• 毎日の洗濯。直接肌にふれる衣類だからこそ、体にも自然にもやさしい「無添加の石けん」を使って洗濯してみませんか。合成洗剤やドライ溶剤を使わない「石けんクリーニング」を30年近く行っている「白栄舎」の茂木孝夫さんは、著書『家庭でできるカラダにいい洗濯術』の中で、自宅で気軽にできる石けんの洗濯について紹介されています。今回は、石けんクリーニングの魅力と、基本の石けん水のつくり方について教えていただきました。
    (『家庭でできるカラダにいい洗濯術』より)

    環境にも体にもやさしい「石けんクリーニング」

    東京・小金井市でクリーニング店「白栄舎」を営む茂木さん。1996年に石けんクリーニングへの切り替えを行って以来、化学薬品をふくむドライ溶剤や合成洗剤の使用を最小限に抑え、ほとんどの衣類を石けんと水でクリーニングするウェットクリーニングで行っています。

    画像: 環境にも体にもやさしい「石けんクリーニング」

    「店では、26年前から水洗い洗濯が中心。化学薬品が入った合成洗剤は使わず、健康と環境にやさしい石けんを使用しています。

    ドライクリーニングでしかできないものはドライで対応しますが、お客さまも水洗いのサッパリした仕上がりや石けんの汚れ落ちに満足いただいています。そこでプロの私から提案。ぜひ、石けん洗濯を家庭で実行してみましょう。

    クリーニング店に『お任せ』より、断然経済的で、いいことづくめ。意外と簡単で、なにより洗い心地がほわっほわ。一人でも多くの方に、安心な洗濯を楽しんでほしい。これが私の願いです」

    ドライクリーニングと石けんクリーニングの違い

    ドライクリーニングってどういうもの?

    ドライは油性、つまり油で洗うこと。水分をほとんど含まない、油性溶剤で洗います。つまり、水に濡らさないクリーニングです。

    画像: ドライクリーニングってどういうもの?

    ドライクリーニングというのは、何でもきれいになる専門的な洗濯法、と思われがちです。確かに油性の汚れはよく落とします。

    しかし、一般的な洗濯ものの汚れの約80%は水溶性で、残りの20%が油性の汚れといわれています。汗や食べこぼし、泥など、ほとんどの汚れは水溶性のため、ドライクリーニングで汚れを落とすことはできないのです。

    白い洗濯ものが黒ずんでしまうのはなぜ?

    ドライクリーニング溶剤は洗浄後、紙フィルターや活性炭などに汚れを吸着させながら循環させます。溶剤は、排水することなく、くり返し使うので、ドライ溶剤は濾過しても、完全には汚れが取り除かれず、タンクの底にヘドロ状に溜まることがあります。

    画像: 白い洗濯ものが黒ずんでしまうのはなぜ?

    このような状態で洗濯ものを洗うと、溶剤に残留した汚れが酸化してドライ臭の原因に。また汚れた溶剤の色素が再汚染を起こして白い衣類が黒ずみ、薄汚れたように仕上がってしまうのです。

    洗濯もののほとんどは水溶性の汚れものですから、家庭で洗っても十分キレイに。経済的です。

    店主がいうのも変なのですが、私はできるだけ家庭で洗えるものは、洗うようにすすめています。

    「合成洗剤」と「石けん」の違い

    ドライクリーニング溶剤と同様に、合成洗剤の成分にもまた有害な化学物質が含まれています。

    環境省が作成した「全国の家庭から排出された有害化学物質の割合」を見るとわかる通り、多くを有害な化学物質が占めます。

    全国の家庭から排出された有害化学物質の割合

    画像: 「合成洗剤」と「石けん」の違い

    純石けん分(脂肪酸ナトリウム)などと、ほんのわずかに記されている製品もありますが、合成化学物質名が併記されているものもあるので注意しましょう。

    今日から石けんクリーニング。これさえあればOKなアイテム

    石けん洗濯は、基本的には石けんと水があればすぐにできます。全部を揃える必要はありませんが、あると便利なものの一例を紹介します。

    用意するもの

    ●粉せっけん&液体石けん

    家庭の洗濯機では、無添加の石けん(粉状か液体)を使いましょう。粉状が経済的ですが、他に、部分汚れを落とすときなど、液状タイプもあると重宝します。そのほか、計量スプーンや固形石けんなどもあると便利です。

