• スペインの女子修道院では、中世のころからお菓子がつくられています。熱心な修道女たちの手によって、吟味され、完成していったレシピは、何世紀もの間、それぞれの修道院に受け継がれてきました。スペイン・マドリードで14年間暮らし、「修道女のお菓子」を求めて各地の修道院を訪ね歩いた、料理家の丸山久美さんに、素朴でしみじみおいしい、スペイン修道院のお菓子レシピを教えていただきます。今回は、牛乳を使わずにつくる濃厚なプリン「Tocino de cielo(トシーノ・デ・シエロ)」のつくり方を。
    (『修道院のお菓子』より)

    牛乳を使わず卵黄と砂糖、シロップ(水と砂糖)だけでつくるプリンです。

    大変濃厚で、その口当たりが豚の脂身のようなので「天の豚脂」と呼ばれています。

    小さな型でつくり、その濃厚な味を楽しみます。

    このお菓子は南部の、シェリー酒で有名な地域、へレス・デ・ラ・フロンテラにあるエスピリツ・サント修道院で14世紀につくられたのが初めといわれています。

    いまではスペイン全土で親しまれている代表的なお菓子です。

    Tocino de cielo(トシーノ・デ・シエロ)のつくり方

    画像: Tocino de cielo(トシーノ・デ・シエロ)のつくり方

    材料(直径4.7×高さ2.2cmのマフィン型 8個分)

    ● 卵黄4個分
    ● 卵1個
    ● A
    ・グラニュー糖60g
    ・レモンの皮1/4個分
    〈キャラメルソース〉
    ・グラニュー糖大さじ2

    つくり方

     オーブンを150℃に温める。

     キャラメルソースをつくる。鍋にグラニュー糖、水大さじ2(分量外)を入れて弱火にかけてキャラメル色になるまで煮る。水大さじ1(分量外)を加えて煮詰め、熱いうちに型に入れる。

     鍋にAと水125ml(分量外)を入れて中火にかける。グラニュー糖が溶けて、50mlになり、とろりとするまで煮る。レモンの皮を取り出し、粗熱をとる。

     ボウルに卵黄、全卵を混ぜ合わせ、を少しずつ加えながら泡立て器でさらによく混ぜる。の型に入れる。

     天板にを入れて湯を張り、150℃のオーブンの下段に入れて湯せんで20分焼く。

     オーブンから取り出して型から外し、冷蔵庫で冷やす。


    <撮影/清水奈緒 スタイリング/大谷マキ>

    画像: つくり方

    丸山久美(まるやま・くみ)
    料理家。東京生まれ。スペイン家庭料理教室「Mi Mesa」主宰。アメリカ留学後、ツアーコンダクターとして世界各地をまわる。1986年からスペインのマドリードに14年滞在。現地の料理教室に通いながら、家庭料理を学ぶ。この間に、修道院めぐりを始める。帰国後、スペインの家庭料理をベースにしたレシピを紹介。著書に『家庭でつくれるスペイン料理』(河出書房新社)、『週末はパエリャ名人』(文化出版局)、『ひんやりスープ』(誠文堂新光社)など。2020年2月に『修道院のお菓子』が扶桑社より復刊。
    https://www.k-maruyama.com/

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    天然生活の本『修道院のお菓子』(丸山久美・著)

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    『修道院のお菓子』(丸山久美・著)

    素朴でかわいい修道院のお菓子、50品

    天然生活の本『修道院のお菓子』(丸山久美・著)

    B5判
    定価:本体 1,400円+税
    ISBN978-4-594-08410-3


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