• インドにはアーユルヴェーダで体調を管理する習慣があり、スパイスを自然療法として活用します。インドスパイス料理研究家のマバニさんに、暮らしに根づいた、体にやさしいスパイス料理を伺います。今回は、「ガーリックチキンカレー」のつくり方を教わりました。
    (『天然生活』2017年12月号掲載)

    ガーリックチキンカレー

    パワー食材、にんにくがたっぷり入った、元気になるカレーです。骨つきのとり肉を煮込んだ、濃厚なトマトがベース。

    画像: ガーリックチキンカレー

    材料(2人分)

    ● とり手羽元(皮を除く)8本
    ● 玉ねぎ(みじん切り)大1/2個(140g)
    ● 青とうがらし(へたと種を除き、みじん切り)1本
    ● しょうが、にんにく(すりおろす)各大さじ1
    ● トマト(へたを除き、粗みじんに切る)中2個(270g)
    ● A
    ・ローリエ1枚
    ・グリーンカルダモン4個
    ・クローブ4粒
    ・シナモン(くだく)4cm
    ● B
    ・チリパウダー小さじ1/2
    ・ターメリック小さじ1/4
    ・クミンパウダー小さじ2強
    ・コリアンダーパウダー小さじ3
    ● C
    ・にんにく(縦半分に切って芯を除く)6片
    ・香菜(みじん切り)大さじ2
    ・ガラムマサラ小さじ1/2
    ・塩適量
    ● サラダ油(またはギー ※ 3)大さじ1
    ● バスマティライス ※ 1 、チャス ※ 2各適量

    ※ 1 バスマティライスはインドの高級米。細長い形で独特の香りをもつ。適度に汁けを吸うため、カレーとの相性が抜群。米と同量の水で炊く。

    ※ 2 チャスは、ヨーグルトと水を1:1で混ぜたドリンク。栄養豊富で、食中食後に飲むと消化を助けるといわれる。常温で飲むこと。

    つくり方

     厚手の鍋にサラダ油とAを入れ、弱火の中火にかける。スパイスの香りが立ったら玉ねぎを加え、ときどき混ぜながら、透き通って少々茶色くなるまで炒め、青とうがらし、しょうが、にんにくも加えてさらに1分ほど炒める。

     火を止めてBを加え、よく混ぜ合わせて余熱を通す(スパイスをこがさないため)。

     トマトを加えて中火にかけ、ときどき混ぜながら4分ほど加熱する。完全に崩れてきたらとり肉を加えて混ぜ、ふたをして中火で5分ほど煮る。

     Cと水1カップ(分量外)を加え、ふたをしてさらに15分ほど煮込む。バスマティライスや、チャスとともに供する。

    ※ 3 ギーのつくり方

    ギーは、アーユルヴェーダにとって、最も大切な食材のひとつ。良質な無塩バターを溶かして水分を蒸発させ、不純物を沈めて上澄みをすくってつくります。使用法は主に、植物油の代わりに使ったり、そのままひとさじなめたり。香りはバターよりも香ばしく、味はさらっとして、こげにくいのが特徴です。

    アーユルヴェーダでは薬としても使われ、治療の一部としてのマッサージや、消化を助け、神経を静め、心を安定させる目的でも用いられます。吸収率が高く、食物の栄養を組織に運ぶ手助けをするともいわれます。

    画像: 気温が低いとドロッとしてくるが、そのまま使える。長期保存の場合は冷蔵庫に入れ、加熱してとろっとさせてから使う

    気温が低いとドロッとしてくるが、そのまま使える。長期保存の場合は冷蔵庫に入れ、加熱してとろっとさせてから使う

    材料とつくり方(つくりやすい分量)

     厚手の鍋にバター(食塩不使用)450gを入れて弱火で溶かす

     完全に溶けたら弱めの中火にし、そのままかき混ぜずに5分ほど加熱する

     バターの不純物が沈み、上の透明な層がキャラメル色になったら火を止め、粗熱を取る

     表面の泡をスプーンで除き、底の不純物を残してキャラメル色の層のみこし、煮沸消毒した瓶に入れる

    ※ 常温で2週間程度保存可。気温によっては白濁して固まるが、問題ない。

    アーユルヴェーダを取り入れよう

    一品二品といただくにつれ、すーっと自然に汗が出て、体がポカポカ。マバニさんのインド料理は、油脂分も少なく、身も心も軽くなる、毎日食べたくなるような魅力があります。

