かき混ぜるほど美味しくなる? 本場の香り高いマサラチャイ
「チャイはネパールでは朝昼晩に飲まれるほど日常的なお茶。基本は甘いミルクティーですが、各家庭によってそれぞれの味があるんです」
ショウガをたっぷり入れる家、牛乳が飲めない家族のためにブラックティーにする家、スパイスをぴりりと利かせる家。ネパールではスパイスは高価なので、一般的には入れない場合が多いといいます。
街中では道端でチャイを売るおばさん、デリバリーをするチャイボーイがいますが、そこでも基本は煮出しただけのシンプルなミルクティー。私たちのイメージするマサラチャイは、外国人カフェで出されるメニューなのだそう。
「マサラとは、ネパール語で “スパイス” の意味。やはり入れると美味しいので、私も帰国してからは自分のブレンドでマサラチャイを淹れ始めました。お客さまにお出しすると、すごく喜んでいただけます」
こう語るわたなべさんに、美味しいチャイの淹れ方を教えてもらいました。
美味しいマサラチャイの淹れ方
[材料/カップ2杯分]
● 茶葉 | 5g |
● シナモン | 5かけ |
● ブラックペッパー | 10粒 |
● クローブ | 3粒 |
● カルダモン | 3粒 |
● 水 | 200ml |
● 牛乳 | 200ml |
[つくり方]
1 カルダモンは鞘をハサミでカットし、中の黒い種子が出た状態にしておく。
2 鍋に水と茶葉、スパイス類を入れて火にかけ、沸騰したら中火にして3分ほど煮出す。
3 牛乳を加えて泡が吹きこぼれないよう火力を調節しつつ、さらに3分ほど煮出す。
4 火を止め、お好みで砂糖や蜂蜜(大さじ1杯ほど)を足して、茶こしでカップに注ぎ分ける。
美味しく淹れるコツ はいくつかあります。
まず、茶葉はリーフではなく、粒状のCTC製法のもの を。
リーフを煮出すと出てしまうエグみもなく、濃い味が出せるのでミルクティーにはうってつけです。
また、スパイス類はやはりホールのもの がおすすめ。
「パウダー状のものは、飲んだときに粉っぽさが残るのが気になって。パンチは強いのですが、香りがとびやすいという理由もあります」
カルダモンはそのままだと香りが立ちづらいので、必ず鞘をカットして。ほかのスパイス類も、すり鉢やグラインダーで少し砕いておくと、より香りが広がるそう。
さらに、牛乳を入れてからがポイントです。
鍋の中のチャイを お玉でかき混ぜながら、すくっては落とし、を繰り返すわたなべさん。
「現地のネパール人たちは皆、こうしているんですよね。空気に触れさせるのがいいのか、理由ははっきり分からないのですが、明らかに美味しくなる気がします」
最後にてんさい糖で甘味を加えて完成したマサラチャイ、いただくと本当に美味しい!
紅茶のコク、牛乳のまろやかさ、てんさい糖のこっくりした甘味、スパイス類の豊かな香り……。
何かが尖って際立つことなく、すべてが自然に調和しているからか、全く飲み飽きることなく何杯でも飲めそうです。
ていねいなひと手間ひと手間が大事なのだと、改めて実感!
びっくりするほど簡単な、冷え性さんにおすすめドリンク
いただいているうちに、いつの間にか身体がじんわりあったまってきました。
「スパイスだけでなく、紅茶自体にも身体を温める作用がありますからね」と語るわたなべさんが、さらに簡単で効果てきめんの、身体を温めるドリンクを教えてくれました。
それは「コショウ湯」。
材料は何と、ブラックペッパーとお湯だけ。すり鉢やグラインダーで細かくしたブラックペッパーを、グラスやカップの底を覆うくらい入れて、沸騰させたお湯を注いでかき混ぜれば出来上がりです。
「ネパールで風邪を引いたときに、現地の知人に教えてもらいました。ターメリックの入ったお粥も出てきてびっくり! 梅粥が欲しい日本人としてはこのお粥は苦手でしたが、コショウ湯は、効果はもちろん意外と美味しいんです」
熱々を口に含むと、ホントにいけます!
スパイシーな香りと風味が鼻から喉に抜けていき、飲んだ後は口の中がさっぱり爽やか。そして、すぐに身体がホカホカしてくるのが分かります。これは、冷え性の人にはぜひおすすめ。
ホワイトペッパーやピンクペッパーなど、他の種類でも試してみたくなりました。
マサラチャイもコショウ湯も、これからの季節は特に重宝しそう。
美味しくて身体をじんわり温めてくれるドリンク、冬のティータイムにぜひつくってみませんか。
〈写真・文/高瀬由紀子〉
わたなべ かおり
ai, 主宰・デザイナー。東京でフリーグラフィックデザイナーとして活動中に、世界を一人旅してまわる。7年間のヒマラヤ暮らしを経て、2010年に帰国。東京を拠点に活動後、2014年に香川・仏生山へ移住。ネパールの作り手との商品製作を続けながら、極楽仏生山暮らしを満喫中。
http://aistore.jp