• 東京・秋葉原にある、カフェ風精進料理のお店「こまきしょくどう」おかみの藤井小牧さんが、日々の暮らしや食などを綴ります。精進料理のレシピもときどき紹介。今回は、卵を使わないオムライスのレシピ誕生のお話です。

    卵を使わないオムライスレシピができました

    画像1: 卵を使わないオムライスレシピができました

    今年も木蓮の花がきれいに咲いています。ビル街の間にも小さい公園が点在しており、木々の緑が美しい。桜の木も次々に開花していて、コートをもたず空を眺めながら歩くことことがたのしい季節になってきました。

    そして、この地でお店を始めから8年目の春を迎えます。

    世の中には、さまざまなタイプのベジタリアンの方がいます。「動物性を食さない」ということをベースに、動物愛護・環境問題を考えたビーガンや乳製品は取り入れる「インド系ベジタリアン」、ねぎ・にら・にんにくを食べない「中華系ベジタリアン」など、宗教・歴史背景やライフスタイルに合わせて細分化されています。「こまきしょくどう」のメニューは、ねぎ・にら・にんにくを使わない精進料理なので、中華系のベジタリアンの方と相性がとてもよいです。

    毎年、正月が落ち着いた旧正月・春節のころ(2月中旬)、「こまきしょくどう」は中華系のお客さまでごった返します。節分前後2週間は、台湾・香港・マレーシア・シンガポールの方々で満席になり、中国語メニューも大活躍。ああ、大学時代の第2外国語が中国語だったのに……。もっとやっていれば……と、反省する時期でもあります。

    そして春節が終わった桜の時期、世界中のお客さまが日本の美しい季節を体験に来日されます。

    今年はまだまだ海外からお客さまが来られないので、日本人のお客さま向けにいろいろ新しいメニューを考えました。

    画像2: 卵を使わないオムライスレシピができました

    いままであるようでなかった「精進うどんセット」。こだわりは、お汁です。出汁ソムリエの方のご紹介で、大分・鳥取のおいしい干ししいたけと、よい昆布に出会いました。精進料理は、やはり出汁が命! おいしい素材をていねいに戻すだけで、いい味のベースができます。

    うどんのトッピングや、甘味・油分などを加えずとも、それだけでおいしい。うどん単品だけではさびしいので、副菜もつけました。ほかのおかずにも合うおいしいお汁なので、お客さんにぜひ飲みほして欲しいです。

    そして目玉商品として「卵を使わないオムライス」。そもそもオムライスは、『ソース』・『オムレツ』・『ライス』の三重奏のバランスでおいしさが変わってきます。

    「こまきしょくどう」の三重奏は、『豆味噌とトマトのソース』・『しっとりオムレツ』・『玉ねぎ・ニンニクを使わないケチャップライス』です。

    ソースは、香味などをみじん切りにして塩・こしょうを振り、蒸らし炒めをしながらトマトと豆味噌でに煮込んでいきます。豆味噌とトマトは抜群に相性がよく、煮込めば煮込むほどおいしいソースが出来上がります。

    ライスは、ケチャップライスが好きなのですが、市販のケチャップには「にんにく・玉ねぎ」などがはいっていることもあり、そこは手づくりのよさで除いたものを。ただ抜いただけだと寂しい味になるので、きのことスパイスでうまみとパンチを効かせます。

    そしてこだわりのオムレツは、ていねいに薄焼き卵(もどき)をつくります。食感を重視すると、湯葉で代用などもいいなあと思いましたが、やはり「卵の黄色」にロマンを感じ、そこは見た目のこだわりを出したかったので、何度もトライしてできたとっておきのレシピで仕上げます。

    そもそも、精進料理でも卵を使う方がいらっしゃるようですが、こまきしょくどうではビーガン(完全動物性不使用)の方も食べられる材料にしています。私自身が幼少期にアトピーだったこともあり、アレルギーで食べれない人も除くだけでなく代替で心が寂しくならないようにと献立を考えるなか、やはり卵は黄色の方が元気が出ます。

    以前から南インドのお店で気に入って食べていた、「ドゥーサ(ドーサ)」をヒントにしました。

    豆腐・ひよこ豆粉・ターメリック・片栗粉でつくる薄焼き精進のオムレツは、なんとも……卵です。

    卵を使わないオムライスの「オムレツ」

    画像: 卵を使わないオムライスの「オムレツ」

    材料(つくりやすい分量)

    ● 豆腐半丁(約180g)
    ● ひよこ豆粉1/2カップ
    ● 片栗粉大さじ3
    ● ターメリック小さじ2
    ● ブラックペッパー適量
    ● 水1カップ
    ● 米油25mL
    ● 塩小さじ1

    つくり方

     すべての材料をミキサーにかけ、ざるなどで濾し、なめらかにする。

     フライパンに油(分量外)をペーパーで引き、弱火で熱する。

     お玉1杯分のをクレープのように薄くのばし、ふたをして蒸らしながら焼く。

     表面がかわいたらひっくり返し、焦げない程度に焼く。

    ※ピラフの上にのせ、ソースをかけるとオムライスの完成です。



    画像: つくり方

    藤井小牧(ふじい・こまき)
    東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理 こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。著書『こまき食堂』(扶桑社)が発売中。

    ホームページがリニューアルしました。
    こまきしょくどう 鎌倉不識庵
    https://www.kamakura-komaki.com/

    ウェブショップもできました。
    こまきしょくどう商店
    https://gomagomagohan.stores.jp/

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    ISBN978-4-594-08460-8



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