春から夏にかけて出回る真あじ
「真あじ」は大きく分けて2種類あり、同じ真あじでも、味に大きな差があります。
多くの真あじは、水温16~17℃の海域を追いかけながら、大群で回遊しています。全体に表面が黒っぽいので「黒あじ」と呼ばれ、一般に多く出回っています。
もう一つは、回遊せず、浅瀬に生息している真あじです。こちらは体系がずんぐりしており、体色が黄色(金色)をおびて、黒みが薄いのが特徴です。
この種は「黄あじ」、「瀬付き(せつき)あじ」、「根付きあじ」などと呼ばれ、希少価値があり、味も脂ののりも段違いによいとされています。主に料亭などで使われていて、全体に丸いものがよいといわれています。
あじの選び方は、腹を触って硬いもの、体表の輝いているもの、エラが鮮紅色のものがよいでしょう。真あじは大きすぎるものよりも、中型のほうがおいしく、小さくても美味です。目の色で鮮度は見ません。流通方法によっては、鮮度に関わらず、目が濁り、白くなるからです。
旬は一般的には春から夏ですが、産卵しない小型のあじは秋です。
あじは、タンパク質、脂質が豊富。特にDHA、EPAが豊富で、成人病を予防し、脳の発達を促すといわれています。カルシウム、タウリンも豊富で、肝臓の解毒作用を促進し、強心作用や、コレステロールの減少によいといわれています。
失敗しない、あじの三枚おろしの方法(松田美智子さん流)
松田美智子さん流、あじの三枚おろしをご紹介します。
この方法だと、おろし下げるので、失敗がありません。
1 まな板に、あじの頭を右、腹を手前側にして置く。包丁の先で尾から頭に向かって軽く鱗を取る。胸びれの下に包丁をあて、頭と胸びれを切り落とす。
2 腹を肛門まで切り、腹の中を出す。包丁の先の方を中骨に直角に当て、骨の上にずらし、中骨の上を左の尾に向かって刃を少し体に沿って下向きにして、骨の上を擦るように動かす。包丁を大きく上下して左に進む。尾を切り落とす。上下を返し、同じようにおろす。
3 腹骨を削ぐ。3枚におろしたあじをおき、包丁を右から左へ進めるようにして、腹骨を削ぐ。もう一つの半身も位置を逆転して、骨が左側になるように置き、腹骨を削ぐ。
4 中骨を抜く。頭側を左に置き、左手の人差し指と中指を、中骨を挟むように軽く抑える。骨抜きで、中骨の先をつかみ、頭方向に抜き出す。触診で感じない骨は抜かなくてよい。
5 皮を剥く。頭側の背の皮を、爪先で少し剥がし、さらに、腹側まで1cmくらい剥がし、まな板に置き、ペーパータオルで皮を剥がした身を軽く抑え、皮を左にすっと一気に引いて剥がす。
〈動画〉あじの三枚おろしの方法(松田美智子さん流)
あじのカルパッチョのつくり方
おろしたての新鮮なあじを、カルパッチョにしていただきます。
ミントの葉をあしらってさわかな風味に。
材料(つくりやすい分量)
● 真あじ(中サイズ)※1 | 1尾 |
● 塩 | 少々 |
● A | |
・フレンチマスタード | 小さじ1 |
・塩 | 小さじ1/4 |
・白ワインヴィネガー | 小さじ1 |
・レモン汁 | 大さじ1 |
・ナンプラー | 大さじ1 |
・白こしょう | 少々 |
・オリーブオイル | 大さじ3 |
● フルーツトマト | 1個(ざくぎり) |
● ミントの葉 | 大さじ1(7mmにちぎる) |
※1 真あじは三枚におろし、腹骨、中骨、皮を除く。
つくり方
1 あじは三枚におろし、ひと口大のそぎ切りにして、両面に軽く振り塩をし、冷蔵庫で15分ほどおく。
2 Aは合わせておく。あじを器に並べ、Aを回しかけ、フルーツトマトとミントの葉をあしらう。
〈料理/松田美智子 撮影/山田 耕司〉
松田美智子(まつだ・みちこ)
日本料理をベースにした家庭料理の教室を1993年より主宰。鎌倉で育った子ども時代から身近だった保存食づくりを基本に、いまの時代に無理なく楽しめる季節の仕事を提案。著書に『丁寧なのに簡単な季節のごはん』(小学館) amazonで見る など。