    「インドでは古くから、家ごとに異なるアーユルヴェーダの考え方で体調を管理する習慣がありますが、自然療法として使われるのがスパイス。たとえば、風邪にはクミン、熱にはコリアンダー、チリは体を温める、といった具合」

    なかでもターメリックは、最も大切なスパイスなのだそう。

    「主人のルーツであるインドの結婚式では顔に塗ったり、お葬式では故人の体にまいたりします。体の毒素を取り除いて浄化し、精神的なインバランスをとり、自律神経を整えるイメージでしょうか。そういったことを目的とするのがアーユルヴェーダであり、インド人のソウルなのかなと感じます。暮らしの中心には常に神様と食べ物があり、神に捧げるためにごはんをつくり、皆は、おこぼれをいただくという感覚なんです」

    また、消化のためにスパイスやしょうが入りの飲み物を飲む、腹八分目を意識、空腹感を覚えるまで食べない、よく歩く、といった心がけもアーユルヴェーダ的な考え方。基本のスパイス使いとあわせて無理なく取り入れたいですね。

    基本のスパイス

    スパイスはアーユルヴェーダにおいて欠かせないものです。香りづけ、免疫力を高める、消化とメタボリズムの強化、食物の栄養を体に吸収させ、同化させる、体から「アーマ(毒素)」を浄化し、消化不良を予防するなど、多岐の目的で用いられます。代表的なスパイスは、マスタードシード、クミン、ターメリック、コリアンダー、チリなど。

    画像: 上から時計まわりに、マスタードシード、クミン、ターメリック、コリアンダー、チリ

    上から時計まわりに、マスタードシード、クミン、ターメリック、コリアンダー、チリ

    アーユルヴェーダ的食べ方

    消化代謝をつかさどる「アグニ」を整え、「ドーシャ」(体質)のバランスを整えるために、「前に食べたものが完全に消化されてから食べる」「ネガティブなときには料理をしない、食べない」「つくったものは翌日には食べきる」「過食しない、温かいものを食べる」「毎日、同時刻に食べる」「早食いしない」「食後には休む」「同じものを食べつづけない」「季節のものを食べる」など、さまざまな方法があります。また、風邪っぽいと感じたら朝ひとつまみのクミンパウダーとジンジャーパウダーを加えて飲むとアグニが整う、不眠にはターメリックを牛乳に溶くなど、民間療法的に取り入れられてきた摂取法もいろいろです。

    画像: 右)すりおろしたしょうがを水に入れて飲む(アグニを整える) 左)サフランを牛乳に(イライラや自律神経を整える)などの摂取法が

    右)すりおろしたしょうがを水に入れて飲む(アグニを整える)
    左)サフランを牛乳に(イライラや自律神経を整える)などの摂取法が

    アーユルヴェーダの考え方

    アーユルヴェーダはインドの伝統的医学で、「予防医学」がベース。心身のよりよいバランスを保つことで健康が維持されると考えます。アーユルヴェーダでは人間の体質を大きく3つの「ドーシャ」(ヴァータ〈空気〉、ピタ〈火〉、カパ〈地球〉)に分け、これが幾つも重なったり傾いたりしてバランスが崩れたときには、消化代謝をつかさどる「アグニ」を整えることで、「ドーシャ」も整えます。不健康な暮らしや感情のバランスが悪いと胃腸の中に不消化物がたまり、「アーマ(毒素)」となって病気へとつながるため、瞑想、運動、過食しない、水を飲む、ポジティブに食に集中する、などを心がけることが大切です。

    画像: インドにはさまざまな種類の豆(写真はムング豆)があり、大切なタンパク源。プロテインが豊富でベジタリアンにも重宝

    インドにはさまざまな種類の豆(写真はムング豆)があり、大切なタンパク源。プロテインが豊富でベジタリアンにも重宝



    <料理・スタイリング/マバニマサコ 撮影/有賀 傑 取材・文/吉田佳代>

    マバニマサコ(まばに・まさこ)
    インド料理・スパイス料理研究家。インド系イギリス人との結婚を機にロンドンに移り住み、インド料理を学ぶ。インド全域の料理に精通し、油脂分の少ないヘルシーなレシピに定評がある。
    インスタグラム @masakomavani

    ※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです


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