• 生活研究家の阿部絢子さんのドタバタな日常の失敗談を綴るエッセイの連載です。奇数月22日更新。今回は、念願かなってラジオ番組にレギュラー出演を始めた時のお話。

    私の性格は、ハッキリ、キッパリ、おっちょこちょいの先走り。キッパリで言えば、好き嫌いもハッキリしている。犬より猫、魚より肉、朝より夜、リビングより茶の間、田舎より都会を好む。

    メディアもテレビよりラジオに親しみを持ち、出来るならラジオ出演をしたい!と密かに願っていた。それが実現、しかも某公共放送の人気深夜番組、定番出演だ。

    飛び上がらんばかりの喜び。数回の出演を重ね、少し慣れて、隔週出演のスケジュールを予定した。ところが、先走りで入れた予定が一週間食い違っていた。

    そうとは知らずに、急に決った2泊3日の海外出張。当時隆盛の海外家電会社の、社長との雑誌対談取材。好奇心満載、触手が動かないわけがない。

    慎重、思慮深い性格なら、予定を相手に確かめてからとするが、私は先走りのおっちょこちょい。あっという間に実行。超短い滞在を終え、帰って留守電を聞き、血の気が失せた。

    画像: 定番出演、すっぽかした|阿部絢子の七転び八起き

    お詫び電話のかけ続けだった。当然、穴をあけた失敗は取り戻せず、しばらくして降板。

    その後、時と共に失敗を忘れていたが、つい最近、近所に暮らす同業者が「貴女、番組すっぽかしたことあるでしょ。穴埋め、私の所に回ってきたんだから」と、失敗の苦い味が蘇ってきた。

    失敗も、ひと様に迷惑をかけては頂けない。猛省だ。


    <文/阿部絢子 イラスト/北村人>

    阿部絢子(あべ・あやこ)
    生活研究家。消費生活アドバイザー。「万人が家事を科学的に効率よくスムーズにこなすには?」を研究、提唱し続ける。『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』『老いのシンプル節約生活』(ともに大和書房)、『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社)など多数。


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