• 本格的に寒くなり、何かと体調をくずしやすい時季です。アメリアでウイルスとワクチン学の研究に携わり、現在は栃木県那須烏山市の「七合診療所」で所長として地域医療に従事する本間真二郎先生に、風邪について教えていただきました。
    (『天然生活』2022年1月号掲載)

    風邪をひく原因と対処法

    ※記事中の情報は『天然生活』本誌掲載時のものです

    そろそろ本格的に寒くなる季節。この時季は体温が下がりやすく、免疫も低下するため、風邪をひく人も多くなります。

    風邪とはウイルスや細菌によって引き起こされる呼吸器の感染症。医学的には「急性上気道炎」と呼ばれます。要するに喉や鼻の炎症ということです。風邪を引き起こすのは9割がウイルスで、その種類は200以上あるといわれています。

    さて、私たちはなぜ風邪をひくのでしょう。よく「運悪く風邪のウイルスをもらった」「風邪をひいている人からうつされた」といういい方をしますが、私は必ずしもそうとは考えていません。

    そもそも風邪の原因となるウイルスや細菌は、常に私たちに接触しているのです。それでも風邪をひく人とひかない人がいるのはなぜか。

    ひとつには免疫力が低下するとウイルスを排除できないから。もうひとつは、風邪をひく人がそのとき「風邪をひく必要がある体」なのだと私は考えています。

    風邪をひいたあとで体が楽になったり、すっきりしたりした経験は多くの人にあるでしょう。発熱することで免疫や代謝を高める、または鼻水や咳などの異物を体の外へ出す。そうやって風邪のウイルスをうまく利用し、不調な体の浄化や修復を行っているのです。そう考えると、風邪をひくことは一概に悪いとはいえないのではないでしょうか。

    風邪の基本的な対処法は、水分やミネラルをよくとって安静にすること。ほうじ茶や玄米茶など、ノンカフェインのお茶を飲みましょう。

    糖は体を冷やし免疫を低下させるので、糖分入りの飲料はおすすめできません。また、食欲がない状態で栄養のある食事をとろうとすると消化に体内のエネルギーが取られ、治りが遅くなる場合も。無理をせず、自然の食欲に任せましょう。

    いわゆる風邪薬と呼ばれるものは咳や鼻水、発熱などの症状を緩和するもので、風邪自体を治すものではありません。

    「症状」とは回復を促すための反応です。薬で押さえつけようとすると出すべきものが排出できず、浄化の働きを阻害してしまいます。

    もちろん、絶対に薬を飲んではいけないわけではありません。あまりに体が辛ければ薬で緩和するなど、柔軟に対応するとよいでしょう。

    画像: 風邪をひく原因と対処法

    自然のお手当てを利用して自己治癒力を引き出すのも手。わが家では、梅醬番茶やかりんのはちみつ漬けなどに頼っています。

    風邪をひくのは辛いもの。ですが体の浄化反応、そして生活習慣見直しのサインとして前向きにとらえてみませんか。

    〈取材・文/嶌 陽子〉


    画像: 風邪をひくことの本当の意味とは?|本間真二郎先生の病気にならない暮らし方

    本間真二郎(ほんましんじろう)
    小児科医・微生物学者。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。現在は同市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。著書に『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー)など。2児の父。



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