『家仕事ごよみ』より
甘酒 通年
甘酒は冬に飲むイメージがありますが、江戸時代には暑気払いに飲む習慣があり、江戸の町では、樽を担いで売り歩く甘酒売りが夏の風物のひとつであったそう。
滋養強壮のために飲まれていただけあり、甘酒は栄養満点。ブドウ糖、ビタミン群や必須アミノ酸が豊富で、飲む点滴といわれるほど。話題の発酵食品でもあり、おうちで手づくりが飲めれば最高です。
「発酵させるのがひと手間ですが、炊飯器を使うと失敗なくできます。できたら、沸騰直前まで加熱して発酵を止めましょう。そうしないと発酵が進み、酢っぱくなってしまいます。そのままでも自然な甘味でおいしいですが、好みではちみつなどをプラスしてもよいでしょう」(境野米子さん)
用意するもの(つくりやすい分量)
● 麴 | 500g |
● 米 | 1合 |
● 塩 | 少々 |
つくり方
1 米は流水でよく洗い、水を替えてしっかりとぎ、1時間以上、水につける。このときパラパラと塩を入れてもよい。ざるに取り、水けをきる。
2 炊飯器でおかゆ用の水加減をして、おかゆコースに合わせてスイッチを入れる。
3 麴は、板状のものはまずブロックに分けてから、小さくほぐしていく。最後は両手のひらですり合わせるように米粒状までほぐす。粒状のものは、固まっているところをほぐし、米粒状にする。
4 おかゆが炊けたら、冷水を2カップ強(分量外)ほど混ぜて温度を60℃前後に下げる。
5 おかゆに麴を加え、へらで均一になるように混ぜ、表面を平らにならし、炊飯器にセットする。上にタオルをかぶせ、炊飯器のふたは開けたまま、保温スイッチを入れる。
6 1時間半~2時間おきにかき混ぜながら、4~5時間、保温して発酵させる。辺りに甘酒のにおいが漂い、味見をしてみて甘くなっていれば、でき上がり。
7 ふたを開けたまま炊飯スイッチを入れ、ときどきかき混ぜながら、沸騰直前(90℃ぐらい)まで20分ほど加熱し、塩をひとつまみ加えてスイッチを止める。これで、発酵を止める。鍋に移し替えて加熱してもよい。
8 冷蔵庫に保存し、飲むときは、必要量を小鍋に取り、水を加えて薄めてから加熱する。そのままでも十分おいしいが、好みではちみつや黒砂糖、しょうがのすりおろしを加えてもよい。
<文/野上郁子(オフィスhana) イラスト/赤井稚佳>
境野米子(さかいの・こめこ)
生活評論家、薬剤師。東京都立衛生研究所で食品添加物や残留農薬などについて研究。現在は福島県の山里で昔ながらの食を取り入れた生活を送る。近著に『子どもを放射能から守るレシピ77』(コモンズ)などがある。
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