合成洗剤やドライ溶剤を使わない「石けんクリーニング」を30年近く行っている「白栄舎」の茂木さんは、著書『家庭でできるカラダにいい洗濯術』の中で、自宅で気軽にできる石けんのお洗濯について紹介されています。今回は、汚れの種類に合わせたシミ抜きの方法を教えていただきます。
(『家庭でできるカラダにいい洗濯術』より)
手軽に自宅でできるシミ抜き
シミは千差万別です。洗濯機では食べこぼしや泥などのシミは落ちません。でも、そのたび、クリーニング屋さんに持っていくのは、タイヘン! 家庭で簡単にシミ抜きができるものもあります。
シミは時間がたつほど落ちにくくなるので、先ず湿らせたティッシュやハンカチなどを汚れた箇所の下に敷き、湿ったティッシュで上から軽くたたいて汚れを下に移し、あとを乾いたタオルで水気をふきとっておくと、後に洗濯をすればある程度は取り除けます。
汚れの種類に合わせて、家庭でシミ抜きをしてみましょう
洗濯マーク・素材チェック
家庭で水洗いできる素材に限ります。
用意するもの
湯・古歯ブラシ・酸素系漂白剤(ウール、絹などには使えません)
色落ちテスト
汚したものの目立たないところにお湯と石けんを少量つけ、白い布でこすって、色がつかないか試してください。色が少しでもついたら、濡れたタオルで石けんを取り除き、中止しましょう。
1.カレー・ケチャップ・ソース・しょう油、コーヒーなど目立つ色のシミ
うっかり服につけてしまう汚れで、もっとも多いのが、食べもののシミです。
しょう油やコーヒーなど水溶性のシミは、応急処置をしてすぐに洗うと、洗濯機で洗うだけで落ちる場合もありますが、うっすらと色が残ったりします。ケチャップやソース、カレー、スパゲッティなど油性のシミとなると、洗濯機で洗っただけでは、まず落ちません。
シミ抜きの方法
1 シミの部分にお湯をかけます。
2 粉石けん+酸素系漂白剤をつけた洗濯ブラシで、シミの部分をたたいて軽くこすります。
3 ブラシをシミの部分にのせたまま、布やバスタオルをかぶせて約1時間ほど保温状態を保ちます。
4 水で流したら、洗濯機の普通コースで洗います。
お湯の温度は40~70℃
温度が高いほどよく落ちますが、品物によって色が出たり、プリントがはがれてしまうこともあります。デリケートな素材も温度に弱い場合があります。その際は水、またはぬるま湯で洗ってください。
2.ボールペン・口紅・ファンデーション、マジック・朱肉など油性のシミ
油性のシミを落とすのはやっかいです。根気よくていねいにすればキレイになります。それでも、落ちないときはクリーニング店で相談してください。
シミ抜きの方法
1 シミの箇所に、素材に合わせた温度でお湯をかけます。
2 固形、または粉石けんをつけた洗濯ブラシでシミの箇所をたたき、石けんをせんいに染みこませ、シミのある部分を内側に折るようにたたみ、5分間そのまま放置しておきます。
3 水で流して、まだシミが残っているようなら“石けんをつけてたたく”を数回、くり返しましょう。デリケートな素材は、歯ブラシなどでやさしくたたきます。シミが残っていたら、お湯と酸素系漂白剤で同様に行ってください。
4 水で十分に洗い流してください。強くこすると、素材が傷むので気をつけましょう!
3.マニキュア、接着剤、ペンキなどのシミ
樹脂系の不溶性のシミの部類は簡単ではないですね。
1 マニキュアは、除光液をつけ、しばらくしたら、ツメではがすようにして落とします。その後、石けんをつけた洗濯ブラシで軽くこすり、水で洗い流します。除光液はアセテート・トリアセテート素材には使用できません。
2 接着剤やペンキもベンジンやラッカーでうすめた液で落とせます。目立たないところで色落ちなど変化しないかテストしてからシミ抜きを行ってください。
テストして色落ちや変色、硬化など変化があったときや、また大切な品物にシミがついたときなど、心配な場合はクリーニング店にご相談ください。
本記事は『家庭でできるカラダにいい洗濯術』からの抜粋です。
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茂木孝夫 (もぎ・たかお)
有限会社 白栄舎クリーニング 代表取締役。1964 年、東京小金井市生まれ。小金井で父親の代からのクリーニング店を継ぐ2代目当主。人の健康や生態系に有害な恐れがあるとされる化学物質を含む合成洗剤は使わず、ドライクリーニングの使用も最小限に止め、ほとんどの衣類(スーツ、コート、ニット他)や寝具など、石けんと水でクリーニングするウェットクリーニング(一部、水洗いできないものは、ドライクリーニング)で行う。著書に『家庭でできるカラダにいい洗濯術』(コスミック出版)がある。