    画像: 粉石けんには、純石けん100%とアルカリ性助剤(炭酸塩)を3~4割加えたものがあり、助剤入りは皮脂汚れなどの洗浄力が高く、日常の洗濯に向いています

    粉石けんには、純石けん100%とアルカリ性助剤(炭酸塩)を3~4割加えたものがあり、助剤入りは皮脂汚れなどの洗浄力が高く、日常の洗濯に向いています

    画像: 液体石けんは割高ですが、用途は広く、便利です

    液体石けんは割高ですが、用途は広く、便利です

    ●仕上げ用アイテム(スチームアイロン、アイロン台、霧吹き)

    ●クエン酸と仕上げ剤

    無臭で水に溶けやすい酸性のクエン酸は、弱アルカリ性の石けんを中和し、せんいをやわらかくして臭いなどを除きます。仕上げリンス(石けん洗濯用)もあります。

    画像1: 用意するもの

    ●酸素系漂白剤

    画像2: 用意するもの

    アルカリ性の酸素系漂白剤。塩素系漂白剤は取扱いが危険な薬物を含むので、使いません。酸素系漂白剤はウールやシルク、金属を触媒にして染められたものには使えません。

    ●洗濯ブラシ&洗濯用ネット

    部分的な汚れ落としに。歯ブラシでも代用できますが、柄のついたものも使いやすいです。洗濯用ネットはさまざまな種類があります。必要に応じて使い分けてください。

    基本の洗濯水のつくり方

    石けん洗濯はいつもの洗濯機で石けん水を泡立ててから洗います。 仕上がりはふんわり、 肌心地がだんぜん違いますよ。

    全自動洗濯機の場合

     低水位に水を入れたら、洗濯機を回しながら適量の粉石けんをパラパラとふりかけるように入れます。

    画像1: 全自動洗濯機の場合

     しばらくたってこんもりと泡立ったら、いったん止めます。

    画像: 泡立ちがポイント。慣れればカンタン、石けん洗濯は泡立てから

    泡立ちがポイント。慣れればカンタン、石けん洗濯は泡立てから

     泡立ったなかに洗濯ものを入れ、その量に合わせて水位を設定して水を再注入。洗濯機を回します。

    画像2: 全自動洗濯機の場合

     しばらくして、しっかり泡立っていたら、これでOK!洗濯開始。

    画像3: 全自動洗濯機の場合

    もし、泡立ちがよくない場合は?
    粉石けんを足さずに、液体石けんを少量ずつ足して洗濯機を2~3分回してようすをみてください。途中で粉石けんを足すとよく混ざらずに、洗いムラや石けんカスが衣類に付着する原因になります。

    ドラム式洗濯機の場合

     最初に粉石けんを入れて、その上に洗濯ものを入れてスイッチオン。

     しばらくして泡立ちがよくなければ液体石けんを洗剤投入口から少量加え、水またはぬるま湯も少量注入。

     3分ほどして泡が立っていたらOK! 洗濯開始です。

     泡立ちが足りなかったら、液体石けんを足してください。

     

    本記事は『家庭でできるカラダにいい洗濯術』からの抜粋です。
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    画像: ドラム式洗濯機の場合

    茂木孝夫 (もぎ・たかお)
    有限会社 白栄舎クリーニング 代表取締役。1964 年、東京小金井市生まれ。小金井で父親の代からのクリーニング店を継ぐ2代目当主。人の健康や生態系に有害な恐れがあるとされる化学物質を含む合成洗剤は使わず、ドライクリーニングの使用も最小限に止め、ほとんどの衣類(スーツ、コート、ニット他)や寝具など、石けんと水でクリーニングするウェットクリーニング(一部、水洗いできないものは、ドライクリーニング)で行う。著書に『家庭でできるカラダにいい洗濯術』(コスミック出版)がある。


    画像: クリーニングのプロに教わる、体にやさしい「脱ドライ」の洗濯術|おうちで石けんクリーニング

    『家庭でできるカラダにいい洗濯術』(コスミック出版)

    『家庭でできるカラダにいい洗濯術』(コスミック出版)|amazon.co.jp

    著者/茂木孝夫
    編集制作/風力5 相良高子・中村史江
    写真/須藤英一
    イラスト/赤星たみこ

    定価:本体1,000円+税

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