(『天然生活』2018年1月号掲載)
「抜き」の部分を組み込んでおくことも、がんばるための「段取り」
「体力のある20代のころから『集中力って、そんなに長く続かないなあ』と感じていました。働くときはしっかり働いて、遊ぶときは存分に遊ぶ、そして休むときはとことんリラックスする。そういうメリハリがあるほうが、だらだら続けるよりも効率的で、いい結果に結びつくと思ったのです」
たとえば牧田さんは、晩ごはんの支度を終えたら、お茶と読書などでリラックスし、リセットする時間をもつようにしています。
昼間にきっちり家事をして働いた分、夕食前のひと時に、昼間の忙しさを忘れる「抜き」の時間をもつのです。
また、ほとんど毎日、ごはんを手づくりしているけれど、仕事で本当に疲れたときは、潔く外食に切り替えます。
そういった「抜き」の部分をふだんから想定して組み込んでおくことも、がんばるための「段取り」といえるのかもしれません。
「あとは、1時間後、3時間後、半日後など、少し先の行動を想像して、逆算して、ちょこちょこと仕事を進めておく。朝のうちに晩のおかずを一品仕込んだり、外出前にお米をといでおいたり。行き当たりばったりではできないから考えるのが大事。でも、ほんのちょっとの行動があとの自分を楽にしてくれるかと思うと、段取りも、なんだか楽しくなるんですよね」
牧田さんの夜時間
15:50 米をといで浸水&昆布をひたす
ごはんと味噌汁の準備
牧田さんの「おいしいごはんを炊く秘訣」は、といだあと浸水時間を十分にとること。
買い物前にしておけば、たっぷり2時間以上、時間がとれる。
さらに、「だしは一素材で混ぜない派」という牧田さん。
昆布だしもじっくり水につけてもどしておけば、しっかりとしたうま味が出て、味噌汁も満足の味わいに。
16:00 買い物&ウォーキング
運動も兼ね、頭もすっきり
スケジュールに余裕がある日は、買い物に行くときに、あえて遠まわりをして、6kmほどの行程のウォーキングに。
「考えごとでモヤモヤしているときも、頭と体がすっきりします」
行きの荷物はミニポーチひとつで身軽にしておけば、長距離を歩くのも軽やかで楽しい。
買い忘れのないよう、買い物メモを持参で。
17:30 バックの中身はすべて出す
次回の外出時の身支度が手早くなる
もともと荷物が少ないタイプ、と牧田さん。
必需品のカードケースやキーホルダー、リップクリームなどは帰宅したらかばんから取り出し、次回に持つハンカチやティッシュとともに、赤木明登さん作の漆箱に収めておく。
こうしてバッグ内の基本セットをまとめて準備しておくと、次の外出の準備もすみやかに。
18:00 ハーブティー+読書のリラックスタイム
一日のなかでのメリハリと心の栄養補給
夕食の支度がひと段落したら、夫の帰宅時間までは自由時間。
お気に入りのブレンドハーブティーを片手に読書をしたりと、1時間ほどのお楽しみタイム。ここ最近はアメリカドラマにはまっていて、その観賞をすることも。
昼の間、活動的に過ごしていた分、ここでは存分にリラックスを。
19:00 夫から帰宅メールをもらう
到着に合わせて、ごはんを完成
夫の職場から自宅までは約20分。「家に帰る」というメールがきたら、ごはんを炊きはじめ、逆算して料理の仕上げを。夕飯とともに晩酌セットも用意して。
帰宅と同時にごはんを食べられるようにしておけば、自然と後片づけの時間も早くなり、無理のない時間割で就寝までを過ごすことができる。
夜の段取りの味方
牧田さんの夜の時間割
15:50 米をとぎ、だし用に昆布をひたす
16:00 買い物&ウォーキング
17:30 アイロンがけ&夕食の下ごしらえ
18:00 リラックスタイム
19:30 晩酌&晩ごはん
20:30 片づけ
21:30 入浴&洗濯機を回す
23:00 就寝
〈撮影/有賀 傑 取材・文/田中のり子〉
牧田敬子(まきた・いつこ)
料理研究家。フードスタイリストと料理研究家のアシスタントを務めたのち、独立。食材本来の持ち味を生かした、シンプルで洗練されたレシピに定評がある。
※ 記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです