• 「趣味は“暮らし”」といいきる横山タカ子さん。ものを慈しみ、楽しく使いきるその暮らしの知恵を紹介します。後編では、「梅とさけの柿の葉ごはん」「さしすのコールスロー」「キャベツのぬか浅漬け」「さんまの味噌漬け焼き」のレシピも教えてもらいました。
    (『天然生活』2017年11月号掲載)

    横山タカ子さんの10の知恵

    横山タカ子さんの楽しく使いきる生活術(前編)より続き —

    5 人工の芳香剤は使わない。防虫剤は天然のものを。

    画像: 天然素材を使った鳩居堂の「にほひ粉」や「防虫香」で、におい袋を手づくり。「布や端布は山ほど持っていて、見ているだけで楽しくて幸せ」

    天然素材を使った鳩居堂の「にほひ粉」や「防虫香」で、におい袋を手づくり。「布や端布は山ほど持っていて、見ているだけで楽しくて幸せ」

    日頃から、天然の草木製のにおい粉や防虫香を見つけると、よく買い求めるという横山さん。お気に入りの端布で防虫兼用のにおい袋をつくり、ご自身の着物の帯に忍ばせたり、ご主人の背広のポケットにも入れたりしています。

    「老年の男性は、強い香水で老臭を隠すより、すれ違ったときにふっと自然の草木の香りがするほうが素敵だと思うの」

    人工的な芳香剤や化学防虫剤など不自然な香りは、「自然の香りをじゃまする余分なもの。直線的で強いから、感覚が鈍って、天然のささやかな香りに気づかなくなってしまうような気がしています」

    6 古いバケツ、割れた土鍋は、植木鉢に。

    画像: 愛用のバケツを持ち運び自由な植木鉢に変身させるアイデアを思いついたときは、うれしくて小躍りしてしまったそう

    愛用のバケツを持ち運び自由な植木鉢に変身させるアイデアを思いついたときは、うれしくて小躍りしてしまったそう

    「日々使う道具は、すべて自分で選んで買った、大切なもの。だから、少し壊れたくらいでは、惜しくて捨てられません」

    植木鉢代わりのブリキのバケツは、とても気に入っていたもの。長く使いつづけるうちに底に穴があいてしまって、思案した末に、植木鉢に。取っ手があるから自由に持ち運びができて、とても重宝だそう。

    こけ玉をのせたのは陶皿かと思いきや、土鍋のふたです。

    「大好きな土鍋でしたが、身のほうをうっかり割ってしまって」。蒸気抜きの穴がちょうどよい水はけの役割を果たし、これもまた使いやすいそう。

    画像: 福森雅武さんの「土楽」の土鍋のふたは、丸みが、こけ玉によく似合う

    福森雅武さんの「土楽」の土鍋のふたは、丸みが、こけ玉によく似合う

    7 買うときに、ごみを出さないために、あえて瓶を選ぶ。

    画像: お気に入りの調味料は、なぜか、みな瓶入り。ワインは赤が好きだけれど、透明な瓶欲しさに白を買うことも

    お気に入りの調味料は、なぜか、みな瓶入り。ワインは赤が好きだけれど、透明な瓶欲しさに白を買うことも

    調味料や日本酒、ワインなどを買うときは必ず瓶入りのものを買うのが、横山さんの信条です。

    瓶は洗えば半永久的に再利用できるけれど、紙やポリパックは自分ではリサイクルできず、環境に負荷がかかります。ペットボトル飲料も買わないようにしていて、子どもたちが置いていったものや、いただき物を利用しています。

    空き瓶はもっぱら、豆やごまなどの乾物、梅酢や「さしす」などの保存に使っています。食品貯蔵室に立てて並べられるから、整理整頓しやすく、見やすくて、ガラスの透明な質感にも風情があって、お好きだそう。

    8 庭の木の葉を料理に使う。

    横山さんの庭には、梅、桜、桑、柏、柿、山椒、山葡萄、黒文字など、食用に使える木がたくさんあります。化学肥料も化学殺虫剤も使わない完全無農薬だから、気兼ねなく使えるのだといいます。

    なかでも、柿の葉は殺菌作用があり、昔から、生魚や酢締め魚のすしを包むのに使われてきました。混ぜごはんを包んでもさまになり、香りが移って、いっそうおいしくなります。

    梅とさけの柿の葉ごはん

    柿の葉は同サイズのものを選んで摘み取り、洗って使います。葉がごはんにしっとりとなじみ、香りが移ったら食べ頃です。

    画像: 柿の葉に包んだ梅ごはんは、「この土地の定番混ぜごはん」。柿の葉の殺菌作用で、次の日もおいしいまま

    柿の葉に包んだ梅ごはんは、「この土地の定番混ぜごはん」。柿の葉の殺菌作用で、次の日もおいしいまま

    材料(つくりやすい分量)

    <梅ごはん>

    • 梅漬けをきざんだもの*(赤じそごと) 大さじ2
    • 温かいごはん 200g

    <さけごはん>

    • 塩ざけ(切り身) 1切れ
    • 金ごま 小さじ2
    • 温かいごはん 200g

    *干さずにつくる、梅の赤じそ塩漬け。梅干しでも。

    つくり方

    1. 梅ごはんをつくる。梅漬けを、ごはんに混ぜる。
    2. さけごはんをつくる。塩ざけは魚焼きグリルで焼き、身をほぐす。金ごまは、から炒りする。これらを、ごはんに混ぜる。
    3. 柿の葉は水で洗い、軽く水けをふき取る。葉に、1または2を45gずつのせ、半分に折りたたんではさむ(ごはんの種類を見分けられるよう、梅は表巻きに、さけは裏巻きにするとよい)。
    4. 3をすし桶に並べ入れ、重石代わりに皿を重ねてのせる。葉がごはんになじんだら、でき上がり。

