• スーパーやコンビニで、いつもの買い物ついでに、ついつい買っちゃうおやつ。昔からずっと好きだったあの味、いま見てもかわいいパッケージ。無意識に選んでいるようでいて、そのおやつの先には大切な思い出や、忘れられないエピソードがありました。今回は、菓子研究家・長田佳子さんの、天乃屋「歌舞伎揚」のお話。

    四角が出たら当たり!?

    全部丸だと思ってませんか?

    画像: 丸い形(左)と、四角い形(右)がある。

    丸い形(左)と、四角い形(右)がある。

    『天然生活』本誌で「はじめての、やさしいお菓子」の連載をしている長田さん。彼女のつくるお菓子は、シンプルで美しい佇まいという印象です。ハーブやスパイスを巧みに使うお菓子を日々生み出しています。

    そんな長田さんですが、買い物ついでにお菓子を買うことってあるんでしょうか?

    「ありますよ。普段買うお菓子は、おせんべい系が多いですね。昔勤めていた会社で、展示会など、特別な時に、休憩の際のおやつのラインナップに入れてくれていた〈歌舞伎揚〉。このあまじょっぱい感じが疲れたときにいいなと気がつきました。それ以来、とても好きになったお菓子です」(長田佳子さん)

    何気なく手が伸びるお菓子って、しみじみおいしくて不思議と飽きないんですよね。

    甲羅型のせんべいっていうところも好きなポイントなんです。地方のお土産屋さんでも、丸いものや卵型、ドーム型の煎餅があるとつい買ってしまう。甘い和菓子やお餅なんかは、同じ形でもそこまでひかれなくて。しょっぱいもの限定なんですよね」という長田さん。

    四角の理由は家紋にあり

    全部で12種類の家紋が刻印された〈歌舞伎揚〉。
    その家紋のうち、ひとつだけが四角い形です。ひと袋11枚入りなので四角が入っていないことも。そんなことから、四角が入っていたら当たり!? なんて楽しみ方も。

    画像: 家紋は全部で12種類。そのうち、ひとつだけが四角。(画像提供:天乃屋)

    家紋は全部で12種類。そのうち、ひとつだけが四角。(画像提供:天乃屋)

    発売当初はいまよりも生地が固かったため、家紋がもっとはっきりと見えていたそうですが、時代に合わせてソフトな食感に改良され、意識して見ないと気付かないかもしれません。よく目をこらしてみると、いまでもしっかりと家紋が見られますよ。

    「当時、〈歌舞伎揚〉を世に送り出すとき、伝統あるものを想起させる名前がいいと議論されたそうです。せんべいは日本古来からあるお菓子で、歌舞伎は日本の伝統文化。シンプルにこのふたつを組み合わせた名前にしたら、日本の伝統あるおいしいおせんべいになるように、との想いと、昔からある定番のお菓子のような印象がつくれるのでは、と決定。それから60年をかけて、皆さんに愛される天乃屋の主力商品となりました」(天乃屋 営業推進室/渡辺 直哉さん)

    いつも変わらない味、ではない

    画像: 昭和35年の発売当初は、量り売りをしていた。(画像提供:天乃屋)

    昭和35年の発売当初は、量り売りをしていた。(画像提供:天乃屋)

    「当初は、揚げせんべいを通常のしょうゆに漬けていましたが、これになにか甘味を加えたらもっとコクのある味になるのでは? と改良を重ね、いまの〈歌舞伎揚〉にたどり着いたんです」(渡辺さん)

    ざくっと気持ちのよい歯応えに、懐かしくなるようなあの甘い味。

    実は、季節によって味つけを変えているそうです。

    「発売から60年以上。いつも変わらない味ですね、とお客さまによくお声がけいただくんですが、実は夏と冬で少しだけ味付けを変えているんです。気温15℃をひとつの目安にして、寒くなったときには濃い味付けに。それも天乃屋のこだわりです」(渡辺さん)

    ワンランク上の〈歌舞伎揚〉、「歌舞伎揚瑞夢」

    画像: 「瑞夢(ずいむ)」は、しょうゆ味(左)と、えび味(右)の2種類。

    「瑞夢(ずいむ)」は、しょうゆ味(左)と、えび味(右)の2種類。

    天乃屋には、1枚1枚を枠に入れてていねいに揚げた、ワンランク上の〈歌舞伎揚〉も。あげる前の記事に水を霧吹きすることで、表面に花が開くようにふわっと揚がるんだそう。

    〈歌舞伎揚〉は、個包装になっているところもうれしいんですよね。大袋だと、つい食べ過ぎてしまうので。小腹が空いたときや、お酒のつまみとして、いつも2〜3枚ずつ食べることが多いです」と話す長田さん。

    個包装だと、おやつを分け合うときにも便利。

    お出かけに、パーティーに、おやつの時間に。どんなシーンにもしっくりくる〈歌舞伎揚〉の不思議。日本人に愛されるしょうゆベースの味わいが、いつでも食べたくなる秘訣なのかもしれません。

    画像: ワンランク上の〈歌舞伎揚〉、「歌舞伎揚瑞夢」

    歌舞伎揚
    ■ 内容量:11枚
    ■ 価格:257円(税込)
    ■ メーカー:株式会社天乃屋 ブランドサイトを見る



    〈撮影/山田耕司  取材・文/山下あい〉

    長田佳子
    菓子研究家。「foodremedies」主宰。オーガニックレストラン、老舗フランス料理店などで修業ののち、独立。『天然生活』本誌にて連載中の「はじめての、やさしいお菓子」では、シンプルな材料で本格的につくれるお菓子のレシピを公開している。2021年夏より、動画配信によるお菓子教室をスタート。著書は『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)など多数。
    インスタグラム:@foodremedies.caco
    foodremedies:https://foodremedies.jp/



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