(『天然生活』2014年8月号掲載)
いわし 旬 8~10月
「いわし」は漢字で魚偏に「弱い」と書きます。だから傷みやすく、扱いにくいと思われている方がいるかもしれません。
鮮度はもちろん大切ですが、いわしは、身離れも、骨離れもよく、包丁を使わずに手びらきで下処理ができる、扱いやすい魚。
新鮮ないわしが手に入ったら、ぜひ手びらきに挑戦してみてください。
体に黒い斑点があるのが「まいわし」、ないのは「うるめいわし」です。今回のテーマは、「まいわし」です。
私の母の味のひとつが、今回、紹介する揚げしんじょ。身を粗めにたたき、最後にすりおろしたやまといもをさっくりと混ぜ、低温の油からじっくりと揚げていきましょう。ビールのおつまみなどに最適です。
夏から秋にかけて、脂がのっておいしいいわしをご堪能ください。
いわしの揚げしんじょ
低めの油からじっくりと揚げるのがコツ。お酒のつまみにもおすすめです。
材料(2~3人分)
● いわし(中) | 4~5尾 |
● A | |
・味噌 | 小さじ1 |
・しょうゆ | 少々 |
・塩 | 小さじ1/4 |
・しょうがのしぼり汁 | 小さじ2 |
・長ねぎ(みじん切り) | 5cm分 |
・青じそ(せん切り) | 2枚分 |
・片栗粉 | 大さじ1/2 |
・ごま油 | 小さじ2 |
● やまといも(すりおろし) | 150g |
● 揚げ油 | 適量 |
● しょうゆ、しょうが(すりおろし) | 各適量 |
つくり方
1 いわしは頭と内臓を取り、水洗いして水けをふき、手びらきにして中骨を取る(*)。腹骨をすき取り、身と皮の間に指を入れて皮をむき、包丁でざく切りにしてから、粗くたたく。
2 1をすり鉢(なければボウル)へ移し、Aを加えてすり混ぜる。最後にやまといもを加え、さっくりとすり混ぜる。
3 スプーン2本を使い、適量をすくいながら、ぬるいくらいの揚げ油(約80℃)にそっと入れ、低温の油(140~150℃)でじっくりと揚げる。最後に油の温度を上げ(180℃)、からりと仕上げる。しょうがじょうゆでいただく。
※たねを揚げ油の中に落とす際に、スプーンの先についた油を使いながら丸めていくとよい。
※揚げ上がりの目安は、たねがきつね色になり、油の中で泳ぎはじめたころ。
*いわしの手びらき
1 全体を流水で洗ってから、首の付け根を持ち、首の骨をちぎるように折る
2 頭を落とし、肛門まで指を入れて内臓を出し、流水で洗って水けをふく
3 3:7あたりのところに両親指を入れ、中骨に沿って滑らせて身をはがす
4 片手で身を押さえながら、尾側から頭側へ、中骨をていねいに外す
5 腹側が左にくるように置き、腹骨をすき取る反対側も向きを変えて同様に
6 身と皮の間に両親指を入れ、左右にスライドさせて身を外す
7 片手で皮を持ち、頭側か尾側へ身を皮から外す。反対側も同様に
8 尾の付け根の骨を、包丁で落とす
<料理・スタイリング・文/長谷川弓子 撮影/川村 隆>
長谷川弓子(はせがわ・ゆみこ)
東京都出身。料理家、栄養士。明治大学卒業後、社会人経験をしたのち、近茶流宗家・柳原一成氏、柳原尚之氏に師事し、日本料理を学ぶ。現在、聖徳大学短期大学部専任講師として、調理実習等を担当する。とくに好きな魚はあじ。「海に囲まれた国に生まれたからには、ぜひ、魚料理に親しんでいただければ」
※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです
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