補う食事をとる。
【おすすめ食材】 牡蠣、黒ごま、黒豆、白きくらげ、山いも、豆腐、白菜、かに、梨、りんご、豚肉、卵
08 瘀血体質 (おけつたいしつ)

□ 顔にくすみやシミがでやすい
□ 首や肩がこり、決まったところが痛む
□ 生理痛がひどく、月経血に塊がある
□ 静脈りゅうがある
□ 手足に冷えがある
□ 慢性的な痛みや痔などの持病がある
冷えやストレスで血の流れが滞り顔色が悪く、痛みやこり、月経トラブルも。軽い運動や入浴で体を温めて血流を促す。体を冷やす食材は避け活血作用のある食材をとる。
【おすすめ食材】 玉ねぎ、黒きくらげ、青魚、酢、ねぎ類、にんにく、ウコン、チンゲン菜、ブルーベリー
※本セルフチェックリストは、ご自身の体質タイプを把握するための参考指標です。結果をもとに自己判断をせず、異常やご不安がある場合は必ず専門医の診断をお受けください。
<取材・文/工藤千秋 イラスト/omiso>
植木もも子(うえき・ももこ)
管理栄養士、国際中医師、国際中医薬膳管理師。岸朝子氏に師事し料理記者として活躍後、和食料理研究家の鈴木登紀子氏のアシスタントを経て、フードスタイリストとして活躍。薬膳と栄養学の両方を取り入れ、「わかりやすい薬膳」を広めるべく活動。『薬膳・漢方 食材&食べ合わせ手帖』(喩静氏と共に監修)など著書多数。
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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