おいしくて栄養もたっぷり
酒粕が好きです。日本酒はもろみを絞ってつくるのですが、その絞った液体が日本酒、残った“かす”が酒粕になります。
酒粕は“かす”と呼ばれながら、たんぱく質、ビタミン、アミノ酸、食物繊維などが含まれる、本当に栄養豊富な食材です。たとえば、酒粕に豊富なビタミンB群は代謝をあげてくれ、レジスタントプロテインというたんぱく質はからだの余分な脂質を排出してくれるといわれており、美容にも効果的です。
もう“かす”という名前は、やめた方がいいと思うくらいのスーパーフードだと思っています。
私は、お酒は好きなのにとても弱く……あまり飲めない分、毎年おいしい酒粕を楽しみにしています。冬になり、日本酒を絞る時期を迎えると、それぞれの酒蔵さんから絞りたての酒粕が出回ります。
おいしい日本酒の酒蔵さんの酒粕は、本当においしい。いろいろなところから取り寄せたりして、わくわくする時期です。
酒粕の種類について
酒粕は、大きく分けて3種類あります。板状にカットされた板粕、バラバラとした形状のバラ粕、あとはしっとりペースト状のねり粕です。
板粕が、一番馴染みのあるものかなと思いますが、どれも味や栄養効果などは同じです。好みのものを使っていただければと思います。
写真・右下は、広島の「今田酒造」さんの酒粕。こちらは、甘味があってとても食べやすい酒粕です。お米の形も少し残り、それも風味があっておいしい。
写真・右上は、金沢の酒蔵「福光屋」さんの酒粕。こちらの酒粕は、味はもちろん、ペースト状で溶かしやすいのが一番うれしいところ。さっとお味噌汁にとかしたり、かす床にいれるのにも便利です。
写真・左は、「寺田本家」さんの酒粕。こちらは、コクがあり日本酒の豊かな風味が感じられます。まるでお酒を飲んでいるような感覚にもなり、おつまみにぴったりの味だと思います。
そして、いまは切らしてしまっているのですが、ちょっと変わったものだとこちらもおすすめ。
京都にある「向井酒造」さんの古代米を使った「伊根満開」というお酒の酒粕です。めずらしい紫色の酒粕です。お酒もそうなのですが、酒粕もフルーティーな味わい。そのまま食べてもおいしいです。
酒蔵さんによって、大きく味が変わる酒粕。いまの時季は、たくさん出回っている時期なので、まずお好みの日本酒の酒蔵さんの酒粕を試してみるのがおすすめ。
ぜひいろいろと試してみていただきたいです。
酒粕はお味噌汁にいれて飲むのもおいしいですが、おつまみにもぴったり。最後に、簡単な酒粕おつまみのつくり方をご紹介します。
あぶり酒粕みそのつくり方
材料(2人前)
◎ 酒粕(板粕かバラ粕) | 50g |
◎ みそ | 小さじ1/2 |
◎ 太白ごま油(サラダ油でも) | 少々 |
つくり方
1 酒粕とみそを混ぜる。ラップに挟んで麺棒などで2~3mmに伸ばし、食べやすい大きさに切る。
2 ホイルシートにスプーンなどで油を薄く塗って、1をのせ、トースターで5分ほど焼く。
ポイント
酒粕が硬い場合は、水少々をかけて電子レンジで少し加熱すると扱いやすくなります。くっつきやすいのでホイルシートを使いましたが、アルミホイルでも。
榎本 美沙(えのもと みさ)
料理家/発酵マイスター
広告会社勤務の傍ら、夫婦で一緒に料理を作るレシピ紹介サイト「ふたりごはん」を開設。その後、調理師学校を卒業し独立。発酵食品、旬の野菜を使ったレシピ開発が得意。テレビ、雑誌や書籍、WEBへのレシピ提供、イベント出演などを行う。
著書に、『ジッパー袋でかんたん季節の保存食』(家の光協会) amazonで見る 、『野菜の「べんり漬け」』(主婦の友社) amazonで見る がある。
●Instagram:@misa_enomoto
https://www.instagram.com/misa_enomoto/
●YouTube:「榎本美沙の季節料理」
https://www.youtube.com/channel/UCGiEIACoA-INiZuSFhoksYA