歳を重ねたら、お粥が来た!
今年初めのこと。荷物が届くのだが、宅配ボックスには入れたくない荷物のようだ。
年初めに贈り物など来るはずもない、ネットで頼んだ覚えもなく、心当たりがない。
しばらくそのままにしていたが、宅配不在票が、何度も郵便受けに入っている。一体、何を送っているのか? 皆目見当もつかない。
次第に、送り主の正体だけでも明らかにしないと、収まりがつかなくなった。不在票に記載されていた、住居地区役所の「福祉部高齢者福祉課」へ、電話をした。
すると、担当者氏は「区では毎年、ひとり暮らしの後期高齢者へ、安否確認を兼ねて、地域包括支援センターの方に届け物をしてもらっていたのですが、コロナ禍で伺えずに、宅配になりました」と説明。
そこで、担当氏から自分が後期高齢年齢であると突き付けられたことに、まずガックリ肩が落ち、さらに、区の大切な財政を遣い、別区百貨店の品物を購入し宅配で送るという仕組み、このことに猛烈に腹が立ってきた。
「え、毎年? 中身は?」と聞けば「毎年、永平寺のお粥と決めています」との返事。何、お粥! 後期高齢年齢を馬鹿にしているのか! 益々、腹が煮えくり返ってきた。
「私は、ひとり暮らしでもまだ元気で、お粥なんて真っ平、要りません!」と啖呵を切って断った。
我が区政は、ひとりひとりに寄り添うどころか、「後期高齢者」と十羽一絡げだ。しかし、友人曰く「貴女、あのお粥、美味しいわよ、断るなんてもったいない」。
どうも歳を重ね、私は怒りっぽくなっているようだ。反省、反省。
<文/阿部絢子 イラスト/北村人>
阿部絢子(あべ・あやこ)
生活研究家。消費生活アドバイザー。「万人が家事を科学的に効率よくスムーズにこなすには?」を研究、提唱し続ける。『老親の家を片づける ついでにわが家も片づける』『老いのシンプル節約生活』(ともに大和書房)、『ひとり暮らしのシンプル家事』(海竜社)など多数。