• 『天然生活』誌上に、2014年8月号から2016年2月号まで掲載された、人気連載「長谷川弓子 季節の魚料理」。その中から、夏に脂がのっておいしくなる「いわし」を使った料理を紹介します。いわしは、包丁を使わずに手びらきで下処理ができる、実はとても扱いやすい魚です。今回は、いわしのおいしさを存分に味わえる「いわしのつみれ汁」をつくります。自分でさばいてつくれば、あまりのおいしさに驚くはず。旬の時季に、一度はつくっていただきたいおすすめの料理です。
    (『天然生活』2014年8月号掲載)

    いわし 旬 8~10月

    画像: いわし 旬 8~10月

    「いわし」は漢字で魚偏に「弱い」と書きます。だから傷みやすく、扱いにくいと思われている方がいるかもしれません。

    鮮度はもちろん大切ですが、いわしは、身離れも、骨離れもよく、包丁を使わずに手びらきで下処理ができる、扱いやすい魚。

    新鮮ないわしが手に入ったら、ぜひ手びらきに挑戦してみてください。

    体に黒い斑点があるのが「まいわし」、ないのは「うるめいわし」です。今回のテーマは、「まいわし」です。

    いわしのおいしさを楽しむのなら、つみれ汁。大事なことは、すり鉢で、よくすりのばすこと。そして、しょうがのしぼり汁を忘れずに加えることです。

    夏から秋にかけて、脂がのっておいしいいわしをご堪能ください。

    「いわしのつみれ汁」のつくり方

    旬の時季に、一度はつくっていただきたい料理です。自分でさばいてつくれば、あまりのおいしさに驚くはず。

    画像: 「いわしのつみれ汁」のつくり方

    材料(2人分)

    ● いわし(中)2尾
    ● 味噌大さじ1/2(約9g)
    ● しょうがのしぼり汁小さじ1
    ● 片栗粉大さじ1/2
    ● だし汁450ml
    ● 塩小さじ1/2
    ● しょうゆ少々
    ● 長ねぎ(芯をのぞいて縦にせん切りにして水にさらし、白髪ねぎにする)1/4本
    ● あれば青ゆずの皮少々

    つくり方

     いわしは頭と内臓を取り、水洗いして水けをふき、手びらきにして中骨を取る(*)。腹骨をすき取り、身と皮の間に指を入れて皮をむき、包丁でざく切りにしてから細かくなるまでたたく。

    画像: ざく切りにしてから包丁で細かくなるまでたたく

    ざく切りにしてから包丁で細かくなるまでたたく

     すり鉢でよくすり、味噌、しょうがのしぼり汁の1/2量、塩少々(分量外)、片栗粉を加えてすりのばす。

    画像: つみれはすり鉢でしっかりすり細かくしたほうが、繊細な食感を楽しめる

    つみれはすり鉢でしっかりすり細かくしたほうが、繊細な食感を楽しめる

     だし汁を火にかけ、温まったらのつみれを、スプーン2本を使って形をととのえながら入れ、中火であくを取りながら3~4分煮て、塩、しょうゆで味をととのえる。火を止めて残りのしょうがのしぼり汁を加え、椀によそい、白髪ねぎを盛り、あれば青ゆずを飾る。

    ※つみれは、スプーンの先に水少々をつけながら丸めるとよい。

    *いわしの手びらき

     全体を流水で洗ってから、首の付け根を持ち、首の骨をちぎるように折る

    画像1: *いわしの手びらき

     頭を落とし、肛門まで指を入れて内臓を出し、流水で洗って水けをふく

    画像2: *いわしの手びらき

     3:7あたりのところに両親指を入れ、中骨に沿って滑らせて身をはがす

    画像3: *いわしの手びらき

     片手で身を押さえながら、尾側から頭側へ、中骨をていねいに外す

    画像4: *いわしの手びらき

     腹側が左にくるように置き、腹骨をすき取る反対側も向きを変えて同様に

    画像5: *いわしの手びらき

     身と皮の間に両親指を入れ、左右にスライドさせて身を外す

    画像6: *いわしの手びらき

     片手で皮を持ち、頭側か尾側へ身を皮から外す。反対側も同様に

    画像7: *いわしの手びらき

     尾の付け根の骨を、包丁で落とす

    画像8: *いわしの手びらき



    <料理・スタイリング・文/長谷川弓子 撮影/川村 隆>

    画像9: *いわしの手びらき

    長谷川弓子(はせがわ・ゆみこ)
    東京都出身。料理家、栄養士。明治大学卒業後、社会人経験をしたのち、近茶流宗家・柳原一成氏、柳原尚之氏に師事し、日本料理を学ぶ。現在、聖徳大学短期大学部専任講師として、調理実習等を担当する。とくに好きな魚はあじ。「海に囲まれた国に生まれたからには、ぜひ、魚料理に親しんでいただければ」

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    ※ ※ ※

    天然生活の本『季節の魚料理』(長谷川弓子・著)
    天然生活の本
    『季節の魚料理』(長谷川弓子・著)

    天然生活の本『季節の魚料理』(長谷川弓子・著)

    A5判
    定価:本体 1,700円+税
    ISBN978-4-594-08464-6


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