(『天然生活』2020年9月号掲載)
タサン志麻さんのきれいな台所[掃除編]
汚れをためこまないこと、なるべく水けをとること。大きなポイントはこのふたつです。
「シンクが清潔だと、食材の一時置き場にもできます。第2の調理台になって便利ですよ」
そう言って見せてくれたシンクはぴかぴかと輝いています。
「『シンクが汚い』という悩みをよく聞きますが、それは汚れを放置してしまうから。シンクにつく汚れは、お皿と一緒で、食材や油分がほとんどです。だから食器を洗ったあと、そのまま同じスポンジと洗剤でさっと洗う。わざわざ分けようとするから面倒に感じてしまうのかもしれません」
水けを残さないことも大事。気づいたらふき取るのが習慣です。
「水分があると雑菌が増えて汚れにつながるので。寝る前もチェックするようにしています」
コンロ台も五徳も、料理のたびに掃除します。そのため、汚れがたまらない。だから毎回の掃除もほんのわずかな時間ですむ。
タサン家の台所には、そんな好循環ができているのです。
水まわり
洗ったシンクは2段階でふきとりを
シンクは食器を洗うのと同じスポンジと食器用洗剤で、料理をするたびに洗う。
1日の仕上げに必ずするのは水けをとること。ふきんでふいたあと、キッチンペーパーで水けを残らず取り除く。
「水けは雑菌の元なのでまめに確認します」
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熱めのお湯で効率よく
シンク洗いの仕上げは熱いお湯で流す。
「熱いと水分が早く蒸発して乾きやすいんです」
シェフ時代から熱いお湯には慣れているタサンさん、夫が驚くほどの高温でも平気。
排水溝のヌメリを撃退
1日の終わりには、排水溝と三角コーナーをスプレー式漂白剤で除菌。
毎日の習慣にすることでヌメリがつかず、「汚くて掃除するのに勇気がいる」という事態に陥らない。
すき間汚れも忘れずに
水栓のすき間にも汚れはたまりがち。
汚れが気になったタイミングで漂白剤をひと吹きし、しばらくおいたのちに洗い流す。
小さなところが清潔だと、全体がきれいに見える。
コンロまわり
五徳は毎回必ずきれいに洗う
調理後に泡タイプの食器用洗剤を吹きかけ、数分放置。
その間にコンロ台を食器用スポンジで洗い、キッチンペーパーでふき取る。
その後、五徳を洗い流す。5分足らずで完了。
「料理中も汚れがついたらすぐふき取ります」
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壁の油汚れも忘れずに
「コンロまわりは想像以上に油がとんでいるもの。こびりつく前に掃除します」
コンロ前の壁もクリーナーでふき掃除。
夫が好きな「メートル・サボン・ド・マルセイユ マルチクリーナー」を愛用。
気づいたら換気扇掃除
換気扇はとくに頻度を決めず、汚れが気になったときに掃除。
タサン家の換気扇はシンプルなつくり。
ファンは外して洗剤で洗い、周りの部分はクリーナーを使ってふき掃除。
オーブンレンジの汚れはためない
知らぬ間に汁や油がはねているオーブンレンジの中。
タサンさんは、使ったら必ず扉を開けて蒸気を逃がす。
「蒸気がこもると雑菌繁殖の元になります」
さらに、1回使用するごとに庫内をさっとひとふき。
こうすることでがんこな汚れにつながらない
冷蔵庫のきれいを保つコツ
毎日何度も開け閉めする冷蔵庫。
タサンさんが心がけているのは、清潔に保つことはもちろん、食品を整理整頓してむだなく使い切り、食材ロスを防ぐことです。
「近所のスーパーにほぼ毎日買い物に行くので買いだめはしません。庫内のものをきちんと把握して、使い忘れがないように気をつけています」
食品を入れすぎないこと
どこに何があるかすべて見えるようにすっきりと。
よく使うものは目が届きやすい段に。
「冷気がよく回るように食品を分散させて置くようにしています」
掃除とアルコール除菌
汚れに気づいたらその都度ふき取って。
雑菌繁殖を防ぐため、仕上げはアルコールをスプレーしてふき上げる。
1カ月に一度ほど、庫内の食品をすべて出して掃除。
〈撮影/有賀 傑 取材・文/嶌 陽子〉
タサン志麻(たさん・しま)
大阪あべの・辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業。ミシュランの三ツ星レストランでの研修を修了して帰国後、老舗フレンチレストランなどに15年勤務。結婚を機に、フリーランスの家政婦として活動開始。各家庭の家族構成や好みに応じた料理が評判を呼び「予約がとれない伝説の家政婦」としてメディアから注目される。現在は家政婦の仕事に加えて、料理イベント・セミナーの講師や、地方の特産物を活かしたレシピ考案など多方面で活動中。フランス人の夫、2人の息子、2匹の猫と暮らしている。主な著書に『厨房から台所へ 志麻さんの思い出レシピ31』 amazon.co.jp(ダイヤモンド社)、『志麻さんちのごはん』 amazon.co.jp(幻冬舎)、『ちょっとフレンチなおうち仕事』 amazon.co.jp(ワニブックス)、『志麻さんのベストおかず』 amazon.co.jp(扶桑社)など。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです