合成洗剤やドライ溶剤を使わない「石けんクリーニング」を30年近く行っている「白栄舎」の茂木孝夫さんは、著書『家庭でできるカラダにいい洗濯術』の中で、自宅で気軽にできる石けんのお洗濯について紹介されています。今回は、セーターの洗い方を教えていただきます。
(『家庭でできるカラダにいい洗濯術』より)
冬物をしまう前に、大切なセーターを自宅でクリーニング
お気に入りのセーターを翌年以降も長く着るためには、きちんとお洗濯をしてしまっておきたいですね。石けんのお洗濯なら、毛糸本来のふんわりやさしい仕上がりになります。春の衣替えの前に、ぜひお試しください。
セーターを洗う前の準備
洗濯マークと素材をチェック
手洗いマークのついたニットなら、石けん洗濯ができます(ポリエステルやアクリルが約20%以上なら、ほとんど洗えます)。
用意するもの
石けん水・液体石けん・洗濯仕上げ剤(クエン酸・食酢でもOK)・洗濯ブラシ・平干し用ネット
※ クエン酸がないときは、穀物酢などの食酢でもOK
基本の洗濯水のつくり方
1 低水位に水を入れたら、洗濯機を回しながら適量の粉石けんをパラパラとふりかけるように入れます。
2 しばらくたってこんもりと泡立ったら、いったん止めます。
3 泡立ったなかに洗濯ものを入れ、その量に合わせて水位を設定して水を再注入。洗濯機を回します。
4 しばらくして、しっかり泡立っていたら、これでOK! 洗濯開始。
もし、泡立ちがよくない場合は?
粉石けんを足さずに、液体石けんを少量ずつ足して洗濯機を2~3分回してようすをみてください。途中で粉石けんを足すとよく混ざらずに、洗いムラや石けんカスが衣類に付着する原因になります。
ウール・ポリエステル・アクリル混紡のセーターの洗い方
1 セーターを軽くたたんで、洗濯機の石けん液の中へ
洗濯機に「基本の石けん液」を泡立てたら、セーターを軽くたたんで、石けん液の中に沈めて手洗いコースで洗います。色の濃いセーターを洗う場合、白い洗濯ものといっしょに洗わないようにします。
2 すすぎの最後にクエン酸を入れる
すすぎの最後に、洗濯仕上げ剤(クエン酸・食酢少量でもOK)を入れると、やわらかさがさらにアップします。
※目安は水30〜45Lにクエン酸小さじ1/3〜1、食酢大さじ1/2〜1。
3 脱水後、手のひらで平らに整える
脱水したらすぐに取り出し、手のひらで軽くたたき、平らな状態に形を整えます。
4 平干しで陰干しにする
平干し用ネットなどを利用して、なるべく平らに干します。なければ2ツ折りにして竿にかけます。乾くとふんわり気持ちよい仕上がりです。
ウール100%のセーターの洗い方
洗う前の準備
用意するもの(全自動洗濯機)
無添加粉石けん(炭酸塩などのアルカリ助剤が入っていないタイプ)でつくった泡立ち石けん液、採寸用メジャー、洗濯ブラシ、液体石けん、洗濯ネット、洗濯仕上げ剤(クエン酸または食酢)、平干し用ネット
セーターの採寸
水洗い不可表示でウール100%や、ウール混紡率が高い素材のセーターを初めて洗う場合、洗う前に採寸しておき、収縮に備えます。採寸するのは、身頃のタテとヨコ・そでのタテとヨコです。メモをしておきましょう。
手洗いマーク不可でも、毛糸の太い、ざっくり編みのセーターは洗ってもほとんどシワや縮みなどの変化はありません。
水温は必ず水道水の常温で
洗うときの水温は必ず水道水の常温で。ぬるま湯は縮む原因になります。ぬるま湯厳禁!
長時間の浸け置きは縮みの原因
長時間水に浸けておくと、縮みの原因になります。ニット類は手早く洗うことを心がけてください。
洗い方
1 ネットに入れる
セーターを軽くたたんでネットに入れます。
2 助剤の入らない無添加粉石けんでつくった基本の石けん液を用意する
泡立ちを確認し、ネットに入れたセーターを沈め、手洗いコースで洗います。
3 脱水後、手のひらで整形
脱水後はすぐに取り出し、手のひらで軽く平らにたたき、平らに形を整えます。
4 採寸し、洗う前より小さい場合は、湿っているうちに伸ばす
もし、変化していたら湿っているうちに縦・横・斜めに必要に応じて伸ばします。
5 平干しにして、陰干しに
平干し、または二つ折りにして陰干しします。
セーターのアイロン仕上げのコツ
用意するもの
スチームアイロン・アイロン台
※ スチームアイロンさえあれば、霧吹きも当て布もほとんど要りません。
アイロンマークと素材を確認
アイロンのかけ方
1 そでを手のひらで伸ばす
まず、そでからかけていきます。アイロン台にそでをのせたら、手のひらでまっすぐに肩からそで口に向かっておさえながら伸ばします。
2 そで口からアイロンをかけていく
そでにスチームアイロンをかけていきます。そでは表、裏をかけて、横のラインをずらしてかけるとキレイに仕上がります。
3 裾のゴム編みの部分をかける
裾の部分を軽くトントンと押さえるようにかけていきます。アイロンの横のカーブを利用して軽く当てます。
4 裾の端をを手で軽く引っ張りながら、続くギャザー部分をかける
ゴム編み部分から続く身頃は、細かくギャザ―が入り、難関そう。でも、スチームが自然に細かなシワを取ってくれます。ゆっくり落ち着いて軽くスチームアイロンを! そのとき、片方の手で端をおさえながらかけると、うまくいきますよ。
5 細かいシワも消え、まるでおろし立てのよう
ゆっくりスチームの力で、ふんわりとやさしくアイロンがけをすれば、セーターがふっくら! できあがり。
本記事は『家庭でできるカラダにいい洗濯術』からの抜粋です。
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茂木孝夫 (もぎ・たかお)
有限会社 白栄舎クリーニング 代表取締役。1964 年、東京小金井市生まれ。小金井で父親の代からのクリーニング店を継ぐ2代目当主。人の健康や生態系に有害な恐れがあるとされる化学物質を含む合成洗剤は使わず、ドライクリーニングの使用も最小限に止め、ほとんどの衣類(スーツ、コート、ニット他)や寝具など、石けんと水でクリーニングするウェットクリーニング(一部、水洗いできないものは、ドライクリーニング)で行う。著書に『家庭でできるカラダにいい洗濯術』(コスミック出版)がある。