(枝元なほみ・著『枝元なほみの 今夜はおでん』より)
気楽につくっても、おでんはおいしい!
料理家の枝元なほみさんがふだんつくるのは、鶏ガラスープとかつお昆布だしを合わせたベースに、調味料は塩だけを加えたシンプル味のおでん。
「鶏ガラスープは冬の間、しょっちゅう仕込んでは冷凍ストックしておきます。2時間ほど煮込むので、そんなにキッチンに立てないときは、圧力鍋を使う方法もあります」
スープやだしからじっくりつくるおでんは、味をしみ込ませる時間もとりたいから、2日がかりになることも。枝元さんは、その仕込みの時間ごとたのしんでいるそうです。
「仕事で疲れちゃったけれど、あたたかいおでんが食べたいなあって日には、市販の鶏ガラスープの素や、だしパックを使ってもいい と思います。いまは無添加のタイプもいろいろ売っているから、気に入った味を見つけて頼っていきましょう」
そもそもおでんの練り物は、10~20分煮ればOK。
調理に時間がかかるのは、だしの準備と、大根やこんにゃくのように下ごしらえが必要なもの、味をしみ込ませたいものだから、それらを省いたり、代わりのたねを入れたりして工夫をするのが、時短おでんのポイントです。
「たねをいっぱい入れなくちゃと思うとハードルが高くなるから、シンプルに3品だけの組み合わせを考えてみるのもたのしいですよ。少し余裕がある日なら、1品入魂でロールキャベツだけがんばってつくったり、自家製つみれを主役にしたりすると達成感があります。おうちのおでんは家庭料理なので、ゆずれないところ、省けるところ、緩急をつけてどんどん自己流にするのがいいですよね」
<レシピ/枝元なほみ 撮影/キッチンミノル 取材・文/石川理恵>
枝元なほみ(えだもと・なほみ)
エダモンの愛称で、テレビや雑誌で活躍する料理家。好きなおでんのたねは「豆腐、大根、冬瓜」。著書『枝元なほみの今夜はおでん』(技術評論社)では、二大定番おでんを下ごしらえから丁寧に解説するほか、パーティー向けから気楽なレシピまでバリエーションを展開。ご当地おでん、リメイク、副菜などの情報も紹介している。また、最近ではNPOビッグイシュー基金共同代表として、ホームレス状態の人の自立支援と食品ロスの課題に取り組む「夜のパン屋さん」プロジェクトを主宰。
http://mukago.jp
キッチンミノル
人物や料理を中心に撮影する写真家。好きなおでんのたねは「大根、卵、ソーセージ」。数々の書籍や雑誌で活躍している。近著に落語家の春風亭一之輔との共著『師いわく』(小学館)があるほか、マグロの流通を追った写真絵本『マグロリレー』(月刊かがくのとも・福音館書店)を刊行。
https://www.kitchenminoru.com