東京・秋葉原にある、カフェ風精進料理のお店「こまきしょくどう」おかみの藤井小牧さんによる、日々の暮らしや食などを綴る連載です。精進料理のレシピもときどき紹介。今回は、豆腐と山いもでつくる「がんもどき」のつくり方です。
冬の自家製がんもどき
新しい年を迎えましたね。本年もよろしくお願いいたします。
よくわからない混沌とした2020年が終わりました。今年はきっと素晴らしいことしかないだろうと、青く綺麗な空を眺めながら初詣の神田大明神を後にしました。
皆さまにとっても素敵な1年になりますように。秋葉原より願いを込めて。
さて、2020年の冬から「こまきしょくどう」ではあるものがブームでした。いまも終わっていません……。
先日農家さんよりありがたい量の大和いもをいただき、少し時間もあるのでていねいに料理がしたいなあとぼんやり考えていました。
そうそう、精進料理屋だもの。大和いもなら「がんもどき」じゃないの!
精進料理のメニューで1番メジャーなものはがんもどきかもしれません。雁(とり肉)に見立てたもどき料理です。ひりゅうずともいいますね。
冷蔵庫を見ると木綿豆腐と干ししいたけの甘辛煮もあるので、さっそくつくってみましょう。
大和いもは皮をむき、おろしがねですりおろしておきます。いままで平気でしたが、昨年ごろから野菜で手が痒くなったりするようになってしまったので、ゴムの手袋をはめて。
山いももアレルギーではないのですが、おろしたてを口にするとイガイガするため、すりおろしてから一度冷凍します。翌日には、大和いものイガイガが落ち着いてくるので、自然解凍して使います。
豆腐をキッチンペーパーで包み、ざるにのせ重石をして水きりする。しっかり水をきりたいので 半日は置きます。
その間に甘辛く煮た干ししいたけをみじん切りにしておきます。
材料の割合は「水きりしていない状態の豆腐3:大和いも1」がうまく繋がります。
フードプロセッサーで滑らかにした豆腐と自然解凍した大和いものすりおろしを合わせ、片栗粉を少々入れて混ぜ合わせます(すり鉢に豆腐を入れ滑らかにして、そこへ大和いもと片栗粉を混ぜ合わせてもOK)。
あみでこしてもていねいですが、私は豆腐が粗いほうが好きなので割と食感を残しています。
そこへ干ししいたけの甘辛煮を入れるのですが、枝豆・コーン・ちぎった海苔などもおすすめです(また、正月のおせちで残った銀杏を入れると豪華な感じに)。
小皿に油を入れ、手の平につけてから たねを丸めます。
これをするかしないかでは大違い! 油をつけないと、ツノツノのがんもどきができてしまいます。
揚げたてをほうばると口の中でトゲが刺さるので油を手になじませることをお忘れなく。うちの店では、5cmから8cmがちょうどいいサイズ としています。
150度より少し低めの温度の油できつね色になるまで5分ほどゆっくり揚げていきます。
毎回20個くらいつくり冷凍しています。お汁の具にしたり、だしと醤油でサッと煮たり、フライパンで温めて大根おろしをのせ柚子しょうゆをかけたりと、重宝します。
ここ数年、七草粥に合わせる主菜にしているのがこのがんもどきです。
今年の正月は、しいたけだし、しょうゆ・みりん多めで甘辛く煮て、煮汁を水溶き片栗粉でとろみをつけ、結んだ三つ葉をのせました。
さっぱりとしたお粥で胃も休まりますが、食いしん坊な私には物足りないので添えておきたいものです。
これを食べたら1月も半ば、お正月気分もおわります。
さあ、今年もご機嫌に過ごせるよう日々努めようかな。
藤井小牧(ふじい・こまき)
東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理 こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。著書『こまき食堂』(扶桑社)が発売中。
ホームページがリニューアルしました。
こまきしょくどう 鎌倉不識庵
https://www.kamakura-komaki.com/
ウェブショップもできました。
こまきしょくどう商店
https://gomagomagohan.stores.jp/
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