• 栃木に暮らす医師・本間真二郎先生は、「自然に沿った暮らし方が、すべての病気を遠ざける」という考えの自然派医師です。そんな本間先生が畑で実践する、自然農による野菜づくりについて教えていただきました。
    (『病気を遠ざける暮らし方』より)

    わが家の畑で野菜を育て、「旬」でいただく

    わが家の畑では、1年を通して20~30種類ほどの野菜を栽培し、なるべくそれぞれの季節にとれる野菜を、「旬」でいただけるように工夫しています。

    今思えば、栃木に移住したての頃は、いわゆる自然農という形へのこだわりがかなり強かったと思います。

    私は、生活のあらゆる面を、自然に沿ったものにすることを目標としていますので、農においても、いわゆる自然農による作物の栽培を始めたのは当然のことでした。

    栃木に移住する少し前に、札幌で自然農による作物をつくっている農家さんとのご縁があり、月に1回ほど、つくり方や考え方を勉強させていただきました。

    それに加え、私は物事を徹底的に調べたい性格ですので、農を始める前に、当時手に入る自然農や自然農法に関する本を何十冊も読んで調べました。

    画像: わが家の畑で野菜を育て、「旬」でいただく

    自然農あるいは自然農法というのは、呼ばれ方もやり方もさまざなものがありますが、いずれも、「なるべく手を加えずに」「あるがままの自然の状態を工夫すること」で、作物を育てる方法になります。

    具体的には、「土を耕さない」「雑草を抜かない」「農薬を使わない(虫をとらない)」「肥料や堆肥もほとんど使わない」……で、作物を育てるものが多いと思います。

    土を耕さない理由は、土中のモグラやミミズなどの生物が動くことや、植物の根が伸びること、さらには、糸状菌などの微生物が菌糸を伸ばすことなどにより、自然に土は耕されるからです。そのため、トラクターなどの大型の機械や、その燃料としてのガソリンなども使う必要がありません。

    雑草は抜かずに上の部分を刈り、土の上に敷いていきます。それが土に戻る過程で肥料のような役割を果たします。ですから、肥料や堆肥も使わないか、最小限の使用になります。

    肥料を使わない方法では、作物は自分の力で健全に育つため、害虫とされる作物を食べる虫が寄ってこなくなり、農薬も使う必要が少なくなります。

    また、できた作物から毎年種をとり、その種を使い翌年の作物を育て、命をつないでいくことができます。遺伝子組み換えや、F1(一代交配)の不自然な種などが問題になることもありません。

    このように自然農は、土、微生物、環境によく、すべてが循環しており、必要となるお金も最小限で、労力も少なく、とれる作物は安全で栄養価が高いものになる……と、まさにコンセプトは「自然に沿った理想的な農法」になります。

    自然農の作物は、本来、自分の力で健全に育つが……

    しかし、実際に自然農を始めてみると、さまざまな問題が発生しました。

    たとえば、「つくる作物によっては、ほとんど育たないもの、まったく育たないものがある」「作物ができても、虫だらけでほとんど収穫できない」「とれすぎるものがあるいっぽうで、ほとんどとれないものがある」「昨年はできたのに、今年はできない……など、年による収穫のばらつきが多い」「雑草が多くなりすぎて、途中から管理不能になる」

    原因は、もちろん私のやっている方法が未熟であり、管理の仕方にもたくさんの問題があったためです。

    加えて、自然農においても土の状態がもっとも大切であることは変わりなく、とくにその土地が慣行農法から移行した場合、コンスタントに収穫できる土の状態になるまでには、数年以上の長い年月が必要になることは、自然農の世界ではよくいわれていることです。

    また、現在は核家族であり、さまざまな活動を並行して行っている環境から、もう少し生活スタイルに合った柔軟な方法を試してみようと考えました。

    現在は、有機農や「菌ちゃん農法」も取り入れて

    画像: 撮影/山田 耕司

    撮影/山田 耕司

    そこで、自然農という形だけにこだわるよりは、有機農などを含めてさまざまな方法を積極的に取り入れてみることにしました。私は、もともとはウイルスの研究者であり、いくつかの異なる方法で行った結果を比較して検討する、実験的なことがとても好きなのです。

    もちろん、どの方法を選択する場合でも、「自然のしくみに沿っている」「自然を破壊しない」という部分から、はずれていないということが大切であることは、いうまでもありません。

    最近試してみたいくつかの方法では、「菌ちゃん先生」として有名な吉田俊道先生が提唱している「菌ちゃん農法」でとてもいい結果が出ています。

    吉田先生とは、講演会でも何度かご一緒させていただいており、土の微生物(菌ちゃん)を元気にして作物を育てるエキスパートです。

    菌ちゃん農法でできる野菜は、収穫量も多く、栄養価も高く、とてもおいしいものになります。発酵食品をつくるときの菌と、土の菌が同じ働きをしていることなど、私たちはそれぞれの立場で同様のことを伝えています。

    こうして、菌ちゃん農法などの新しい方法を取り入れることにより、収穫量は増え、かつ、おいしい野菜がとれるようになりました。

    現在私が行なっている農作業は、高価な機械や難しい技術は必要なく、おいしくて栄養価の高い野菜が安定してとれる、だれでもが実践できる方法になっていると思います。

    農も自然のしくみに沿っているかということが、大切な本質の部分であり、その方法には特定の決まったやり方があるわけではなく、どのやり方でもこのコンセプトに沿っていればよいということです。

    自然農という、もともとの軸である自然そのままの農法に加え、自然のしくみに沿っていれば、ほかの新しい軸を柔軟に取り入れ、統合していくことが大切であることが、あらためて実感できました。私は農を通じて、自然に沿うことや、「自他の統合」の本当の意味がよりはっきりと見えてきたのです。

    本記事は『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)からの抜粋です



    本間真二郎(ほんま・しんじろう)

    医師。那須烏山市国民健康保険七合診療所所長。2001年より3年間、アメリカにてウイルス学、ワクチン学の研究に携わる。帰国後、大学病院での勤務を経て2009年、栃木県那須烏山市に移住。那須烏山市にある「七合診療所」の所長として地域医療に従事しながら、自然に沿った暮らしを実践している。主な著書に『感染を恐れない暮らし方 新型コロナからあなたと家族を守る医食住50の工夫』(講談社ビーシー/講談社)、『新型コロナ ワクチンよりも大切なこと』(講談社ビーシー/講談社)など。最新著書『病気を遠ざける暮らし方』(講談社ビーシー)が発売中。

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    「自然に沿った暮らし方が、すべての病気を遠ざける」という考えの自然派医師・本間真二郎先生。2023年春、「できる限り、人まかせにしない暮らし方」を追求し、食べ物、水、電気なども自給する新たな暮らしを始めました。

    「どのような生活が自然に沿っているかは、腸内細菌や微生物によいかどうか、これらにダメージを与えないかどうかで判断すればいいのです」という本間先生。麹づくり、みそづくりから、毎日食べているものまで、腸内細菌を元気にするレシピとともに、きょうから少しでも自然に近づくための1冊ができました。



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