• 8月7日から8月22日ごろの二十四節気七十二候
    日本の“四季折々の自然の美しさ”や“伝統行事の楽しみ”を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントを『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた、暦法研究家・井上象英さんが伝えます。
     

    8月7日 15時54分
    二十四節気・立秋(りっしゅう)

     

    夏の終わり、秋の始まり

    土用が明けてもまだ猛暑は続き、うだるような暑さと冷房の温度差で、体調にも注意したい時期です。

    一方で作物は豊かにしげり、実るころになってきました。

    気温の数字だけを見ると信じられませんが、暦の上ではもう秋。

    昔の人は、空を見上げ、雲の高さや形、風の向きや音など、微妙な空気の変化から、秋の気配を感じ取っていたのかもしれません。

    そして、立秋を境に、暑中見舞いは残暑見舞いにかわります。

    立秋の期間の七十二候

    8月7日から8月12日ごろ
    立秋初候・ 涼風至[すずかぜいたる]

    画像: 8月7日から8月12日ごろ 立秋初候・ 涼風至[すずかぜいたる]

    夏の季語にもなっている「涼風」は“すずかぜ”と読みます。

    立秋を迎えての朝夕は、なんとなく涼しくなるという意味です。

    夕涼みなどを楽しみたいところですが、実際には熱帯夜でまだまだ厳しいころ。

    暴風雨や台風にも警戒が必要です。

    8月13日から8月17日ごろ
    立秋次候・ 寒蝉鳴[ひぐらしなく]

    画像: 8月13日から8月17日ごろ 立秋次候・ 寒蝉鳴[ひぐらしなく]

    夏の終わりを告げる、ヒグラシが鳴きはじめるころです。

    ヒグラシはふっくらとした豊かな土の中で育つセミ。

    この声を聞けるのは、近くに森や林、公園などがあるあたりでしょうか。

    カナカナというきれいに澄んだ音が聞こえてくる様子は、本格的な秋の訪れを告げるようで、なんとなく物悲しさも感じられます。

    8月18日から8月22日ごろ
    立秋末候・ 蒙霧升降[ふかききりまとう]

    画像: 8月18日から8月22日ごろ 立秋末候・ 蒙霧升降[ふかききりまとう]

    “蒙霧”とは、視野がふさがれるほどの深い霧に覆われること。

    山すそや里山が霧につつまれて雲海が広がる場所は、日本各地にありますが、朝晩のひんやりした空気が連れてくる幻想的な景色は、見ているだけで清々しい気持ちになります。

    霧のあとは空気も澄み、夏草の甘い香りとともに、秋の気配を知らせてくれます。

    ◇ ◇ ◇

    * 二十四節気

    四季の移り変わりをわかりやすくするために一年を24等分したのが二十四節気。もともとは2000年以上前の、古代中国の天体観測からつくられた暦法です。二至(冬至と夏至)二分(春分と秋分)を軸として、その中間に四立(立春・立夏・立秋・立冬)がつくられており、その間をさらに前半と後半に区切ることで二十四節気と称しています。

    * 七十二候

    七十二候とは、二十四節気を気候の変化でさらに細分化したもの。ひとつの節気を「初候」「次候」「末候」という三つの“候”に区分。約5日という細かい期間を、草花や鳥、虫などの様子で情緒的に言い表しています。

    ◇ ◇ ◇

     

    *本記事は『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)からの抜粋です。
    *二十四節気、七十二候の日付は2021年の暦要項(国立天文台発表)などをもとにしたものです。日付は年によってかわることがあります。

    <イラスト/山本祐布子 取材・文/野々瀬広美>

    井上象英(いのうえ・しょうえい)
    暦作家、暦法研究家、神道教師、東北福祉大学特任講師。100年以上の歴史を持ち、日本一の発行部数の『神宮館高島暦』の主筆を長年務め、現在は、企業・各種団体などで講演活動、神社暦や新聞雑誌等の執筆活動など、多方面で活躍。著書に『365日、暮らしのこよみ』(学研プラス)、『こよみが導く2021年井上象英の幸せをつかむ方法』(神宮館)など多数。


    画像: 二十四節気・立秋(りっしゅう)|井上象英の暮らしのこよみ

    井上 象英
    「365日、暮らしのこよみ」(学研プラス)
    定価:1,870円

    井上 象英「365日、暮らしのこよみ」(学研プラス)|amazon.co.jp

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    『神宮館高島暦』で長年にわたり主筆を務めた暦法研究家の井上象英さん。その知識は、神道学、九星気学、論語、易経、心理学にも及びます。この本は暦を軸に、日本の伝統行事や四季折々の自然の美しさや楽しみ方を誰にでもわかる、やさしい口調で語っています。1月1日から12月31日まで、日本の四季や文化伝統を日々感じながら、心豊かに暮らすヒントが満載です。



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