• 昔から、大切に受け継がれてきた、四季折々の家仕事は、理にかなった、先人たちの知恵の結晶です。 今回は、寒い時季においしくなる大根を使った、昔ながらの「たくあん漬け」を、生活評論家の境野米子さんに教わります。
    『家仕事ごよみ』より

    たくあん漬け 十一月から十二月

    たくあんは米ぬかで漬ける日本特有の発酵食品。境野米子さんが教えてくれたのは、昔ながらの方法です。

    「市販のたくあん漬けの多くは、調味液に短時間、漬けて仕上げてあり、保存料や着色料使用のものがほとんど。お手製で、米ぬかで漬ける日本ならではの発酵食品の味を楽しんでみて。私はポリポリの食感が好みなので大根がU字に曲がるほど十分に干します。自分で干すのが難しい場合は、干し大根を購入して漬け込むところから始めて。使う米ぬかは、精米したときに出るぬかを少し前から冷凍してストックしておくのがおすすめ。お米屋さんなどでも手に入ると思います」(境野米子さん)

    用意するもの(つくりやすい分量)

    ● 大根(細め)20本(6~9kg)
    ● ぬか1.5〜2kg
    ● 塩500g
    ● ザラメ1kg
    ● 昆布10cm角1枚
    ● とうがらし5本
    ● 干した大根葉適宜
    ● 干した柿の皮(あれば)適宜

    つくり方

     大根を、葉の部分がバラバラにならないように切り落とす。竿などに縄を輪にして2本かける。大根を通してはねじり、何本か重ねて吊るす。葉も竿に吊るし、1〜3週間、干す。

    画像1: つくり方

     ぬかと塩とザラメ、1cm幅に切った昆布をよく混ぜる。

    画像2: つくり方

     樽にを敷き、大根は大きめのものを外側に入れ、できるだけぎっしり敷きつめる。

    画像3: つくり方

     大根が隠れるくらいを入れ、柿の皮、きざんだとうがらしをのせる。これを繰り返して重ね、最後にぬか類の上に干した大根葉をのせる。中ぶたをのせ、15〜20kgの重しを置く。

    画像4: つくり方

     大根をよく干した場合、水が上がりにくいので、1週間ほどで水が上がらない場合は、水1リットルに塩10gを加えたものを入れる。水が上がったら重しを半分に減らす。

    画像5: つくり方

     冷暗所に保管し、3週間から1カ月で食べられる。集合住宅などでは、におい対策のために樽をすっぽりポリ袋で覆うとよい。

    画像6: つくり方

    大根葉の佃煮

    大根とともに干した大根葉は、太陽の味が凝縮し、生のもの以上の味わいの深さです。ビタミンやミネラル分もたっぷりで、栄養的にも優れています。

    佃煮はそのままごはんの供にするほか、混ぜ込んで菜飯にしてもおいしいもの。また、干し大根葉をそのままお風呂に入れると保温効果、抜群です。

    画像: 大根葉の佃煮

    用意するもの

    ● 大根葉(2〜3週間、干したもの)適量
    ● しょうゆ、みりん各適量

    つくり方

     干し大根葉は水に2~3時間つけておく。水をしぼってきざみ、さっと湯通しする。

     水けをしぼって鍋に入れ、しょうゆとみりん同量をひたひたになるまで加える。弱火でコトコト1~2時間、煮る。

    *もっと甘味が欲しいときは、最後に砂糖を加えて仕上げてもよい。1カ月くらいは保存できる。


    <文/野上郁子(オフィスhana) イラスト/赤井稚佳>

    境野米子(さかいの・こめこ)
    生活評論家、薬剤師。東京都立衛生研究所で食品添加物や残留農薬などについて研究。現在は福島県の山里で昔ながらの食を取り入れた生活を送る。近著に『子どもを放射能から守るレシピ77』(コモンズ)などがある。

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