    9 野菜は丸ごとひとつで買い、使いきる。

    横山さんは地元の野菜の魅力を伝えるお仕事もしていて、地元の露地野菜しか買いません。

    「このあたりでは、真冬は作物がとれないので、それまでにとれたものを土に埋めて越冬させたり、保存食にしたりして、春まで食べるんです」

    キャベツなどの大きな野菜も、丸ごと買うのが当たり前。そして、一度に調理する習慣が身についています。

    「丸ごとのほうが経済的だし、一度に調理すれば栄養価も失われません。日持ちのする副菜にしておくと、日々のごはんの支度がとても楽になりますよ」

    さしすのコールスロー

    副菜にも、おつまみにもなり、つくり置くと大助かりの常備菜。

    画像: せん切りキャベツと彩り野菜を塩もみし、甘じょっぱい梅酢「さしす」であえる

    せん切りキャベツと彩り野菜を塩もみし、甘じょっぱい梅酢「さしす」であえる

    材料(つくりやすい分量)

    • キャベツ 1/2個
    • 赤玉ねぎ 1/4個
    • 赤ピーマン 1/2個
    • 緑ピーマン 1個
    • さしす* 50ml
    • こめ胚芽油(または菜種油) 小さじ2
    • 塩 野菜の重量の2%

    *完熟梅を、ざらめ糖、粗塩、酢で2週間以上、漬けた汁。砂糖小さじ2、塩小さじ、酢大さじ2を合わせたものでもよい。

    つくり方

    1. キャベツはせん切りに、赤玉ねぎは薄くスライスする。ピーマンは半分に切って種とワタを取り、せん切りにする。
    2. 1をボウルに入れて塩もみし、しばらくおく。
    3. 2の水分が上がったら、さしす、こめ胚芽油を順に加えて、そのつどあえる。

    キャベツのぬか浅漬け

    ぬかをのせるだけでつくれる、ぬか床いらずの漬物風サラダ。使ったぬかは、ぬか床としても利用できて、二度楽しめます。

    画像: 見た目はサラダでも、食べると、ぬか漬け風味。目からうろこのアイデアレシピ

    見た目はサラダでも、食べると、ぬか漬け風味。目からうろこのアイデアレシピ

    材料(つくりやすい分量)

    • キャベツ 1/2個
    • にんじん 50g
    • 生ぬか 100g
    • 塩 野菜の重量の2%

    つくり方

    1. キャベツとにんじんはせん切りにし、ボウルに入れて塩もみし、しばらくおく。
    2. ぬかは、さらしの袋に入れる(または、さらしやガーゼに包む)。
    3. 1の水分が上がったら、2をのせて、表面全体を覆うように平らにならす。重石をして冷蔵庫で半日ほどおく。
    4. ぬか入り袋を取り、野菜を混ぜてほぐす。

    画像1: 9 野菜は丸ごとひとつで買い、使いきる。
    画像2: 9 野菜は丸ごとひとつで買い、使いきる。

    10 旬の魚は、まとめて味噌漬けに。

    旬の魚は、脂がのっておいしいうえに、値段もお手頃。そんなときにぴったりの調理法が、味噌漬けです。といっても、料理屋さんのようにたっぷりの味噌に漬けるのは残った味噌の後始末が大変で、二の足を踏んでしまいます。

    もっと気軽につくれるように、と横山さんが教えてくれたのが、魚にうっすらと味噌をぬって、味噌つきのまま焼くレシピです。これなら味噌が少量ですむし、残ってしまう心配もありません。香ばしく焼けた味噌の香りが食欲をそそり、ごはんがすすむ格別のおいしさです。

    さんまの味噌漬け焼き

    味噌漬けを仕込んでおけば、主菜を10分でつくれて重宝します。とりやぶた肉を野菜とともに漬けて、オーブンで焼くのもおすすめ。

    画像: 庭の山葡萄の葉の上に盛り、ごちそう風に。残った頭や骨はそのまま葉で包んで庭のコンポストに

    庭の山葡萄の葉の上に盛り、ごちそう風に。残った頭や骨はそのまま葉で包んで庭のコンポストに

    材料(つくりやすい分量)

    • さんま 3~5尾
    • 味噌 大さじ2(さんま250g当たり)

    つくり方

    1. さんまは頭つき、腹ワタつきで使う。重量を量り、味噌の量も量って準備する。
    2. さんまを漬けやすいよう半分の長さに切り、分量の味噌を全体にぬり、ジッパー付き保存袋に入れて冷蔵庫でひと晩漬ける。
    3. 袋から取り出し、2~3等分の筒切りにする。味噌つきのまま、魚焼きグリルで焼く。
    画像: 10 旬の魚は、まとめて味噌漬けに。

    横山タカ子さんの楽しく使いきる生活術(前編)へ ⇒

    <撮影/本間 寛 取材・文/美濃越かおる>

    横山タカ子(よこやま・たかこ)
    料理研究家。生まれも育ちも長野・長野市。長寿県・信州長野の食文化を家庭料理を通じて紹介し、地元の農産物を広める活動にも尽力。

    ※トップの写真について
    庭で摘んだ柿の葉でつくる柿の葉ごはん。皿で重石をして、葉がごはんになじんだら食べ頃

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

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