「洗練された雑貨のよう」な、かわいいチョコレート
お気に入りのバナナとストロベリーは、“当たり” に。
「バナナ」「アーモンド」「ストロベリー」「パイナップル」と、4種の味が楽しめるロングセラー商品、〈ルック(ア・ラ・モード)〉。目を引く黄色に大胆に描かれたフルーツのパッケージは、文筆家である甲斐みのりさんの少女心をつかんで離さなかったんだそう。
「〈ルック〉の黄色い箱を開けると銀色の袋が出てくるのですが、中にさらに台紙があって。その上に乗っているチョコレートをバラバラに並び替えて、占いごっこをして遊んでいました。当時はチョコレートの柄が全部同じだったので、どれがどの味かわからなかったんです。
“バナナ味だったら、先生にほめられる” とか、“ストロベリー味だったら、テストで良い点をとる” とかをあらかじめ紙に書いておいて、みんなでひとつずつ選んで食べるんです。バナナとストロベリーの味が特に好きだったので、そのふたつは占いの結果も良いものにすることが多かったですね(笑)。 」
いまでも、占い付きのチョコレートやキャンディーを駄菓子屋さんで見かけることってありますよね。結果なんてすぐに忘れてしまうのに、その瞬間は書かれた言葉に一喜一憂して。
甲斐さんは、当時はまだ珍しかったアソートタイプの〈ルック〉をうまく遊びに転用して、妹や友人と楽しんでいたそう。
「自分で占い付きのお菓子をつくっている感覚でした。ひとつの箱にいろんな味が入っているというのが子どもながらにすごくお得な感じがして、よく買っていましたね。」(甲斐みのり)
おしゃれさを持ったチョコレート。
現在は、中心にクリームの入った「センタークリーム」というタイプですが、以前はジャムが入っていたこともあったんだとか。
2002年には中身がホイップクリームに変わり、2020年にフルーツやナッツの味わいをさらに引き出すセンタークリームの配合に改良し、素材の存在感がアップしました。
中身だけではなく、パッケージも時代に合わせて変化を遂げてきた〈ルック〉。
実はそのパッケージ、ニューヨークの気鋭のデザイナーである「レイモンド・ローウィ氏」がデザインしたものでした。
「1961年に、現在の不二家の「ファミリーマーク」と呼ばれる企業ロゴマークが誕生しました。「ミルキー」のヒットにより不二家という名が全国に広がったことから、ひと目で不二家とわかるようなマークが必要になり、レイモンド氏にデザインを依頼したんです。そのようなご縁から、1962年発売の〈ルック〉のパッケージデザインもお願いすることになったようです」(不二家 広報/土橋美紀さん)
レイモンド・ローウィ氏といえば、タバコの「ラッキーストライク」や「ピース」のデザインでもおなじみ。
〈ルック〉のパッケージに、どこか海外っぽさを感じられていた秘密はこんなところにあったのですね。
「当時、駄菓子といえば漫画っぽい絵柄が多かったなか、 〈ルック〉は洗練された外国製の雑貨を持っているような気持ちにさせてくれました。 大きな英字でLOOKと書かれていて、フルーツが散りばめられていて。当時夢中になっていたファンシーグッズと一緒で、すごくかわいいなと思っていたんです。」とは、甲斐さん。
当時は「アイビールック」「マリンルック」が流行。ファッションに敏感な若い世代をターゲットにして〈ルック〉と名付けたといいます。その狙いどおり、甲斐さんの心にもグッと刺さったおしゃれなチョコレート。
現在のパッケージは、ハートの部分にメッセージが書ける限定バージョン(2月末ごろまでの予定)。
大切な人へ、ちょっとしたギフトに選んでみては。
ルック(ア・ラ・モード)
■ 内容量:12粒
■ 価格:110円(税別)
■ メーカー:不二家
f-look.jp(不二家ルックブランドサイト) ブランドサイトを見る
〈撮影/山田 耕司 取材・文/山下あい〉
甲斐みのり(かい・みのり)
文筆家。静岡県生まれ。
旅やお菓子、ホテルや雑貨など幅広い分野において、書籍や雑誌、webなどで執筆。
著書に『アイスの旅』(グラフィック社)『たべるたのしみ』(ミルブックス)ほか多数。
雑貨やイベントなどを企画する「Loule(ロル)」主宰。
インスタグラム:@minori_loule