小屋のぶどうの紅葉とあけびの蔓
みなさんこんにちは。愛媛で小さな自給自足を楽しんでいる池田じゅんみです。今回は、冬の楽しみのひとつ、かご編みについてお話ししたいと思います。
庭の葉が紅葉する11月のおわり。冬の訪れを知らせてくれます。
わが家では、庭に建てた小屋の右側にはぶどうを、左側には、あけびを植えています。
ぶどうと同時に植えたあけび。4年経ってもまだ一度も果実が実ってくれたことがないのが少々残念ですが、栽培の一番の目的は「蔓の採取」です。庭で蔓かご編みの材料が自給自足できたらうれしいなあと思って育てています。
あけびは、ここ以外にもあと2カ所に植えています。その理由については、この後にご説明しますね。
冬に楽しむ、わが家の手づくり歳時記
蔓かご編みの本シーズン到来
毎年欠かせない冬の大きな楽しみである蔓の採取のシーズンです。これまで何度か蔓かご編みの話に触れてきましたが、今回は蔓の採取方法や大事なポイントなどを詳しくお話してみますね。
蔓かご編みも習得してみたいと熱望していたことのひとつです。幸運なことに、編み方を知っている林業研究会の方に教わることができ、山主さんとの交流も生まれ、許可を得て毎年採取に行きます。
ポイント1 採取の時期
寒さが冷え込んでくると虫たちが落ち着きます。次第に落葉して蔓につやが出始める11~12月あたりが適期です。寒すぎると人間も凍えるのでわたしは11〜12月初旬がベストシーズンと思っています。春夏での採取では、蔓の中で虫たちが活動しているかもしれないし、葉が茂っている状態は編みにくいのです。
ポイント2 地に這っている蔓を見つける
空に向かって木に絡みついている、くねくねした蔓を採取するのでなくて、地面に這うようにまっすぐ伸びているものを見つけることが成功への近道です。蔓って、上に伸びていくものだとばかり思い込んでいたので、目から鱗がぼとぼと落ちました。
地面に走っている蔓は、土の湿度のおかげでとてもしなやかで、ねじれがないものが多く、とても編みやすいのです。これだけで8割は成功したと言いっていいほど大事なポイントです。
前文でお伝えした庭に植えてある残りの2カ所はというと、ウッドデッキと小屋の下の地面に這わせるように栽培しています。日陰で湿度があり、しなやかでまっすぐに伸びるように。
ポイント3 採取しながらその場で編む
そして、根こそぎ採らないよう気をつけてください。欲張らず、翌年もまた伸びてくれるようにしっかり根を残すことで、毎年の楽しみにつながります。
以前にひとりで、蔓かご編みの本を片手に見よう見まねでチャレンジしてみたことがあるのですが、難しいし時間がかかりすぎるし、で楽しみきれず……。なんとか最後までやりきったものの、それ以来、遠のいてしまっていました。
やっぱり、教えてくれる方がいると全然違います。自己流でやっていたのがどれほどズレていたのかよく分かりました。
※注意 葉が落ちてしまった蔓だけの状態では種類を特定するのは難しいです。蔓植物の中には毒性のものもあり、肌がかぶれることもあるので特に注意してください。
ある日のかご編み
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ド素人の私でも、シンプルなものであれば、採取から完成まで半日あれば十分でした。指先の力がいる手作業に熱中しすぎるあまり、指たちが痛さでダウンしかけてしまうのにも関わらず、またつくりたくなってしまう魅惑の蔓かご編み。
とはいえ、ハードルが高すぎる方は、材料も時間も最小限で編める、ミニミニバスケットなどはいかがでしょう。小さなものでしたら一時間ほどでできます。
最後に
この時期の紅葉は美しく、しっとりとした山の空気の中で、ポケット図鑑片手に落ちている色んな木の実を観察したり、ふかふかの落ち葉をふみしめる感触を楽しんだり。山遊びにはぴったりの時期。
いままで見過ごしていた草花や木など、ぼんやりとただの緑にしか見えていなかったものが、ここに暮らしはじめてからは、植物たちの存在をはっきりと感じられるようになりました。
目をこらせばたくさんの植物たちとの出合いに触れられ、いくらでも遊べてしまいます。今日もあっという間に日が暮れて、足早に秋が過ぎていきます。
池田じゅんみ(いけだ・じゅんみ)
Instagram:@junmiikeda