(『天然生活』2016年7月号掲載)
阿部家の片づけの3カ条
一 効率よりも楽しさを優先する
二 見せたくないものは目の届かない所に
三 無理に分類しない
アトリエ
視界に入るものが建築のアイデアソースに
![画像: 2階にある仕事場は、ぐるりと窓に囲まれた、庭の木々を眺められる明るいスペース。ここにも、好きなものしか置かれていない](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/07/14/eff0f7a8daa3871ab9d2d818ae79816fc4ad50f2.jpg)
2階にある仕事場は、ぐるりと窓に囲まれた、庭の木々を眺められる明るいスペース。ここにも、好きなものしか置かれていない
1 定規や道具はいつもデスクに出しておく
いつも使う仕事道具は、いちいちしまわない。とくに作業の途中ならば、出しっぱなしにしておいたほうが、再開するときもスムーズ。もちろん、道具は、お気に入りのものを選んである。
![画像: 1 定規や道具はいつもデスクに出しておく](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/07/14/7cfc45a26d37ff24d18f976e17e75622bdb9e777.jpg)
2 触って眺めるお気に入りのもの
窓辺に並べておくのは、インスピレーションを与えてくれる大好きなもの。日の光を受けて映えるような、ガラス製のものが多くなる。ときには気分転換に、手に取ったり眺めたり。
![画像: 2 触って眺めるお気に入りのもの](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/07/14/069c6b122ef1be1192f4685556dee871e97b5073.jpg)
3 好きな本は平積みにして何度も読む
作業机の後ろにある大きめのローテーブルには、ふとしたときに手に取りたい、気に入った本を並べている。専門書から、絵本、小説までジャンルを問わず、とくに分類することなく置く。
![画像: 3 好きな本は平積みにして何度も読む](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/07/14/54369dbca4f9bdd7e7a744c3d393a7962521271f.jpg)
![画像: 建築作品のスケッチには、長年、月光荘のノートを愛用。いつでも見返せるように本棚にまとめて保管](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/07/16/52e371e90afaa1e88f5ecc67cef9d37c26c2437e.jpg)
建築作品のスケッチには、長年、月光荘のノートを愛用。いつでも見返せるように本棚にまとめて保管
変化に合わせた微調整が居心地のよさを生み出す
暮らしはスケッチに似ている、と阿部さんは考えます。
初めから決め込んで線を引くのではなく、鉛筆を滑らせながら、短い線を幾つも重ねるうちに、少しずつ全体の形が見えてくる。どの線を太くするのか、どの線を残すのか。自分の描きたい姿を、その時々で感じ取るままに線を重ねる。
「生活は、変化と選択の連続。無意識に小さな取捨選択をしながら、細かな調整を加えていく。居心地のいい空間は、それを繰り返し、つくられていくのでしょう」
阿部家の間取り
![画像1: 阿部家の間取り](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/07/16/69b0889eb6e9667552823b1f50ac4dd225f4f24b.jpg)
お気に入りの道具を見せるキッチンで、料理する気分を盛り上げる|片づけが楽しい家/建築家・阿部 勤さん ⇒
お客さんから見えないパントリーは、すっきりとしまう収納|片づけが楽しい家/建築家・阿部 勤さん ⇒
<撮影/柳原久子(https://water-fish.co.jp/) 取材・文/福山雅美 イラスト/須山奈津希>
![画像2: 阿部家の間取り](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783328/rc/2020/07/16/bb567eee5d776d5c661b363d7f55b6bc3403c40d.jpg)
阿部 勤(あべ・つとむ)
1936年生まれ。早稲田大学第一理工学部建築科卒業後、坂倉準三建築研究所入所。1975年、室伏次郎氏とともにアルテック建築研究所設立。自邸は「中心のある家」と呼ばれ、住宅建築の名作とされる。著書に『暮らしを楽しむキッチンのつくり方』(安立悦子氏との共著/彰国社)など。