• 東京・秋葉原にある、カフェ風精進料理のお店「こまきしょくどう」おかみの藤井小牧さんが、日々の暮らしや食などを綴ります。精進料理のレシピもときどき紹介。今回は、女性の不調の強い味方、「ビーツ」のお話です。

    週に1度のカラフル野菜便

    毎週木曜日に野菜が届きます。

    埼玉県草加市の有機農業の「チャヴィペルト」さんからです。おいしい野菜が届くので、定番のものと旬のものを混ぜて配達してもらっています。チャヴィペルトさんに注文をするお客さんには、イタリアンやこだわりの店が多いため、カラフルな野菜をつくるのにどんどん挑戦しており、こんな野菜があるのかと注文表を見て驚くことが多々あります。

    色鮮やかな紫のカリフラワーや茎が赤いほうれん草など、見るだけで元気が出る野菜ばかり。「カラフルは栄養満点だ!」と、箱を開けるたびにいつも納得させられます。健康な食とは数字上の栄養ばかりではないと思っています。つくり手の手間ひまかけて育てているストーリーで心が満たされますし、鮮やかな色で元気が出るものは、やはり味も良いと思っています。

    よい野菜は触っただけでもわかリます。鮮度がよくハリがいいので、まず野菜を処理するまえに やることは「包丁を研ぐこと」。野菜が元気すぎて刃が立たないことがあるのです。

    チャヴィペルトさんの野菜は、そんな野菜が多いので、野菜しか出さない料理屋にはありがたい限り。うちの店はなんとなく茶色いおかずになりがちなので、なるべく組み合わせに気を付けて、反対の色の野菜をかけあわせたりすることを意識していますが、全体のバランスを見た時にどう見えるかは本当に大事。肉や魚を出さないでいればいいわけではないのです。野菜だけで満足してもらうためには、よい野菜に助けてもらわねばならないのです。

    栄養満点のビーツを食べよう

    画像: 栄養満点のビーツを食べよう

    先日注文表がきたので眺めていると、いろんなビーツの種類が載っていました。

    じつは、昨年12月くらいから少し体調が悪く、お医者さんから「鉄分」を摂取するようにといわれていました。アラフォー女子ともなると、体の不調がなにかしら出てくるものですね。不安はありますが、これはよいきっかけとして、改めて体に気を使うようになりました。若くはありませんね。

    自分が若かりし頃、思春期のうちは家族と住んでいたので、体を気使ってもらった食事を食べていました。鉄分を摂るため、月に1回は小豆を炊いてもらったり、ほうれん草の軸を余分に出してもらった記憶があります。意外と大人になってからの方が、鉄分を摂る癖がなくなっていました。これは改めて鉄と向き合うのもいいのでは? 日々の食の意識が未来を明るくするのですから。

    とくに、ビーガン・ベジタリアンの方は「動物性」を摂らないので、鉄分が効率よく摂りづらいのです。サプリメントもありますが、体への吸収を考えると、食品でも補うことを習慣化することが必要です。

    ビーツは貧血の強い味方

    さて、ビーツは「食べる輸血」といわれるそうで、鉄分マグネシウムカリウムポリフェノールなどの成分が含まれていて、体にとってとてもよい食材なんです。健康診断で、いままで気がつかなかった不調は「隠れ貧血」であったという男性たちからも、鉄のことを聞かれるようになりました。多少、女性のほうが必要性は高いかもしれませんが、男女関係なく鉄分は必要なのです。     

    画像1: ビーツは貧血の強い味方

    そして、旬のビーツがしばらく到来するならば、たくさん食べていただけるメニューを考えよう。まず皮をむいてせん切りに。ごま油で炒めて、しょうゆ、酒で味をつけごまをふれば大体おいしい(ゴワゴワしていますが皮もせん切りにしてまかないできんぴらに。野菜の皮も、きんぴらにするとおいしい)。

    生で食べるならさっと水にさらしますが、基本的にはあまり水に放ちたくない(味や栄養がさびしくなる)ので、今回は鬼おろしでおろしました。そこに、大根おろしを混ぜ、三杯酢で味をつけます。そのまま食べてもいいですが、今回は素揚げした豆腐に乗せて。

    画像2: ビーツは貧血の強い味方

    色も美しく、揚げものも胃にもたれず、アラフォーにやさしい1品。ビーツおろしは2、3日は日持ちしますが、変色してくるのでなるべく早く食べましょう。食べきれない場合は、冷凍するのもおすすめです。今回は黄色とピンクのビーツを使用。うっとりと美しい。よくこんな野菜がつくれるなと、料理の仕上がりよりも野菜に感心してしまいます。うちの契約農家は日本一だな……。

    来週もどんな野菜が来るのか楽しみです!



    画像3: ビーツは貧血の強い味方

    藤井小牧(ふじい・こまき)
    東京・秋葉原にある「カフェ風精進料理こまきしょくどう」店主。臨済宗僧侶であり、精進料理家としても知られる藤井宗哲氏と、精進料理家の藤井まり氏との間に生まれ、幼いころより精進料理とともに育つ。現在はお店に立つかたわら、東京の生産者・加工業者を応援する活動「メイドイン東京の会」にも参加している。著書『こまき食堂』(扶桑社)が発売中。

    ホームページがリニューアルしました。

    こまきしょくどう 鎌倉不識庵
    http://www.kamakura-komaki.com/

    ウェブショップもできました。

    こまきしょくどう商店
    https://gomagomagohan.stores.jp/

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    天然生活の本『こまき食堂』(藤井 小牧・著)

    天然生活の本
    『こまき食堂』(藤井 小牧・著)

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    B5判
    定価:本体 1,400円+税
    ISBN978-4-594-08460-8



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