焦らずゆっくり。元保護犬ベルが家族に慣れるために心がけたこと
すぐに慣れると思ったけれど……予想外の展開
ベルが我が家に来ることになった日、仕事だった夫に代わって弟が一緒にベルを迎えに行ってくれました。
ドッグトレーナーでもある弟は私が引き取り手続きをしている間、ずっとベルを触りながらいい子、いい子と言っていて、ベルもジッと弟を見ながら嫌そうじゃなくて。
そんな姿を横目で見ながら、“とりあえず弟にはなついたようだし、人への恐怖心もなさそうでよかった”とホッとしました。
そして我が家にやってきたベルでしたが、触るどころかリビングに出て来ることも少なく、散歩のとき以外はほとんどケージの中にいる日が3、4日続きました。
あれ? 想像と違う……。どうすればベルが安心してリビングに出てこられるんだろう。
それから時間があるかぎりベルのお散歩にはみんなで一緒に行き、外で少しずつ触れてみることにしました。
まずは夫に慣れ始めたベル
そうしているうちに、いつの間にか夫には慣れはじめたんです。
子どもたちは「えー!!ずるい~」って言っていましたけど(笑)
そんな子どもたちには、「ベルは新しいお家に来て緊張しているし、きっと不安な状態だから触りたい気持ちもわかるけど、もう少し落ち着くまでいつも通りに過ごそうね」と言っていたので、子どもたちも触りたくても無理に近づくことはせず、我慢していました。
1週間ほどで夫には慣れはじめたものの、私にはまだそこまで慣れずにいたので、みんなが出かけてからのベルと2人きりの時間は正直不安でいっぱいでした。
でも子どもたちにも言ったように、無理やりではなく、なるべくベルが自分の意思でリビングに出てこれるようにと思い、私もベルに構うことなくいつも通りに過ごしいました。
そんな数日を過ごしたある日、ふと、“みんながいないからこそ、ベルと仲良くなれるチャンスかも!”と思い、いろいろなおもちゃやおやつ作戦をするようになりました。そうしていくうちに、自らケージから出てきてくれるようになったんです。
この頃からやっぱり食べ物には弱いベルでした(笑)
ついに子どもたちにも心を開く
そして子どもたちはというと、交代でベルにごはんをあげる係になりました。
ただ普通に容器に入れてあげるのではなく、「人の手は怖くないんだよ、叩いたり嫌な事はしないよ」とベルに教えるために、手であげるようにしました。
すると、それまで子どもたちとは少し距離があったベルも、しっかり目を見て指示を待つように。
ごはんを手であげることでお互いの信頼関係や安心感も生まれるし、誤飲しそうになったときに人間が手を出しても噛まないようにもなるので、このやり方を1カ月ほど続けました。
その甲斐あって子どもたちとベルの距離も一気に近づいていったのです。
そんな感じでベルも我が家に慣れてきた頃、もっと仲良くなりたかった子どもたちは、ベルに「お手」「おすわり」「待て」「伏せ」なども教えるようになりました。それをすぐに覚えたベル。
弟いわく、覚えるのがものすごく早いと。そしてその理由はたぶん「成功したらおやつもらえるってわかってるから、おやつ欲しさに頑張れるんやろね。ようするに"食いしん坊”ってこと」って(笑)やっぱり~!
でも、指示を出す子どもたちも、指示を出されておやつをもらうベルも、どちらもいつも得意げな顔がおもしろくもありかわいいんです。
すっかり家族の一員になったベルは家族の誰かが着替えたり、身支度をしていると「どこかに行くの? お出かけ? 私も連れてって!」と思っているかのようにジーっと見ています。
そして足元で短いシッポをちぎれそうな勢いで振って「連れてって」をアピール。
言葉は話せないけどベルのそんな態度や表情で気持ちがなんとなくわかるようになった子どもたち。
初めに言った、“焦らずゆっくり、少しずつ”をきちんと守り、ごはん係も頑張ったからだね。
そしてそんな私たちに対してベルも心を開いてくれたからこそ、家族になれたんだなって実感する毎日です。
tomooo.25
夫、双子の男の子、元保護犬ベル、キンクマハムスターの4人+2匹暮らし。自宅の家具をほぼすべてDIYでカスタム。休みの日は家族でDIYをしたり、釣りやキャンプに行ったりとアウトドアが大好き。ベルを迎えてからはベルとの朝夕の散歩が毎日の日課。DIYのアイデアや、家族やベルとの暮らしについてinstagramやブログで日々更新中。
インスタグラム:@tomooo.25
ブログ:https://profile.ameba.jp/ameba/tomooo-25/
犬を飼いたいと思ったときに、ペットショップで「買う」だけでなく、保護犬を「迎える」という選択肢もあるということを広く伝えたい。そんな思いから生まれた1冊です。
保護犬を実際に迎え入れた方々の、ありのままの暮らしを楽しく伝えることで、保護犬たちの魅力を伝えるとともに、少しでも保護犬を迎えるきっかけとなればと願っています。