7月23日から8月6日ごろの二十四節気七十二候
日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
7月22日 23時26分
二十四節気・大暑(たいしょ)
暑さが最も厳しい季節。
大暑は8月8日の立秋までの期間をさしますが、その間を区切った七十二候でも「土がじっとりとして蒸し暑い」「ときどき大雨が降る」などといった言葉で猛暑や酷暑、蒸し暑さを表現しています。
記録破りの最高気温を記録するなど、体調管理や紫外線対策にも気を配りたい時期です。
適度な運動とこまめな水分補給を心がけて、無理なく過ごしましょう。
最近は都会でもヒートアイランド対策として、屋上庭園の整備や街路樹の植樹などが行われています。
強い日差しを遮ってくれる、木々の緑にも感謝したいものです。
大暑の期間の七十二候
7月23日から7月27日ごろ
大暑初候・ 桐始結花[きりはじめてはなをむすぶ]
5月に咲いた桐の花がそろそろ実を結ぶころです。
桐の原産は中国ですが、源氏物語や枕草子にも出てくるほど、古くから日本でもなじみのある落葉樹です。
野山の桐は大木なので花は高いところにあり、見えにくいのですが、薄紫色の花を咲かせる風情はとても優雅で、よい香りが漂います。
7月28日から8月1日ごろ
大暑次候・ 土潤溽暑[つちうるおうてむしあつし]
読んで字のごとく、土までもがじっとりとして蒸し暑いころ。
息苦しいほどベタベタした空気を「溽暑(じょくしょ)」と表現しています。
暑さもピーク。蒸し暑い夏の盛りです。
8月2日から8月6日ごろ
大暑末候・ 大雨時行[たいうときどきにふる]
突然の夕立ちが降るころです。
地面を激しく打つ土砂降りの雨は、現代では、集中豪雨、局地的大雨などとも表現されています。
急な雷雨は困りものですが、雨上がりは少し風情があります。
虹がかかるかもしれませんから、夕立ちに遭遇したあとはぜひ空を見上げてみましょう。
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* 二十四節気
四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。
* 七十二候
七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。
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*本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
*二十四節気、七十二候の日付は2021年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。
<イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>
井上象英(いのうえ・しょうえい)
暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。
『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。